【初心者向け】ISO認証とは?メリットや取得の流れを解説
- ISO認証規格は、あらゆるモノゴトの世界共通の基準
- ISO認証を取得することで、事業体制の強化や取引先の拡大などのメリットを受けられる
国によって価値観や文化が異なるため、国際的な取引を円滑にするためには世界共通の基準が必要です。そのために設けられたISO 認証は、実は私たちの生活の中でも多く見ることができます。しかし、その認証について詳しく知っているという方はあまり多くないでしょう。
ISO認証を取得し、自社の事業体制を強化できるとともに取引先や消費者といったステークホルダーにアピールできます。そのため、競合他社との差別化にもつながることから、積極的に取得する組織も増えています。
そこで、まずはISO認証の概要や取得することによるメリット、取得の流れについて知っておくことが大切です。この記事では初心者の方にもわかりやすいようまとめています。ぜひ、参考にしてください。
目次
ISO認証とは
まず、ISO認証とはどのようなものでしょうか。ここではISO認証の基本的な概要について解説します。
ISO(国際標準化機構)とは
ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)とは、スイスのジュネーブに本部を置く非営利法人のことです。各国の代表的標準化 機関から成り立っています。
ISOでは、世界貿易を促進するために、後ほど解説するISO(国際規格)を運営しています。
ISO(国際規格)とは
ISO(国際規格)は、各分野における世界共通の基準となる規格です。各国でバラバラだった品質の基準を標準化することで、製品・サービスにおいて国際的な輸出入における一定の安全性や信頼性を付与しています。
新しい製品・サービスの海外進出の際に、ISO規格を取得していると「ISOの品質基準に達している製品・サービス」であることが担保されるため、市場参入しやすくなります。
ISO規格は「モノ規格」と「マネジメントシステム規格」に大きく分かれています。モノ規格の代表には非常口マークやクレジットカードのサイズなどが挙げられます。よく見かけるモノも、実はISO規格に則ったデザインやサイズになっているのです。モノ規格には第三者機関による認証制度は設けられていません。
また、マネジメントシステム規格は後ほど詳しく解説しますが、製品・サービスの品質管理におけるマネジメントシステムなどが挙げられます。マネジメントシステム規格は取得するために認証機関による認証を得る必要があります。
ISO認証規格の詳細は、以下の記事をご覧ください。
ISO認証取得のメリット
それでは、第三者認証として信頼性の高いISO認証ですが、取得によりどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは代表的なメリットを解説します。
ステークホルダーからの信頼向上
ISO認証は世界的に認知度の高い国際規格であるため、取得するには事業運営や製品製造のプロセスなどにおいて、第三者機関に認めてもらうことが必要です。
そのため、取得することにより、取引先や消費者などのステークホルダーに自社製品・サービスにおける品質の高さの安心感を与えられます。ブランディングや他社との差別化において貢献する要素となるでしょう。
取引先の拡大
取引先の中には、ISO認証の取得が取引の条件になっている場合や、建設業などにおいては国の公共工事の入札参加の必須条件になっている場合もあります。そのため、多くの組織の取得理由にもなっています。
また、海外進出の際にはISO認証の取得により、スムーズな取引が可能になることも多いため、海外との取引をしている企業の多くが取得しています。
業務の効率化や品質の安定
ISO認証を取得するには、既存の業務体制をISO認証の要求に則って変革する必要があります。これまで曖昧になっていた作業プロセスや責任の所在などが明らかになり、ムダなプロセスやミスが発生しやすい作業などが発見されることがあるのです。また、運用にあたり事業活動におけるリスクが発見された場合には、防止のためのルールが設けられます。
こうした取り組みをしていく中で、業務効率化や製品・サービスの品質の安定・向上が実現できるのです。
ISO認証取得のデメリット
それでは、次にISO認証取得のデメリットを解説します。
労力や費用がかかる
ISO認証を取得するには、既存の業務体制を変更し、ISO認証の要求事項に合った体制につくりかえていくことが必要です。その過程で新しい運用ルールが設けられたり、文書管理が発生したりします。そのため、従業員に負担がかかる可能性があるのです。
また、こうした体制を構築・運用するために人件費やコンサルタント依頼料などの費用もかかります。
ISO認証の管理に手間がかかる
ISO認証は、技術の進歩やその規格において求められるものが変化した際にも対応できるように、一定期間で改訂されることが多々あります。例えば、IT技術の進化が著しい情報セキュリティに関するISO27001は、2022年10月に改訂されました。
このように、ISO認証はいつの時代においても有効な認証であるため常に変化し続けています。そのため、取得企業も同様に改訂があった際には対応する必要があり、認証の管理に手間がかかるのです。
また、ISO認証は取得後も毎年審査を受け続ける必要があります。マネジメントシステムの有効性 や適合性を確認するために必要ではありますが、審査を受けるための手間は必要になります。
代表的なISO認証の種類
それでは、ISO認証にはどのような分野の種類があるのでしょうか。ここでは代表的な種類を解説します。
ISO9001
ISO9001
は、品質マネジメントシステムに関する規格です。自社の製品・サービスの品質維持・向上のための体制を構築・運用し、最終的な目標として顧客満足度の向上を掲げています。
品質がただ高いだけでは顧客満足を満たせない可能性があるため、品質(quality)・価格(cost)・納期(delivery)の3つであるQCDのバランスを検討することが求められています。
ISO9001の詳細は以下の記事をご覧ください。
ISO27001
ISO27001は、情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際規格です。不正アクセスやサイバー攻撃などの情報セキュリティ上のリスクから、自社の情報資産を守ることを目指しています。
