ISOコンサルタントとは?サービス内容や役割・選び方・費用を専門家が解説

- ISOコンサルタントは、ISO取得や運用の指導や支援をしてくれる
- ISOコンサルタントになるために、特別な資格は必要ない
- リスクを避けるために、ISOコンサルタントはしっかり選ぶ必要がある
ISO 認証を取得するには、各規格 に定められた要求事項を満たすマネジメントシステムの構築・運用が必要です。そのため、ISO認証に関する知識やノウハウ、経験といった力量が求められます。
しかし、こうした力量をもつ人材がいない場合には、コンサルタントに取得サポートの依頼を検討している方も多いでしょう。
そこで、本記事では「そもそもISO取得にあたってコンサルタントは必要なのか?」について、ISOコンサルタントが行う仕事や選び方、費用の相場感なども交えて解説します。
目次
ISOコンサルタントとは
ISOコンサルタントとは、「企業がISO認証を取得し、正しく運用していくためにサポートする専門家」のことです。ISO認証コンサルティングやISO認証取得コンサルタントとも呼ばれています。
ISO認証は「品質」「環境」「情報セキュリティ」などの分野において、国際的に決められたルールに基づいた仕組みを構築し、運用していることを第三者機関に認証してもらう制度です。しかし、はじめて取り組む企業にとっては専門用語や手続きが多く、何から手をつけてよいか迷うケースも少なくありません。
そこで、多くの組織が活用しているのがISOコンサルタントです。
企業の現状をヒアリングしたうえで、規格に沿った仕組みづくりを提案したり、必要な書類や手順を整えたりと、専門的な部分をわかりやすくサポートしてくれます。企業がISO認証をスムーズに取得し、その後も維持していけるように二人三脚で歩んでいく「パートナー」のような存在です。
ここでは「ISOコンサルタントがどういう人か」について必要な資格やスキルの面を解説します。
ISOコンサルタントになるための資格
ISOコンサルタントになるために「必須の国家資格」や「特定の試験」は存在しません。実は、誰でもISOコンサルタントになることが可能です。
ただし、実際に企業をサポートするためには、ISOに関する深い知識と実務経験が欠かせません。そのため、一般的には以下のような経験や資格をもつ人物がISOコンサルタントとして活動しています。
- ISO取得の審査を行う認証機関(審査機関)の審査員資格を保持している人
- ISOコンサルティング会社での実務経験がある人
- ISO取得企業でQMR(品質管理責任者)などISO運用を担当していた人
こうした実務経験があると、規格を理解しているだけでなく「現場でどう運用されているか」「審査で何をチェックされるか」といった実践的な知識も持ち合わせているため、企業にとって心強い存在になります。
ISOコンサルタントに必要なスキル
ISOコンサルタントには必須資格はありませんが、誰にでもできる仕事というわけではありません。
企業が安心して依頼できるコンサルタントかどうかは、保有している「スキル」によって大きく変わります。つまり、スキルの有無がISOコンサルタントの「質」に直結するのです。
そこで、以下にISOコンサルタントに求められる主なスキルをまとめました。
- ISO規格に関する専門知識:品質、環境、情報セキュリティなど、ISO規格ごとの要求を理解し、実務に適用できる知識
- わかりやすく説明する力:専門的な規格を、はじめてISOに触れる人でも理解できるように噛み砕いて伝える力
- ヒアリング力:クライアント企業の課題や目的をきちんと理解し、その企業に合った仕組みを提案できる力
- コミュニケーション力:経営層から現場担当者まで、幅広い立場の人とスムーズにやり取りできる力
- 計画性(スケジューリング力):認証取得や審査対応の期限を遵守できる、段階的に計画を立てて進める力
- 提案力:規格の要求を満たすだけでなく、より良い仕組みにするための改善提案を行う力
- 専門知識と最新情報の理解:ISO規格は数年ごとに改訂されるため、常に最新の要求事項を理解し、正しく対応できる知識
- 企業経営に関する幅広い知識:より実務に即した提案を行うための、さまざまな業種や企業規模におけるISO運用経験や知識
これらのスキルをバランスよく持っているISOコンサルタントほど、企業にとって信頼できるパートナーとなります。「どのようなスキルや実績をもっているか」を確認することが、安心して任せられるISOコンサルタント選びにつながります。

ISOコンサルタントの主な業務・役割
ここでは、ISOコンサルタントの主な業務・役割として、「取得・運用サポートを依頼した際に受けられるサービス」について解説します。
取得にかかる作業代行
これからISO規格を取得する場合に、企業は第三者機関による審査を受ける必要があります。そのために必要な作業は多岐に渡ります。
- 取得までのスケジュール作成・管理
- 必要書類の作成や準備
