ISOコンサルタントは必要?サービス内容や選び方、費用相場を解説

- ISOコンサルタントは、ISO取得や運用の指導や支援をしてくれる
- ISOコンサルタントになるのには資格は必要ない
- リスクを避けるために、ISOコンサルタントはしっかり選ぶ必要がある
ISO認証を取得するには、各規格に定められた要求事項を満たすマネジメントシステムの構築・運用が必要です。そのため、ISO認証に関する知識やノウハウ、経験といった力量が求められます。
しかし、こうした力量をもつ人材がいない場合には、コンサルタントに取得サポートの依頼を検討している方も多いでしょう。
そこで、本記事では「そもそも取得にあたってコンサルタントは必要なのか?」について、ISOコンサルタントが行う仕事や選び方、費用の相場感なども交えて解説します。
目次
ISOとは
そもそもISOとは、国際標準化機構という非営利組織のことです。国際的な取引をスムーズにするため、世界的な共通基準である規格を策定しています。一般的にはこの規格を指して、ISOといわれます。
ISO取得の仕組み
ISOマネジメントシステム規格の取得は、第三者認証制度が採用されています。
第三者認証制度とは、「自社以外の第三者によって審査され、認証を受ける制度」です。ISO認証の場合の第三者は、ISO認証機関(審査機関)のことを指します。
ISO規格を取得するには、ISO規格で示されている要求事項の内容に適合し、有効に機能しているマネジメントシステムを構築・運用することが必要です。そのうえで審査を受け、審査で受けた指摘を是正しなければいけません。一発で審査に通ることはほとんどなく、何かしら指摘を受けることになります。
さらに、取得後にも継続的な運用や内部監査、1年ごとの継続審査、3年ごとの更新審査などを受けることが求められます。
このように
ISO規格を取得し、運用を継続するにはさまざまな工程を行う必要があるため、ISOコンサルタントに取得・運用サポートを依頼することが一般的なのです。ISOコンサルタントの必要性については、のちほど詳しく解説します。
ISOコンサルタントとは
ISOコンサルタントとは、「ISO規格の知識を有し、ISO認証の取得や運用の指導や支援をしてくれる人」のことです。ISO認証コンサルティングやISO認証取得コンサルタントとも呼ばれています。
ここではISOコンサルタントがどういう人か、について必要な資格やスキルの面から解説します。
ISOコンサルタントになるための資格
ISOコンサルタントになるために、必要な資格や受けるべき講習はありません。ISO知識と経験があれば、誰でもコンサルタントになることが可能です。
たとえば、以下のようにISOに関する経験をもった人がコンサルタントになることが一般的です。
- ISO取得の審査を行う認証機関(審査機関)の審査員資格を保持している人
- ISOのコンサルティング会社で勤めていた人
- ISO取得企業でQMR(品質管理責任者)をやっていた人
ISOコンサルタントに必要なスキル
ISOコンサルタントに必要な資格が特にないことから、ISOコンサルタントの質は人によって異なります。
どのようなスキルをもっていることが望ましいのでしょうか。以下に、ISOコンサルタントに必要な主なスキルをまとめました。
- 専門的な内容をわかりやすく説明する力
- クライアント企業の状況や目的を理解するヒアリング力
- 軽やかでスムーズなコミュニケーション力
- 綿密なスケジューリング力
- より適切なマネジメントシステムを構築・運用するための提案力
- ISO規格に関する専門知識
- 最新のISO要求事項の理解
- さまざまな業種や企業規模などの企業経営に関する幅広い知識
ISOコンサルタントの仕事
ここでは、ISOコンサルタントの主な仕事を解説します。つまり、取得・運用サポートを依頼した際に受けられるサービスのことです。
取得にかかる作業代行
これからISO規格を取得する場合に、企業は第三者機関による審査を受ける必要があります。
そのためには、取得までの綿密なスケジュール管理や必要書類の作成・準備、審査機関の調査や見積もり依頼、審査対応などのさまざまな事務的な作業を行わなければなりません。
こうした取得にかかる作業代行も、ISOコンサルタントの仕事の一つです。
マネジメントシステムの構築・運用サポート
ISOコンサルタントの最も代表的な仕事といえば、マネジメントシステムの構築・運用のサポートです。
