ISO 審査機関は各企業が構築したマネジメントシステム を審査する機関です。日本には約70社以上あると言われており、審査機関によって対応できる規格 を始め、審査の質や審査費用の違いなどがあります。
この中から自社に合った最適な審査機関を選ぶのは至難の業です。もし自社に合わない審査機関を選ぶと後のISOの運用に支障が出てくる可能性があります。最適なISO審査機関を選ぶために押さえるポイントは3つ。「価格」「審査の質」「スピード」を見極めることが重要です。

この記事ではISO審査機関の仕組みから押さえるべきポイント、審査機関選びに失敗した場合のリスクなどを詳しく解説していきます。

審査機関(認証機関)とは?

認証機関
『審査機関(認証 機関)』とは企業や組織がISO認証を取得する際にISOの要求事項 に適合しているか、有効に機能しているかを審査する機関です。日本には外資系を含む約70社ほどが存在しており、その審査機関にISO審査の実施許可を出しているのが『認定 機関』になります。
認定機関 』は各国に1機関づつ存在しており、日本の場合は「日本適合性認定協会 (JAB)」が該当します。JABは各国の認定機関であるアメリカのANABやイギリスのUKASと“IAF国際相互認証”を結んでいるので、日本で取得したISOはアメリカやイギリスでも有効となります。つまり、日本でISO認証を取得すれば海外展開する場合でも有効となるのです。

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審査機関毎の違いはどこにある?

審査機関による違い
ISO認証取得の審査を受けるには、70社以上ある審査機関の中から1社を選ぶ必要があります。審査機関ごとに審査できる規格や審査方針・費用などが異なるため、事前に審査機関に関する情報を集めることが重要です。
取得後のISO認証の価値はどの審査機関を介して取得しても同じなので、外部環境、自社状況、取得要因の整理を行い、自社にあった審査機関を選定しましょう。

審査できる規格

審査機関ごとに対応できるISO規格が異なります。例えば、A社ではISO9001に対応しているのにB社ではISO9001に対応していないなどです。

審査できる業種

審査資格(業種コード)の有無で、審査機関ごとに対応できる業種が異なります。例えば、A社ではITサービス業に対応しているのにB社では対応していないなどです。
自社の業種が審査できる審査機関であるかの確認が必要となります。

審査時の指摘箇所・数

審査機関の審査を受けた際に、構築したマネジメントシステムについての指摘を受けることがあります。指摘箇所や数は審査機関の審査方針や所属している審査員の考えによって異なります。会社の改善に繋がる指摘をする場合もあれば、ただ規格の要求事項を確実に満たすためだけに実態と合わない指摘をする場合などがあります。

費用

審査費用は統一されておらず、審査機関によって価格設定がまばらです。2倍以上の差が出るケースも珍しくありません。

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ISOの審査機関選びの準備

ISO認証を取得する目的を整理する

ISO審査機関を選ぶ前に「自分たちの会社はISOをどのように活用するのか」という目的を整理しましょう。
例えば、取引先からの外部要求や公共事業の入札参加のために「とにかく早くISO認証を取得したい」という目的の場合は、できるだけ簡単で安い審査機関を選ぶと良いでしょう。また目的が企業や組織の内部統制など「ISOを業務効率化のためのツールとして活用したい」場合は、改善に繋がる指摘をしてくれる審査機関が望ましいと言えます。

取得だけが目的の場合のリスク

ISO認証取得で最も注意しておきたいポイントとしては、長期的にISOを運用していくなかで『ISOが業務に支障をきた さないようにする』ことです。
いままでなかった業務をISO取得のためだけに都度追加していくことでルールやマニュアルが肥大化し、本業や実務に支障が出る『重いISO』になってしまいます。

「ISOは面倒くさそうだ」「ISOは大変そうだ」というイメージは、この『重いISO』が原因と言えます。これはISOの取得が目的となっている企業に多く見られます。
本業や実務を圧迫し、ISOを返上する企業も珍しくありません。

どんなに早くISOを取得できても、短期的な売り上げに繋がったとしても、それが一時的なものでは意味がありません。このような事態を避けるためにも初期の段階から運用しやすいISOの構築や運用していく中で軌道修正を行う必要があります。

このリスクはISOコンサルタントを選ぶ場合にも同様のことが言えます。

関連記事:ISO離れをする理由とは?重いISOが生まれる原因を解説します

ISOの審査機関を選ぶ3つのポイント

ISO審査機関の『価格』、『審査の質』、『スピード』は、ISO審査機関を選定する上で重要なポイントです。それぞれの詳細について詳しく見ていきましょう。

価格

ひとつめは『価格』です。同じISO規格の審査でも審査機関によって価格は異なります。場合によっては初回審査の金額で約2倍 の差が生まれることも珍しくありません。
なぜ価格が高いのか、または安いのかその金額の理由や費用の内訳を確認することが重要です。

審査の質

『審査の質』にも違いがあります。上記で説明した「簡単な審査機関」、「改善に繋がる指摘をしてくれる審査機関」がまさに“審査の質”に関係してくるところです。
例えば「簡単な審査機関」であれば、対外的なアピールのためにISO認証取得を目的としている企業には適した審査機関かもしれません。ただ、会社の成長に繋がる指摘などをもらえないことも少なくありません。
反対に「改善に繋がる指摘をしてくれる審査機関」では、その会社が長期的にISOを運用していく上で必要な指摘をしてくれます。

ISO審査機関を選定する上で過去の認証実績、審査方針、業界に対する知見などを確認しましょう。自社と同業種、同規模の審査経験がどの程度あるかなどは特に確認したいポイントです。