- 審査機関への調査や見積もり依頼
- 審査当日の対応や手続き
こうした手間のかかる作業代行も、ISOコンサルタントの重要な仕事の一つです。
マネジメントシステムの構築・運用サポート
ISO規格の要求事項を満たすためには、自社に合ったマネジメントシステムを構築し、正しく運用する必要があります。ISOコンサルタントは以下の支援を行います。
- 現状分析に基づく改善点の提案
- 規格に沿った仕組みや手順書の作成
- 社員向けの教育・研修による運用方法の浸透
- 内部監査の実施サポート
企業の状況や業種に合わせて、実務に落とし込んだ形で支援するのが特徴です。
取得後の運用サポート
ISOは一度取得したら終わりではなく、毎年の維持審査や更新審査があります。ISOコンサルタントは、取得後も継続的に運用できるように以下のサポートを提供します。
- 内部監査の実施と是正点のフォロー
- マネジメントレビューの実施支援
- マネジメントシステムの審査対応
- 継続的な改善提案
運用サポートにより、企業はISO規格に沿った運用を続けながら、管理体制の向上を実現できます。
ただし、すべてのISOコンサルタントが紹介したようなサポートが可能とは限りません。実際のISOコンサルタントの仕事例を知りたい方は、下記の導入企業インタビューをご覧ください。
ISO取得・運用をISOコンサルタントに依頼するメリット
実際に弊社が行った「ISO認証取得とコンサルティング企業についての経験談」に関する調査によると、「コンサルタントへの依頼を考えている理由」として、以下の回答が得られました。
- プロの知見が欲しい(36.3%)
- 上手く運用できていない(33.3%)
- 審査対応の負荷が大きい(28.7%)
- 担当者の負担が大きい(25.3%)
- マニュアルをスリム化したい(23.0%)
- 本業に支障が出ている(18.4%)
この結果から、ISOコンサルタントは「ISO認証を取得・運用する企業のニーズを幅広く満たす存在」であることがわかります。それでは、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。
スムーズな認証取得が可能
ISOコンサルタントは、ISO規格の専門知識をもとに、必要な手順や書類作成、審査対応を的確にサポートします。申請や審査でのミスが低減し、取得にかかる期間を大幅に短縮することが可能です。
特にはじめてISO認証に挑戦する企業では、規格の要求事項や審査の流れが複雑で戸惑うことが多くあるでしょう。
しかし、ISOコンサルタントが手順や注意点を丁寧に指導してくれるため「どの順番で作業すれば良いか」「何を優先すべきか」が明確になり、安心して進められるのが大きなメリットです。
内部リソースの負担を軽減できる
すべての工程を自社の社員で行う場合、その作業量は膨大で、従業員にかかる負担は非常に大きくなります。不慣れな作業を行うことで、取得に1年以上かかることも珍しくありません。
しかし、依頼するISOコンサルタントによっては、工数の80%程度を削減することも可能です。
組織改善・事業体制の強化にも貢献
審査に通るために各規格の要求事項にだけ注力すると、自社に合わない「重いISO」を構築してしまうリスクがあり、実務に支障が出る可能性があります。
その際、ISOコンサルタントが業務プロセスやマネジメント体制の改善視点からサポートすることで、実務に即した効率的なISO構築が可能になります。
具体的には、「要求事項の遵守」と「自社に適した運用」のバランスを取ることで、社内の業務効率化や品質管理の向上、従業員の意識改革といった組織改善を実現します。結果として、ISO認証取得をきっかけとした組織強化にもつながるのです。

ISOコンサルタントに依頼した場合の取得プロセス
ここでは、ISOコンサルタントに依頼した場合の取得プロセスを解説します。
ISOコンサルタントに依頼すると、取得までのプロセスが体系的に整理され、スムーズにISO認証を取得できます。一般的な流れをまとめましたので、参考にしてください。
1.無料相談・ヒアリング
まずは企業の状況や目的をヒアリングし、取得を目指すISO規格や課題を整理します。ここで、必要なサポート内容やISOコンサルタントのサービス範囲も確認したうえで、依頼内容を明確に決定しましょう。
また、契約締結後には、コンサルによる業務ヒアリングや審査機関の選定補助、取得までのスケジュール作成などのISO認証取得に向けた準備を行います。
2.業務設計・ギャップ分析
現状の業務やマネジメント体制を分析し、ISO規格の要求事項とのギャップを洗い出します。どの業務やプロセスを改善・整備すべきかが明確になり、効率的に取得準備を進められます。
3.マニュアル整備・運用支援
ギャップ分析に基づき、必要なマニュアルや手順書の整備、業務フローの改善を行います。また、従業員への教育や運用支援を通じて、ISOの考え方やルールが組織に浸透するようサポートします。
4.審査対応・取得後サポート
