ISO規格における文書管理の目的や実施するポイントを解説
- 文書管理は、ISOの要求事項に含まれている
- 必要なときに、必要な場所で、必要な人が適切な文書を取り出し、使用できる状態であることが重要
- ホワイトボードに書いた議事録を写真で撮影したものやWeb会議の録画も文書化した情報として認められる
ISO とは国際標準化機構(International Organization for Standardization)の頭文字を取った用語のことで、国際規格 を定めている機関です。各種ISO規格の 要求事項 には、文書管理の項目が設けられています。
この記事では、ISOや文書管理の概要、それらの関係性について解説します。
目次
ISOと文書管理の関係
ISOは、企業や工場などが決めたルール通りに業務を実行しているかどうかを、第三者機関が監査し確認する第三者認証 を前提としています。そのため、関連する文書の管理は重要です。ISOと文書管理のそれぞれの意味と関係性について解説します。
ISOとは
ISOとはスイスのジュネーブに本部がある非政府組織で、日本語での名称は国際標準化機構(International Organization for Standardization)です。国際的な基準(規格)を定めることが主な活動です。
ISOが定めた国際規格(ISO規格)は、モノに対しての規格である「モノ規格」と、企業や工場などの組織活動を管理する仕組みの規格である「マネジメントシステム規格」の2つに分かれます。
ISOを取得することで、企業との取引が有利になります。また、企業や工場などの品質に対して、客観的な証明が得られることもメリットです。
文書管理とは
企業や工場などには、発注書や契約書、手順書など、社内外で活用するさまざまな文書があります。このような文書の活用・保管・廃棄といった一連の流れを「文書管理」と呼びます。
ISOと文書管理の関係性
第三者認証 を円滑に行うための情報を文書化する「文書管理」は、ISOの要求事項に含まれています。企業の情報を文書化することで、第三者にも正しく伝えることができ、効果的な運用につながっていきます。
そのためには、作成した文書を適切に管理し、活用可能な仕組みをつくらなければなりません。こうした仕組みを構築するために、ISOの要求事項として文書管理が含まれているのです。
ISO取得においては、まず文書管理の現状を把握することが必要です。
文書管理の目的とポイント
ISO規格の要求事項にある文書管理の目的と、文書管理を実施する際のポイントについて解説します。
文書管理の目的
ISO規格における文書管理の目的は、会社や工場などが全体で業務の品質を均一化することにあります。そのために、文書を「必要なときに、必要な場所で、必要な人が適切な文書を取り出し、使用できる」状態にしていくことが重要です。
文書管理を行うポイント
ISOを取得するためだけに文書管理を行ってしまうと、かえって煩雑さが増す可能性があります。あくまで、ISO規格に沿った文書管理と自社に必要な要件を適合させる必要があります。
文書化する方法を検討する
文書化といっても、その方法は広義的なものになっています。そのため、自社でどの形で管理すべきかを検討しましょう。
各種手順書を作成し、第三者に対してルールを提示します。手順書まで作成していなくても、現場の見える化を第三者に示すことができれば問題ありません。
また、ホワイトボードに書いた議事録を写真で撮影したものや、Zoomなどで行ったWeb会議を録画したものも、文書化した情報として認められます。
そのほか、会議や朝礼などで伝達して周知徹底し、全ての従業員が理解できている状態であれば、第三者に対してルールを提示していることになります。
従業員個人のスキルやノウハウにとどめるのではなく、会社や工場などで共通のルールにしておけば、文書化として解釈されることを理解しておきましょう。
継続的改善を前提に取り組む
構築したマネジメントシステムを有効に運用するためには、適切な文書管理が必要です。
文書化の方法を決めたら、会社や工場など全体で文書に対する取り組み方を承認します。従業員個人のノウハウやスキルを全体のものへと昇華していくことが、文書化の目的の1つです。
その際、今のルールよりもより良い方法があれば、必要に応じて書き換えていきます。いったん決めたルールに固執するのではなく、常に最新版へとアップデートして維持管理していくことが大事です。
文書管理は、継続的改善を前提に取り組んでいきましょう。
ただし、過去の記録を書き換えたり、アップデートしたりしてはいけません。そういった文書は、変更することなく保持しなければいけません。
なお、ISO9001(品質マネジメントシステム)で規定されている文書管理の詳細は、以下の記事をご覧ください。
要求事項に沿った文書管理の実施により期待されること
ISO規格の要求事項に沿った文書管理を実施することよって、以下のような効果が期待できます。
業務効率化
文書を適切に管理すれば、手順書などの文書をいつでも使える状態にしておくことができます。そうすれば、文書を探し出す時間を短縮できるようになり、業務の効率化につながっていくでしょう。
また、適切な文書管理によって、新たな情報や知見を簡単に追加・蓄積できるようになるため、業務の質も向上していくようになります。
リスクマネジメント効果
文書の保管場所を明確にして「誰が・いつ・閲覧をしたのか(持ち出しをしたのか)」を記録管理しておくことで、文書の改ざんや紛失、漏えいなどを防げます。問題が発生したときでも、すぐに文書を探し出すことができるので、機密情報や個人情報の流出による損害賠償請求などの損害を最小限に抑えられるでしょう。
さらに、業務の記録を文書で残しておくことで、「違法や不正な行為は無い」ことを証明できます。これにより、訴訟やトラブルの際でも、説明責任を果たすことができるでしょう。
対外的な信頼を得る
ISO規格の取得は、第三者機関から「この企業や工場は文書管理が適切になされている」と認められた証になるため、対外的な信頼を得られるようになります。
ISO規格に沿った文書管理は、スムーズな企業経営につながるのです。
自社に適した文書管理を目指す
文書管理はISO規格の取得に必要不可欠です。ただし、ISO規格ではすべての情報の文書化は求められていないため、自社に適した内容での文書管理が必要となります。
ただ要求事項を満たすためだけではなく、文書管理の目的を理解したうえで、自社に適した管理方法を目指していきましょう。
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