内部監査員から見たISO審査員による二次審査のチェックポイント
今回のテーマは、「二次審査」(初回審査)です。一次審査について詳しく知りたい方はこちら。
一次審査は主に書類審査で、ISO 規格 要求を正しく理解していること、自社で作成したマニュアルがISO要求事項に適合しているか、マネジメントシステム の仕組みが要求事項に沿って適切に構築されているか、重大な欠落がないかなど審査します。
一次審査通過後、二次審査を受ける場合は大体一次審査の一ヶ月後に実施されますが、もし一次審査で指摘事項・改善事項、不適合等あった場合は是正処置をとり、再度運用し改善効果を確認した後、二次審査を受けることになります。
二次審査では、実際に審査員が現場を見ながら、マニュアルや社内規定(各種手順書含む)に基づいて作業が進められているか、マネジメントシステムの運用状況についての確認となります。初回審査の審査ポイントは、認証 規模、審査員、対象事業(プロセス)等によって異なりますが、内部監査員 としてはどのような質問を受けるかのか、非常に気になるポイントだと思います。
過去の事例をもとに、具体的に審査でどのようなことが質問されるのか、巻末にカテゴリー別に質問事項についてご紹介します。(「■二次審査での審査員による質問事項の紹介
」参照)
◎【事例】質問事項の概要(カテゴリー別)
マニュアル関連/社内規定関連/エビデンス関連/外部文書管理/情報セキュリティ対策/不適合の管理/検査印等の管理/材料管理関連/人材教育/設備機械・工具関連/安全衛生/トップマネジメント
また、二次審査で不適合になるケースもありますので、以下の点に注意して二次審査の準備を進めましょう。
二次審査で不適合になるケース
1、本来一次審査で不適合として指摘されるべき指摘事項が、二次審査で発見された場合は不合格(あるいは審査中止)
- ISO規格要求を正しく理解していること
- 自社で作成したマニュアルがISO要求事項に適合していること
- マネジメントシステムの仕組みが要求事項に沿って適切に構築されているか、重大な欠落がないか
2、自社で構築したマネジメントシステムを運用できていない
- 内部監査が実施されていない
- マネジメントレビューが実施されていない経営(層)は、内部監査の結果を評価し、改善(フォローアップ)に繋がるように指示しなければなりません。
- 社内規格等で要求されている文書(記録)が保管されていない
また逆に、実際業務が行われていないのに記録だけある。(虚偽行為) - 規格要求事項に対し、適用除外する場合の理由が適切でない
3、法規制を遵守できていない
二次審査での審査員による質問事項の紹介
No. | 区分 | 確認/質問事項 | 回答者 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | マニュアル関連 | マネジメントシステムの方針について文書化しているか | 被監査者 | |
2 | トップマネジメントが方針について伝達し、従業員は方針について理解しているか | 従業員 | ||
3 | 社内規定関連 | 社内規定や手順書等に変更が生じた場合、どのような措置をとっているか | 被監査者 | |
4 | 社内規定や手順書等の「版」管理が適切に行われているか(最新版か/Revの整合性) | 被監査者 | ||
5 | 作業者が随時閲覧できるよう、現場に必要な規定や手順書等が設置されているか | 現場管理者 | ||
6 | 現場に設置してある規定や手順書は誰が、どのように管理しているか | 被監査者・現場管理者 | ||
7 | 社内規定や手順書等が改訂された場合の伝達方法について確認 | 被監査者・現場管理者 | ||
8 | 何をもとに作業しているのか、指示書や関連規定の所在について確認。 | 作業者 | ||
9 | 社内規定・手順書等は適宜改訂されているか | 被監査者・現場管理者 | ||
10 | エビデンス関連 | 規定に基づき、運用記録の提示要求 (ex. 受注・作業検査記録、受入/出荷記録等) |
被監査者 | |
11 | 各プロセスで作成されるリスト類がどの規定に紐づいて監理されているのか確認。 | 被監査者 | ||
12 | 外部文書管理 | 顧客から貸与される技術資料の入手フローについて確認 | 被監査者 | |
13 | 顧客から受領するデータや技術資料の管理方法について確認 | 被監査者 | ||
14 | 顧客から貸与された技術資料の版管理について確認 | 被監査者 | ||
15 | 情報セキュリティ対策 | 機密文書や顧客データのセキュリティ面での管理方法(データの改ざん・持ち出し等)について | 被監査者 | |
16 | 顧客データや業務データのバックアップ対策等 | 被監査者 | ||
17 | 不適合の管理 | 不適合に対する是正、効果確認についての確認 | 被監査者 | |
18 | 不適合流出を予防する仕組みの有無について確認 | 被監査者 | ||
19 | 不適合品の管理について | 被監査者 | ||
20 | 検査印等の管理 | 合格印や工程印などゴムが消耗しておらず、押印した際に欠けなどがなく鮮明に印字されているか | 被監査者 | |
21 | 合格印や工程印など、不正利用のないよう管理されているか | 作業者・現場管理者 | ||
22 | 材料管理関連 | 材料の保管方法は、顧客・メーカー指定通りの温度で保管されているか。 | 被監査者・現場管理者 | |
23 | 劣化材の場合、有効期限の管理はされているか | 被監査者・現場管理者 | ||
24 | 人材教育 | 従業員の教育計画や計画に対する実施状況の確認。 | 被監査者 | |
25 | 従業員のスキル評価方法について | 被監査者 | ||
26 | 従業員の社内・外部認定資格の管理等 | 被監査者 | ||
27 | 設備機械・工具関連 | 機械設備の点検や校正状況・記録についての確認 | 被監査者 | |
28 | 工具の識別や管理状況についての確認 | 被監査者 | ||
29 | 安全衛生 | 有機溶剤の表示・保管状況についての確認 | 被監査者 | |
30 | 有機溶剤のデータシート設置状況について | 被監査者 | ||
31 | トップマネジメント | 定期的にトップマネジメントレビューが実施されているか | 被監査者 | |
32 | トップマネジメントのリーダーシップ力があるか | 被監査者 |
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