ISO認証の審査では、必要書類や運用状況の確認が行われます。コンサルタントは審査対応の指導や内部監査支援を行い、スムーズな取得をサポートします。取得後も、継続的改善や定期審査への対応を支援することで、長期的に運用体制を安定させます。
申請にかかるスケジュールは、以下のようなイメージで実施されます。
※上記はお急ぎの場合の新規取得時のイメージです。組織の要望、利用プランなどにより内容は異なります。
信頼できるISOコンサルタントの選び方
ISOのコンサルタントになるには資格が必要ないため、サービス品質には差があります。ここではISOコンサルタントへ依頼すると決めた場合、どのようにコンサルタントを選べば良いかを解説します。
またISOコンサルタント会社の選定を上司から任された方向けに、ヒアリングするポイントをまとめた記事もございますので、ぜひご一読ください。
コンサルタントの種類
ISOコンサルタントはサポートの方法によって大きく3種類に分けられます。
比較的高額なISO取得に向けての教育などを行う指導型、企業に合わせてISOの構築を行う事務局型、テンプレートを用いる代行型です。
それぞれメリットデメリットがあるため、自社の目的に合ったISOコンサルタントを見つけることが重要です。
過去の実績の豊富さ
「コンサルの力量・質=経験・実績」といっても過言ではありません。自社の規模や事業に近い組織の実績があるかは必ず確認しましょう。
過去の実績が豊富であれば、マネジメントシステムの構築や取得・運用において実例を伴う最適なコンサルティングが期待できます。Webサイトにサポートした会社名とコメント・インタビューなどが掲載されているコンサルタント会社を選ぶことで、選定に失敗する確率は大きく下がるでしょう。
ISOコンサルタントやコンサルタント会社は多く存在するため、あえて実績がWebサイトに掲載されていない会社から選ぶ必要はないといえます。
ISOプロではサービスをご利用いただいたお客様の声を掲載しています。ぜひご覧ください。
サポート内容
ISOコンサルタントのサポート内容を確認しましょう。
例えば、以下の点については企業により異なることが多くあるため、確認することがおすすめです。
- 文書作成の代行
- 指導だけで作業は自社で行うのかどうか
- 内部監査の実施有無
- 社員教育の実施有無
他にも訪問回数や電話対応の制限があるのか、審査時の立ち会いに応じてくれるのかなどのサポートが可能かどうかを確認することも大切です。取得スケジュールに沿って、どこまでサポートしてくれるのかを確認し、自社の要望にマッチしているかどうかが重要です。
コンサルティング費用
コンサルティング費用は、ISOコンサルタントの質を見極めるための目安の一つとなります。
企業体である以上、売上に対してかけられる工数は決まっています。安すぎると当然1社あたりにかけられる工数は少なくなるため、各企業に寄り添うことは難しいでしょう。
のちほどコンサルタントの費用相場について解説しますので、コンサルティング費用が相場から逸脱していないかどうかを見極めましょう。あまりにも費用が安い企業には、安さの理由を必ず確認することが大切です。
担当コンサルタントのコミュニケーション能力
ISOコンサルタントに取得サポートを依頼した場合、ISO取得までには6か月~1年程度の時間がかかることが一般的です。その間、ISOコンサルタントとはコミュニケーションを取りながら進行することになります。
そのため、担当となるISOコンサルタントのコミュニケーション能力や価値観が合わないと、それだけで負担となったり、スムーズな進行が難しくなったりするでしょう。
ISOコンサルタントを選ぶ際は、まず相談や見積もりなどの打ち合わせを通じて担当者との相性を確認することも大切です。
ISOコンサルタントの選び方の詳細やコンサル選びに失敗した場合のリスクなどは、以下の記事をご覧ください。

ISOコンサルタントの費用相場
コンサルタントの料金を左右する要素は、適用範囲、規格数・規格の種類、業務内容・範囲などが挙げられます。
これらの要因次第で金額は前後しますが、目安としては月額料金制のサポートで月額4~10数万円、取得までを一式としたサポートで45~150万円程度となります。
月額制のコンサルは、取得後の運用のサポートを見据えているところが多い一方、取得までを一式としているコンサルは、オプションで取得後のサポートをしてくれるところもあります。
ISOは取得してからがスタートとなるため、取得後の運用を見越して付き合える会社を選ぶことが大事です。
価格が他と比べて「高すぎる」「安すぎる」と感じた場合は、その価格の理由についてしっかり確認するようにしましょう。安すぎる場合は、コンサルの選定に失敗し、ISOが会社の大きな負担になるケースもあります。
関連記事:ISO認証取得にかかるISOコンサルタント業者の費用と選ぶポイント
関連記事:ISO認証の取得に必要な費用を解説【業種別の審査費用相場あり】