ISOマネジメントシステム規格を取得するには、各規格で示されている要求事項に則ったマネジメントシステムを構築・運用しなければなりません。そのためには、要求事項への深い理解はもちろん、自社の状況を正しく理解したうえで仕組みに落とし込んでいくことが必要です。
取得後の運用サポート
取得後の運用サポートもISOコンサルタントの仕事です。
ISO規格は審査に受かったら完了ではなく、毎年、維持審査や更新審査があります。そのため、取得後も継続的に運用することが求められます。
運用サポートとしては、内部監査の実施や是正点のフォロー、マネジメントレビューの支援、マネジメントシステムの審査対応などが挙げられます。
ただし、すべてのISOコンサルタントが紹介したようなサポートが可能とは限りません。実際のISOコンサルタントの仕事例を知りたい方は、下記の導入企業インタビューをご覧ください。

ISO認証の取得にコンサルタントが必要な理由
ここでは、自社取得も可能なISO認証の取得において、ISOコンサルタントに取得サポートを依頼するべき理由について解説します。
自社取得は難易度が高い
ISO規格への知識や取得に関する経験がなければ、まずは規格の勉強から始めることが必要です。本業の仕事を行いながら、ISO規格の知識を一から身につけるのはとても大変です。
さらに、要求事項や管理策などを適用したうえで、自社がムリなく運用できる体制へと柔軟に落とし込むスキルも求められます。
またISO規格は数年に一度の頻度で改訂されることから、常に最新情報をチェックしなければなりません。改訂内容と自社のマネジメントシステムと照らし合わせて、変更点に対応することが求められます。
このように、ISO規格の自社取得の難易度は高いといえます。そのため、多くの企業はISOコンサルタントに取得サポートを依頼しているのです。
作業工数が膨大であるため
すべての工程を自社の社員で行わなければならないため、従業員にかかる負担は非常に大きくなります。不慣れな作業を行うことで、取得にかかる期間が1年以上に長引くこともよくあります。
依頼するISOコンサルタントによっては、工数の80%程度を削減することも可能です。
自社に適したマネジメントシステムを構築するため
各規格の要求事項に適合することだけに注力すると、自社の実情に合わない「重いISO」を構築してしまう可能性があります。
「重いISO」とは、要求事項を満たすために大量にムダなルールや文書を作成し、運用しづらく従業員の負担が増えてしまうことです。
また取得審査時には、指摘事項が認証機関によって異なるため、指摘された部分を言われるがままに修正し、運用しづらいマネジメントシステムを構築してしまうことも珍しくありません。
こうした事態を防ぎ、自社に適したマネジメントシステムを構築するためには、経験が豊富なISOコンサルタントに依頼することがおすすめです。
下記の記事で自社取得とコンサルに依頼して取得する際の比較をしています。ぜひ、参考にしてください。
ISO認証取得後の運用にコンサルタントが必要な理由
ISO取得後の運用において大切なことは、そのマネジメントシステムが「適合性」と「有効性」を兼ね備えているかどうかです。その点で考えても、ISO規格の認証を受けた後の「維持」はとても重要なポイントです。
ISOシステムが組織に根付き効果を発揮するには、ある程度の時間がかかるものです。そのため、認証取得後もシステムの精度向上のために、内部監査教育や目標展開、継続的改善に向けて動く必要があります。
ISO専門コンサルティングサービスの多くは、PDCAサイクルが機能しているかなど認証取得後のサポートもサービスの一環としています。
良いコンサルタントは、ISO認証取得を代行して終わりではなく、経営改善のためのISO構築を実現してくれる のです。このような運用後の支援にもいくつかのパターンがあります。例えば、一年間の顧問契約で、3ヵ月に1回程度の訪問で運用への指導をするなど、コンサルティング会社によって支援体制は異なります。
事前に確認し、コンサルティング会社を選定する際のポイントとして押さえておきましょう。可能であれば、直接対面して話すことをおすすめします。

ISOコンサルタントの選び方
ISOのコンサルタントになるには、資格が必要ないため、サービス品質もピンキリといえます。ここではISOコンサルタントへ依頼すると決めた場合、どのようにコンサルタントを選べば良いかを解説します。
またISOコンサルタント会社の選定を上司から任された方向けに、ヒアリングするポイントをまとめた記事もございますので、ぜひご一読ください。
コンサルタントの種類
