ISOコンサルタントへISO認証取得を依頼するにあたって「そもそも何をしてくれるのか」、「どのように選べばいいのか」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

ISOコンサルタントはISO認証取得を目指す企業や組織の代わりに書類を準備したりしてマネジメントシステムの構築を行います。個人、法人含め日本に無数に存在し、その中から“良いコンサルタント”を見つけるのは至難の技です。価格が安いという理由だけで決めたことでトラブルに巻き込まれ、後悔したというお声も多く聞きます。

“良いコンサルタント”を選ぶためには「コンサルタントの質」「サポート範囲」「過去の実績」の3つを抑えることが重要です。

この記事では、ISOコンサルタントの業務内容やISOコンサルタント選びで抑えておきたいポイントについて詳しく解説していきます。ヒアリング内容と判断のポイントも現役コンサルタントがお伝えしているので、ぜひ参考にしていただければと思います。

ISOコンサルタントは何をしてくれる?

ISOコンサルタントとは

ISOコンサルタントとは依頼主である企業や組織の代わりにISOの専門家としてマネジメントシステムの構築(マニュアルや手順書、帳票の作成)、マネジメントシステムの運用サポート(作成したマニュアルの説明やそのマニュアルに則って業務を遂行した際の結果の確認、問題点があれば修正)、審査時のサポート(ISO審査機関から指摘があれば指摘箇所の修正など)を行う職業です。

ISOのコンサルタントは個人から法人まで数多く存在し、それぞれでサポート内容や価格が異なります。予備知識なしで自社にとって最適なコンサルタントと巡り合うのは非常に難しいのが現状です。

3つのISOコンサルタントのタイプを把握しよう

事務局型サポート(フルサポート)

事務局型サポート(フルサポート)はISOコンサルタントが企業や組織のISO事務局の一員となり、ISO構築を行います。自社のISO担当者はわずかなISO業務を行うだけなので、本来の仕事に集中できるというメリットがあります。またテンプレート対応とは異なり、企業に合わせたISOを構築できるコンサルタントが多いのもフルサポートタイプです。
中にはとにかく文書を多く作成するコンサルタントもいるため注意しましょう。

事務局型サポート(テンプレート)

ISOコンサルタントがあらかじめ準備しているテンプレートに沿ってISO認証取得を進めます。テンプレートを埋めながらISOを構築していくため、短期間でISO構築を行えるメリットがある反面、企業の状況に合わせた構築とならない傾向にあります。

ISOを取得するためだけの業務が増え、本業に負荷がかかりISOが形骸化してしまうことも少なくありません。

「よく分からないけど、やらなきゃいけないらしいから、とりあえずやっているだけ」という状態はISOの観点から見ても、会社としても健全ではありません。

指導型サポート

指導型サポートは、自社のISO担当者や従業員に対してISO認証取得のための教育を行うというものです。ISO認証を取得、運用を自社でやりたいけど、社内にISOの知見がないという企業に向いているサポート内容です。コンサルタント費用は高額な傾向にあります。「先生」と呼ばれるようなコンサルタントはこちらのタイプに当てはまります。

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ISOコンサルタント選びの準備~取得の目的を明確にしよう~

ISO認証を取得する目的を整理する

「どのISOコンサルタントに依頼をすればいいのか」で迷われている方も多いと思います。

予備知識や自社の基準が不明確な状態で選ぶことにはリスクがあります。安さだけに惹かれて失敗したというお声がISOプロに入ることも少なくありません。そのような失敗をしないためにも、まず初めに自社がなぜISOを取得するのか目的を整理しましょう。目的が明確になっていれば、それがISOコンサルタントを選ぶための判断基準となります。

例えば、取引先からISO認証取得が求められているということであれば、スピード対応ができるISOコンサルタントが望ましいでしょう。業務効率化のために自社のマネジメントシステムを構築したい場合は、その業界に知見のあるISOコンサルタントが望ましいと言えます。

取得スピード最優先の場合の注意点

取引先からのISO認証取得を求められ、急ぎで取得したい場合「事務局型サポート(テンプレート)」のISOコンサルタントを利用する企業様が多いかと思います。テンプレートに沿った不足箇所を埋めていくため、安価かつスピーディなISO認証取得ができます。