ISOコンサルタントのサポートを受けた企業の導入事例
ここでは、ISOコンサルタントのサポートを受けてISO認証を取得した企業の事例を紹介します。各事例における取得の背景や課題、ISOコンサルタントによるサポートを受けた感想などを、ぜひ参考にしてください。
【ISO9001】金融業・保険業の導入事例
アスパインシュアランスサービス株式会社は、法人のリスクマネジメントに特化し、地域密着型で顧客ファーストの視点を大切にしている金融業・保険業の会社です。
以下に、ISO9001(品質マネジメントシステム)を取得した背景やISOコンサルタントによるサポートを受けた感想をまとめました。
ISO9001を取得した背景 | 業界でM&Aによる合併・組織化が進んでいたが、「品質維持・向上」という方針を取ったことで、お客様に安定したサービスをお届けするためにISO9001の取得が必須だと考えたため。 |
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ISO9001取得による効果 | 自社規程の不十分な点がわかり、担当スタッフの品質意識が向上した。 |
ISOコンサルタントに依頼したサポート内容 | ISO9001の新規取得サポート |
ISOコンサルタントによるサポートを受けた感想 |
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アスパインシュアランスサービス株式会社の取得事例の詳細は、以下の記事をご覧ください。
【ISO14001】卸売業の導入事例
穂高電子株式会社は、業務用の騒音・振動測定器や電波測定器、周波数測定器などを扱っている商社です。
過去にISO14001を自社取得したものの、環境活動が全社員に定着したことから返上された経験があります。
以下に、ISO14001(環境マネジメントシステム)を取得した背景やISOコンサルタントによるサポートを受けた感想をまとめました。
ISO14001を取得した背景 | サプライヤーから原材料や部品、商品などを仕入れる際に環境負荷を考慮したものを優先的に仕入れるグリーン調達により、顧客からISO14001の取得を求められたため。 |
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ISO14001取得による効果 | 顧客の要求に応えられたことで、取引先との取引が円滑に進むようになった。 |
ISOコンサルタントに依頼したサポート内容 | ISO14001の新規取得サポート |
ISOコンサルタントによるサポートを受けた感想 |
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穂高電子株式会社の取得事例の詳細は、以下の記事をご覧ください。
【ISO27001】情報処理サービス業の導入事例
株式会社エム・ディ・エスは、九州を中心に全国の企業や公共団体、自治体向けにシステム開発やデータ入力、ITインストラクターのアウトソーシング全般の業務を行っている情報処理サービスの会社です。
以下に、ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得した背景やISOコンサルタントによるサポートを受けた感想をまとめました。
ISO27001を取得した背景 | 自治体の入札条件としてISO27001の認証取得が求められることが増えてきたため。 |
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ISO27001取得による効果 |
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ISOコンサルタントに依頼したサポート内容 | ISO27001の新規取得サポート |
ISOコンサルタントによるサポートを受けた感想 |
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株式会社エム・ディ・エスの取得事例の詳細は、以下の記事をご覧ください。

まとめ
ISO認証をする場合は、ISOコンサルタントへ依頼したほうが自社で取得するよりも早く確実といえます。しかし、ISOのコンサルタントになるには資格は必要ないため、ポイントを押さえてしっかりと選定する必要があります。
ぜひ本記事でお伝えしたポイントを押さえて、コンサルタントを選定していただければと思います。
ISOプロでは、ISOの各種認証取得や運用、マニュアル作成など幅広くサポートしており、企業様の実情に合わせたムダのないご提案を心がけています。既に認証を取得しているお客様においても、ISOの専門家としてのご提案が可能なので、さらに詳しくISO認証後の運用を知りたいという方は、お気軽に資料請求、またはお問い合わせください。

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