ISOコンサルタントはサポートの方法によって大きく3種類に分けられます。
比較的高額なISO取得に向けての教育などを行う指導型、企業に合わせてISOの構築を行う事務局型(フルサポート)、比較的安価な事務局型(テンプレート)です。
それぞれメリットデメリットがあるため、自社の目的に合ったコンサルタントを見つけることが重要です。
過去の実績の豊富さ
「コンサルの力量・質=経験・実績」といっても過言ではありません。自社の規模や事業に近い組織の実績があるかは必ず確認しましょう。
過去の実績が豊富であれば、マネジメントシステムの構築や取得・運用において実例を伴う最適なコンサルティングが期待できます。Webサイトにサポートした会社名とコメント・インタビューなどが掲載されているコンサルタント会社を選ぶことで、選定に失敗する確率は大きく下がるでしょう。
ISOコンサルタントやコンサルタント会社は多く存在するため、あえて実績がWebサイトに掲載されていない会社から選ぶ必要はないといえます。
ISOプロではサービスをご利用いただいたお客様の声を掲載しています。ぜひご覧ください。
サポート内容
ISOコンサルタントのサポート内容を確認しましょう。
例えば、以下の点については企業により異なることが多くあるため、確認することがおすすめです。
- 文書作成の代行
- 指導だけで作業は自社で行うのかどうか
- 内部監査の実施有無
- 社員教育の実施有無
他にも訪問回数や電話対応の制限があるのか、審査時の立ち会いに応じてくれるのかなどのサポートが可能かどうかを確認することも大切です。取得スケジュールに沿って、どこまでサポートしてくれるのかを確認し、自社の要望にマッチしているかどうかが重要です。
コンサルティング費用
コンサルティング費用は、コンサルタントの質を見極めるための目安の一つとなります。
企業体である以上、売上に対してかけられる工数は決まっています。安すぎると当然1社あたりに掛けられる工数は少なくなるため、各企業に寄り添うことは難しいでしょう。
のちほどコンサルタントの費用相場について解説していますので、コンサルティング費用が相場から逸脱していないかどうかを見極めましょう。あまりにも費用が安い企業には、安さの理由を必ず確認することが大切です。
担当コンサルタントのコミュニケーション能力
ISOコンサルタントに取得サポートを依頼した場合、ISO取得までには6か月~1年程度の時間がかかることが一般的です。その間、ISOコンサルタントとはコミュニケーションを取りながら進行することになります。
そのため、担当となるISOコンサルタントのコミュニケーション能力や価値観が合わないと、それだけで負担となったり、スムーズな進行が難しくなったりするでしょう。
ISOコンサルタントを選ぶ際は、まず相談や見積もりなどの打ち合わせを通じて担当者との相性を確認することも大切です。
ISOコンサルタントの選び方の詳細やコンサル選びに失敗した場合のリスクなどは、以下の記事をご覧ください。
ISOコンサルタントの費用相場
コンサルタントの料金を左右する要素は、適用範囲、規格数・規格の種類、業務内容・範囲などが挙げられます。
これらの要因次第で金額は前後しますが、目安としては月額料金制のサポートで月額4~10数万円、取得までを一式としたサポートで45~150万円程度 となります。
月額制のコンサルは、取得後の運用のサポートを見据えているところが多い一方、取得までを一式としているコンサルは、オプションで取得後のサポートをしてくれるところもあります。
ISOは取得してからがスタートとなるため、取得後の運用を見越して付き合える会社を選ぶことが大事です。
価格が他と比べて「高すぎる」「安すぎる」と感じた場合は、その価格の理由についてしっかり確認するようにしましょう。安すぎる場合は、コンサルの選定に失敗し、ISOが会社の大きな負担になるケースもあります。
関連記事:ISO認証取得にかかるISOコンサルタント業者の費用と選ぶポイント
関連記事:ISO認証の取得に必要な費用を解説【業種別の審査費用相場あり】

まとめ
ISO認証をする場合は、ISOコンサルタントへ依頼したほうが自社で取得するよりも早く確実といえます。しかし、ISOのコンサルタントになるには資格は必要ないため、ポイントを押さえてしっかりと選定する必要があります。
ぜひ本記事でお伝えしたポイントを押さえて、コンサルタントを選定していただければと思います。
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