スピード

ISO審査機関選定にあたっては『スピード』も抑えておきたいポイントです。例えば見積り依頼をした際に、返答が早いのか遅いのか。その他にも取得希望月がある場合はそのスケジュールを抑えてもらえるのかなども確認するといいでしょう。
普段のやり取りが早いISO審査機関であれば、スピード感のある対応に期待ができます。

審査機関選びを失敗した時のリスク

審査機関をひとつのポイントだけで選んだ場合のリスク

審査機関を選ぶ際に注意しておきたいのは安さだけで選ぶなど、1つの条件が一致しただけで選んでしまうことです。
ISO審査機関の中には大企業を得意とし、有名企業の審査を実績として挙げているところもあります。そのような審査機関では、中小企業の審査を行った際に大企業と同レベルの審査をするケースも少なくありません。中小企業には厳しすぎる指摘や本来問題のない部分で指摘を受けることでルールが肥大化し、業務を圧迫する『重いISO』となってしまうのです。
ほかにも審査経験が乏しいISO審査機関は慎重に審査業務を行うので、必要以上に厳しい審査を行うこともあります。
このような事態を避けるためにも自社の規模や状況とマッチする項目が多いISO審査機関を選択することが非常に重要となります。

ISOコンサルタントに依頼せずに自社でISOを構築し審査を受ける場合、ISO担当者は基本的にISOの知見が少ないことが多いでしょう。どんなに自社の状況と合わない場合でも、審査時に審査員から受けた指摘は鵜呑みせざるを得ず、指摘通りに修正することでマニュアルが肥大化してしまうのです。

ISOコンサルタントであれば、指摘に対して過去の事例を踏まえ意見することができます。良い審査機関、良い審査員に出会えれば問題ありませんが、不安な場合はISOコンサルタントへ依頼することも検討しても良いかもしれません。

関連記事:ISOコンサルタントの選び方と押さえるべき3つのポイント

【重要】複数社の見積もりは必ず取る

ISO審査機関を選ぶ際には複数の審査機関に見積もりをお願いしてその中から選ぶことが出来ます。ISOは取得して終わりではなく、認証を維持している間は運用し続けるものです。つまり審査機関とも長い付き合いになります。
「価格」「審査の質」「スピード」の3つのポイントを踏まえて、自社の状況に合った審査機関を選ぶためにも複数社へ見積もりを取り、取得する目的とバランスの取れた審査機関を選びましょう。

ISO審査機関に絶対ヒアリングしたいポイント

ここではISO審査機関の見極め方を解説します。ヒアリングの段階で下記のような質問を行い、その返答でどんな審査機関か見極めるのにご活用いただけますので、ぜひ実践してみてください。

私達の業種は●●業でISOXXXXの認証取得を目指していますが御社で審査可能でしょうか?

弊社は●●業の審査資格 を持っていないですが、プライベート認証ならご用意があります 。実質的にはISOXXXXの要件を満たしているのでご安心ください。

業種コードを持っていない審査機関でISO認証取得を行うとプライベート認証になる場合があります。当然 プライベート認証の場合、名刺や工場の看板にISO認証取得と記載できません。対外的アピールのためにISO認証取得を伝える場合には、業種コードを持つISO審査機関を選びましょう。

所属している審査員にはどのような方が多いのでしょうか?

大手企業出身の経験豊富な審査員が多いです。

大手企業出身の審査員は、大手企業と同水準の審査を行う人も少なくありません。その場合、中小企業に対して要求事項にないところまで指摘をしたり、不要な機材の導入などを勧めてくるなど、中小企業には重たすぎる審査が行われます。このような事態を回避するためにも審査に対する柔軟性についても詳しく聞くといいでしょう。

審査費用が他の審査機関と比べて安いですね。

審査費用が安いのが弊社の売りです。

審査費用が安い審査会社には注意が必要です。審査機関も審査会社であるため、利益を出さなければいけません。安さを実現するには、1社に掛ける審査員の人件費を抑える必要があります。改善に繋がる指摘を考えるよりも、審査会社内の一定のルールに沿って機械的に指摘を行うことで工数の削減に繋がります。しかしこの場合、企業の実態に合わない指摘を多く受けることとなります。ISOの知見がない場合、審査員の指摘を鵜呑みするほかないため、マニュアルが肥大化し、『重いISO』になる可能性が非常に高まるのです。
安い=悪ではありませんが、安さの理由は必ず確認しましょう。企業の実態に合わせた審査をしてもらえなそうであれば、避けた方がいいでしょう。

まとめ

ISO審査機関の選び方の3つのポイントをご紹介しました。まずは自社のISO取得の目的を整理し、「価格」「審査の質」「スピード」をもとに自社にマッチした審査機関を探しましょう。1社だけでは分からないので3社ほどに見積もりを取り、比較することをお勧めします。
またマッチしたISO審査機関と出会えたと思っても、契約後に合わないと感じることもあるかと思います。もし合わないと感じるようであればISO審査機関は変更することもできるので、別の審査機関への切り替えなども検討しましょう。

ISOコンサルタントを活用する場合は、ISOコンサルタントがどのISO審査機関が良いのかアドバイスをもらうことができるので、困った際は専門家の意見を聞いてみましょう。併せて各審査機関の見積もりを出さずに繋がりのある審査機関だけを案内するコンサルタントやコンサルタント会社は注意が必要です。必ず複数社の見積もりを取るようにしましょう。
この記事の審査機関に聞いておきたいポイントを活用いただき、御社に合ったISO審査機関の選定に繋げていただければと思います。

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