ISO 内部監査 は、マネジメントシステムPDCAサイクルを回して運用するうえで重要なプロセスです。内部監査を効果的に実施することで、「現在のマネジメントシステムの課題」が明らかになるため、マネジメントシステムの継続的発展につながります。

そして、そのためには力量 のある内部監査員の存在は欠かせないものです。しかし、「内部監査員に適任な人材の条件とは」「どのような力量が必要なのか」などわからないという企業も多いでしょう。

そこで、この記事では内部監査の概要や役割、資格を取得する方法について解説します。

そもそも、ISO内部監査とは

内部監査とは「第一者監査」とも呼ばれ、自組織の社員やコンサルタントなどの代理人が内部監査員としてマネジメントシステムの適合性有効性 などを確認するものです。

内部監査の役割

内部監査では、以下の内容について確認を行います。

マネジメントシステムの適合性の確認

ISO規格 要求事項に自社で規定した要求事項(監査基準 )が適合しているか評価します。

マネジメントシステムの有効性の確認

自社で規定した要求事項(監査基準)が、検査結果や作業記録・設備等の稼働記録などの客観的証拠と比較して確実に遵守されているか、運用面からその有効性について評価します。

不適合に対する是正措置の効果確認

前回の内部監査において是正措置を指示された場合に、監査員が自組織の一員として内部からその実施や効果について確認します。内部監査員の確認により、被監査部門は遅滞なく適切な是正措置を取らざるを得ず、是正措置の効果・維持を確認できます。

マネジメントレビューの活用

内部監査結果(改善案)をトップマネジメント(経営者や経営層)に報告する仕組みが機能しているか確認します。

内部監査の進め方や質問例などの詳細は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:【入門】ISO内部監査とは?目的や進め方、評価方法を解説
累計ダウンロード5,000件突破!ISO丸わかり規格概要資料

ISO内部監査員とは

ISO内部監査員とは、内部監査を実行する監査員のことです。
内部監査員になるために必要な資格は特にありませんが、以下の3点において知見の深い人物を選定すると良いでしょう。

  • 自社のルール・マニュアルを正確に理解している
  • 被監査部門の業務内容を理解している
  • 内部監査に対する知識やノウハウがある

そのため、長期にわたり会社に在籍している社員を任命することが一般的です。また、後ほど詳しく解説しますが、求められる力量は要求事項にて設定されているため、そちらも考慮して選任しましょう。

内部監査員を任命するメリット

一般的に自社の社員が担当することが多いですが、コンサルなどの外部の人に依頼することも可能です。しかし、社内で内部監査員を任命することがおすすめです。

それは、社内のルールやマニュアルなどをよく理解し、実情も把握しているためです。またマネジメントレビュー後のフォローアップも、社内の内部監査員であれば継続的に行うことが可能です。

外部の人に内部監査を依頼する場合、一から理解してもらわなければならず、時間や手間、費用がかかります。ただし、内部監査員の経験が浅い場合には、教育がてらコンサルなどに内部監査を依頼するのもおすすめです。

ISO内部監査員に要求される力量とは

内部監査員の力量が不足されているとみなされれば、審査機関から指摘される可能性があります。内部監査員には、以下のような力量が求められます。

  • ISO規格への理解
  • ヒアリング・コミュニケーション能力
  • 問題発見力・課題形成力
  • 監査初見・報告書作成力

また「JIS Q 19011:2019(*1)マネジメントシステム監査のための指針」の要求事項では、内部監査員について以下のような「専門家」としての行動を求めています。そのうち要求事項の一部を抜粋しました。

  • 監査に必要な知識および技能を適用する能力があること。
  • 監査所見や監査結論、監査報告はありのままに、かつ正確に監査活動を反映すること。
  • 監査員は、その任務において得た情報の利用及び保護について慎重であること。
  • 内部監査では、監査員は実行可能な限り監査の対象となる機能から独立した立場にあることが望ましい。
累計ダウンロード5,000件突破!ISO丸わかり規格概要資料

ISO内部監査員の資格を取得する方法


ISO内部監査員の力量を高めるとともに、力量を証明するために資格を取得することも可能です。

「一般財団法人日本要員認証協会マネジメントシステム審査員評価登録センター」では、ISO内部監査員としての認定 ・登録を行っています。また、その他にも資格を取得できる講座を受講することで、認定を受けることが可能です。