しかしテンプレートでの対応には注意が必要です。ISO取得のためだけの業務やルールを追加することで、担当者は実務+αの業務を担当することになります。業務や運用に負荷がかかる「重いISO」や「ISOは面倒」というイメージは本業からかけ離れたルールの追加が主な原因です。長期的にISOを運用していくと「やらなきゃいけないからただやっている」いわゆる形骸化の状態になり、ISOを返上する企業も少なくありません。

「まずは取得」であっても、取得後に軌道修正を行うことで本業への負荷は抑えられます。ただ途中で軌道修正する場合、ボリュームのあるマニュアルを修正していくことになり、大きな工数がかかります。できる限り、初期構築で自社に合ったマネジメントシステムを構築することが重要です。

関連記事:ISOテンプレコンサル会社に注意!?3つのデメリットと危険性

ISOコンサルタントを選ぶ3つのポイント

コンサルタントの質

ISOコンサルタントを選ぶ上でコンサルタントの質、つまり“お客さまに寄り添えるコンサルタントなのか”は重要なポイントです。しかしこればかりは契約後でないと見えづらい部分です。そこで質を事前に判断するために『価格』をチェックしてみましょう。

極端な低価格を提示して安さに拘るISOコンサルタント業者には注意が必要です。低価格なISOコンサルタントの場合、1人のコンサルタントが多くの企業のサポート業務をこなしているので1社1社に寄り添う時間がなく、担当者がコロコロと変わってしまうケースも珍しくありません。メールの返信などのレスポンスの遅さや分からないことがあっても気軽に質問を行えないこともあります。初めてのISO取得ではご不安に感じるかもしれません。

特にコンサルタント会社は、企業であるため売り上げに対して掛けられる時間(工数)は決まっています。1社あたりにかけられる時間(工数)=質として、『価格』を“お客さまに寄り添えるコンサルタント”であるかの指標にすることができます。まずは安さの理由を確認することが大切です。

コンサルタントのサポート内容

2つ目は『サポート内容』が挙げられます。ISOコンサルタントが“一体どこまでサポートしてくれるのか”は当然気になるポイントでしょう。

例えば、ISOについて分からないことがあった場合に気軽にISOの質問ができるのか、訪問回数に制限があるのか、電話対応は気軽に行えるのか、取得スケジュールに沿って進めてくれるのか、審査時の立ち会いに応じてくれるのかなどがあります。

これからISO認証取得を行う企業にとってどこまでISOコンサルタントに頼って良いのか分からない部分が多いかと思います。まずは何をしてくれるのかを確認しましょう。またISOコンサルタントにサポートして欲しいところが明確であれば、そこをサポートしてもらえるかも必ず確認しましょう。

実際に聞いてみたいコンサルタントの過去の実績

3つ目は『コンサルタントの過去の実績』です。実際に相見積もりの段階でメールや電話、実際に対面する場などがあれば、過去に自社と同じ業種や規模のサポートで実績はあるのか。何社対応しているのか、取得まで持っていけたのはどのくらいの割合なのかを聞いてみましょう。

コンサルタント選定の段階でも会社のホームページ等に「○○社サポート実績」やお客様のインタビュー記事などでそのコンサルタント会社が過去にどのような企業を対応してきたのか把握することができます。

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ISOコンサルタント選びを失敗した時のリスク

「ISOの形骸化」と「重いISO」

ISOコンサルタントの選定を誤るとは、取得ができないことではありません。基本的にどのタイプのコンサルタントも取得までは持っていけることでしょう。不安な場合は、取得できなかった場合の返金制度があるところがおススメです。選定選びの失敗とは自社の状況に合わないマニュアルを構築され、なんの改善にも繋がらない「形骸化したISO」や、いたずらに従業員への負担を増やす「重いISO」となることです。

事務局型サポート(テンプレート)のコンサルタントは、基本的に企業ごとの状況を考慮する余地はないため注意が必要です。また事務局型サポート(フルサポート)のコンサルタントでも、昔のISOにこだわるコンサルタントには注意が必要です。例えばISO9001 は、2000年版では「手順書を作る」ように要求していました。2008年版では「手順を文書化する」とされ、最新の2015年版では「手順を明確にする」ように要求しています。つまり、必ずしも文書化が必要なくなっているのです。

昔のISOにこだわるコンサルタントは、なんでも文書化する傾向にあります。現在では文書化しなくても済むところを文書化するため、無駄な工程や手順をマニュアルに組み込むことになります。通常業務+αの業務は従業員の負担を増やし、「ISOの形骸化」や「重いISO」に繋がります。とにかく文書化をするコンサルタントには注意した方がいいでしょう。