情報セキュリティの3要素である「機密性 」「完全性 」「可用性」をバランスよく高めていくことが求められます。
ISO27001の詳解は以下の記事をご覧ください。
ISO14001
ISO14001は、環境マネジメントシステムに関する国際規格です。事業活動が環境に悪影響を与えるリスクを低減し、改善していくことを目指しています。
ISO14001では、自然環境だけでなく政府自治体や取引先、従業員、顧客など企業にかかわるあらゆる環境すべてが範囲になっています。
ISO14001の詳細は以下の記事をご覧ください。
ISO22000
ISO22000は、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格です。食品の安全性を維持・向上させることで食品事故の発生リスクを低減し、消費者への安全な食品提供を目指しています。
ISO22000では食品の安全性を保つため、食品製造業者だけでなく運送業者などフードチェーン に関するすべての業種が適用範囲となっています。
ISO22000の詳細は以下の記事をご覧ください。
ISO45001
ISO45001とは、労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格です。従業員の労務中のケガや疾病などの労働災害といった危険源を排除し、従業員が安全に働くことができる労働環境への改善を目指しています。
国の公共事業への参加条件であったり、入札時の加点になったりすることもあり、建築業や製造業で取得が進められています。
ISO45001の詳細は以下の記事をご覧ください。
ISOマネジメントシステム認証を取得する流れ
さまざまな種類があるISO規格ですが、認証を得るにはどのような手順を踏む必要があるのでしょうか。ここではISOマネジメントシステム認証を取得する流れを解説します。
1.取得の計画を立てる
まず、どのISO認証規格を取得するかを決めましょう。それに加えて、以下の点についても決めていきます。
- ISO担当者
- ISO認証取得のコンサルティング業者にサポートを依頼するかどうか
コンサルティング業者に依頼すると、自社の現状分析や取得までのスケジューリング、その後のマネジメントシステムの構築・運用、審査までさまざまな工程をサポートしてもらえます。そのため、ほとんどの組織はISO認証を取得する際にコンサルティング業者にサポートを依頼しています。
コンサルタントに関する詳細は以下の記事をご覧ください。
2.マネジメントシステムの構築
取得計画を立てたら、各ISO認証で求められている要求事項に則ったマネジメントシステムを構築します。詳細はそれぞれの規格によって異なりますが、構造や用語・定義は以下のように共通化されています。
【要求事項一覧】
- 1.適用範囲
- 2.引用規格
- 3.用語及び定義
- 4.組織の状況
- 5.リーダーシップ
- 6.計画
- 7.支援
- 8.運用
- 9.パフォーマンス評価
- 10.改善
このように大きく10項目から成り立っていますが、構築するのは「4.組織の状況~7.支援」の部分です。組織内外の状況や課題を把握し、マネジメントシステムの適用範囲を決めます。また、各規格に則ったマネジメントシステムを構築するうえで、組織としての方針や目標を定めます。
決定事項は文書によって管理します。どのような文書が必要になるのかは規格によっても異なりますが、自社の実情に合わせて柔軟な対応が可能になっています。
マネジメントシステム構築の詳しい流れは、以下の記事をご覧ください。
3.マネジメントシステムの運用
要求事項の「8.運用~10.改善」の部分に則り、構築したマネジメントシステムを実際に運用します。新たなルールが必要だった場合にはマニュアルや作業手順書などを更新し、従業員に周知したうえで、実際に取り組んでいきます。
この際、マネジメントシステムの適合性や有効性を把握するために、日々の運用記録を取っておくことが欠かせません。
また、運用の中で、内部監査 ・マネジメントレビュー (トップマネジメントによる活動の評価・次の活動への指示)を行います。内部監査では、「運用した結果、どのような状況になっているか」「構築したルールは守られているか」「計画したとおりの結果が得られているか」といったことを確認します。そのうえで、マネジメントレビューでは内部監査の報告にもとづき「よりよい改善案」を検討し、対策を指示していきます。
このように、運用を開始したらPDCAサイクルを回すことで、より最適なマネジメントシステムに改善し続ける仕組みになっています。
内部監査・マネジメントレビューの詳細は、以下の記事をご覧ください。
4.審査を受ける
運用後、審査機関(認証機関)に依頼して審査を受ける必要があります。審査機関によって審査できる規格や審査のスタンス、費用などが異なるため、複数機関から比較することがおすすめです。
取得時の登録審査は、書類審査の一次審査を経て、実地審査の二次審査が行われます。どちらも通過できると、登録証が発行されて認証を取得できます。
審査の詳細は、以下の記事をご覧ください。
5.取得後の運用
ISO認証は取得して完了ではありません。取得後も運用を続け、PDCAサイクルを回すことで、マネジメントシステムの継続的な改善が可能になります。
慣れが生まれてくると、ルール通りの運用が行われずに形骸化してしまうこともあります。有効性を保つためには、「自社の実情に適したマネジメントシステムを構築すること」や「適切な内部監査の実施」などが大切なポイントです。
まとめ
ISO認証は、国際的な貿易をスムーズにするために設けられた国際規格です。
認証を受けることで、マネジメントシステムの品質が世界的な基準に達しているという証明になります。そのため、ステークホルダーからの信頼を得られ、取引先からの要求を満たすことにもつながるのです。取得や取得後の運用の手間や費用を低減するために、多くの企業は自社取得ではなくコンサルティング会社に依頼して取得を目指しています。
ISO認証の取得を検討されている組織の方は、一度お気軽にお問い合わせください。
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