ここでは、ISO内部監査員の認定要件や資格を取得する方法を解説します。

認定の要件

例えば、「一般財団法人日本要員認証協会マネジメントシステム審査員評価登録センター」では、ISO内部監査員の登録の基準には認定要件を設けています。

ISO9001品質マネジメントシステム)の場合、以下のような要件を定めています。

4.1実務経験等
マネジメントシステム毎の必要な経験を以下に示す。
①製造又はサービス等に係る2年以上の実務経験、又は高等学校卒業以上の経歴を有していること。
②品質マネジメント分野に係る半年以上の実務経験、又はこれと同等以上の教育を受けていること。
該当する品質マネジメント分野における実務経験としては、例えば以下のものがある。

  • 所属する組織又は他の組織の品質マネジメントシステムの構築、運用又は統括に関わる業務
  • QMSの内部監査又は二者監査の計画、実施、報告、改善に関わる業務
  • 製品の品質管理、品質改善に関わる業務
  • 製品実現プロセスの管理、改善に関わる業務

該当する教育には、例えば大学等における該当分野の教育がある。

4.2監査員研修コース等の修了
以下のいずれかを申請日の5年以内に修了しているか合格していること。
①当センターが承認する当該マネジメントシステムの内部監査員研修コース(2日間)(JRCA承認)内部監査員研修コースが無い場合、同等の研修コースを受講し研修コースのスケジュールをあわせて提出すること。必要に応じて、JRCAが提示したテーマでレポートを提出し、その内容確認により、JRCA承認の研修修了と認める。
②当センターが承認する当該マネジメントシステムの審査員研修コース(5日間)

4.3マネジメントシステム内部監査員倫理綱領の遵守
当センターが定めるマネジメントシステム内部監査員倫理綱領(「付属書2」参照)を遵守
すること。

4.4申請登録料の支払い
資格評価の申請及び資格の登録に必要な費用を当センターに支払うこと。

JRCA「マネジメントシステム内部監査員の資格基準」より抜粋

取得方法

ISO内部監査員の資格を取得するには、講座や研修を受けることが必要です。一般的には、以下の3つの取得方法があります。

  1. 短時間のオンライン講座を受講する
  2. ISO内部監査員養成講座に参加する
  3. 社内で講座を開催し、自社認定する

内部監査員の力量に応じて、どの講座や研修を受けるべきか検討しましょう。これからはじめて監査員として活動する場合には、「ISO内部監査員養成講座に参加する」ことがおすすめです。

まとめ

この記事では、ISO内部監査員の概要や求められる条件、資格の取得方法を解説しました。

ISO内部監査を効果的に実施するためには、内部監査員の存在が必要不可欠です。内部監査員の力量を高めるためには、講座や研修を受けて内部監査員資格を取得できます。また、社内にISOの知識をもった人材がいない場合、まずはコンサルに依頼することもおすすめです。

ISO内部監査員の力量を高め、自社の内部監査を、改善のための有効な機会にしましょう。

累計ダウンロード5,000件突破!ISO丸わかり規格概要資料
  • 無料資料 | 各種ISO導入 徹底解説
  • 『各種ISO導入のメリット・デメリットを徹底解説』をコンセプトに、ISOコンサルタント監修のもと図解などを交え詳細に解説しています。分かりやすいというお声も多くいただいていますので、ぜひ御社でご活用ください。
  • 必須ご担当者様名
  • 必須電話番号
  • 任意会社名
  • 任意メールアドレス
  • 必須個人情報の取り扱い
    (個人情報保護方針を読む)

ISOプロでは月額4万円から御社に合わせたISO運用を実施中

ISOプロではISO各種の認証取得から運用まで幅広くサポートしております。

また、マニュアル作成など御社に合わせたムダのない運用を心がけており、既に認証を取得しているお客様においてもご提案しております。

サポート料金においても新プランを用意し、業界最安級の月額4万円からご利用いただけます。

各種ISO、40,000円/月から作業工数ほぼ0実現!ISO新規取得・運用完全サポートならISOプロ