しっかり「改善に繋がるISO」であること、従業員の「負担が最小限のISO」であることが、企業の事業成長には必要です。そのためには自社の状況に合わせてISOを構築することが非常に重要なのです。

【重要】複数社の見積もりは必ず取る

ISOは取得して終わりではなく、継続的に運用しつづけるものです。つまりISOコンサルタントとも長い付き合いとなります。

「コンサルタントの質」「サポート内容」「実績」の3つのポイントを踏まえて、自社の状況に合ったISOコンサルタント会社を選ぶためにも複数社へ見積もりを取りましょう。3つのポイント以外にも、レスポンスの速さ、営業担当の人柄など様々な違いが見えてきます。特にレスポンスは重要です。問い合わせてからの返事の速さ、見積もりを用意する速さ、普段のやり取りの速さなどを見て、今後のやり取りのスピード感に期待できるかを確認しましょう。

各社とのやり取りを通じ、取得する目的とバランスの取れたISOコンサルタントを選ぶことで、“良いコンサルタント”に出会える可能性が高まります。

現役コンサルタントが伝授!コンサルタントの見極め方

ここでは現役コンサルタントが伝授するISOコンサルタントの見分け方を解説します。ヒアリングの段階で下記のような質問を行い、その返答でどんなコンサルタントか見極めるのにご活用いただけますので、ぜひご確認ください。

ISOコンサルタントに依頼した際、同じ担当者が担当してくれるのでしょうか?
定期的にコンサルタントが変わる場合があります。
同じ担当者が長期的に担当を行うと考えが偏る場合があるので、数年スパンで担当者が変わるのは望ましいでしょう。しかし、コンサルタント会社によっては1,2回担当しただけでコロコロと担当者が変わる場合があるので、短いスパンで担当者が変わるコンサルタントには要注意です。またイチから説明したりと多くの工数が発生したりする可能性が高いです。
ISO担当者はどのような方が担当されるのでしょうか?
弊社のISO担当者はチームで動いており、お客様をサポートいたします。
コンサルタント会社の中にはベテランが担当せず、チーム内の経験の浅い部下にISOを担当させるケースがあります。その場合、質問をしてもすぐには回答が得られないなどやり取りにストレスがかかる可能性が高いです。どのような人がISO担当者になるのかを把握しておきましょう。
なぜ価格が安いのですか?
弊社はあらかじめ用意しているテンプレートに沿ってマネジメントシステムの構築を行うので工数を掛けずに作業を進めることができるので、低価格での対応が可能です。
テンプレートに沿ってマネジメントシステムを構築すると低価格でスピーディな対応が可能ですが、自社の状況を考慮して構築されません。会社の効率化を目的にISO取得を望む場合は自社の状況に合わせてマネジメントシステムを構築するコンサルタントに依頼した方が良いでしょうか。基本的に中長期で認証を継続したい場合は、自社の状況に合わせられる事務局型サポート(フルサポート)タイプのコンサルタント会社が望ましいです。
ISOを導入すると弊社の従来の仕事のやり方は大きく変わるのでしょうか?
ISOのため、仕事のやり方を変えていただくかもしれません。
ISO認証取得のために従来の会社のやり方を大きく変更する必要は基本的にありません。しかし、コンサルタントの中にはISO認証取得のためにやり方の変更を提案してくるコンサルタントもいます。ISO認証取得の目的は業務の効率化なので、やり方を変更してしまうと逆効果になる恐れがあります。
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まとめ

ISOを長期的に運用し、事業成長に繋げるためには「改善に繋がるISO」であること、従業員の「負担が最小限のISO」であることがとても重要です。それには「自社に合ったISOの構築」が必要となります。テンプレートで対応するコンサルタントや、とにかく文書を作る昔のISOにこだわるコンサルタントでは、「自社に合ったISOの構築」は実現できない可能性が非常に高いのです。

これからISO認証取得のサポートをコンサルタントに依頼しようとされている方、また既にISOコンサルタントへ依頼していてリプレースを検討している方は、ぜひ「質」「サポート内容」「実績」の3つのポイントを押さえて、自社にとって“良いコンサルタント”との出会いに繋げていただければと思います。

ISOプロでは、お客様の会社規模や業種に応じて、各業界の知見を持つコンサルタントが、会社の実情に合わせたISOの構築を行っています。簡単なご相談からお見積りまでご案内できますので、ご興味ある方はぜひご相談ください。

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