ISOにおける内部コミュニケーションと外部コミュニケーション

ISO のマネジメントシステム 規格 では、組織内外のコミュニケーションに関する要求事項があります。

例えばISO9001には、

組織は、次の事項を含む、品質マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュニケーションを決定しなければならない。
JIS Q 9001;2015

このような記述があります。この内部のコミュニケーション、外部のコミュニケーションとはどのようなものなのでしょうか？？今回は、ISOにおける内部コミュニケーションと外部コミュニケーションについて解説していきたいと思います。

内外のコミュニケーションとは？

内部コミュニケーション、外部コミュニケーションと言うと、少し難しく聞こえてしまいますが、要するに組織内の人間同士で交わされるコミュニケーションが内部コミュニケーション、組織内の人間と組織外の人間によって交わされるものが外部コミュニケーションです。

ここで言うコミュニケーションとは、幅広い意味を持ちます。日本語では、このコミュニケーションという言葉が一方向のものであるような解釈がされてしまいがちです。そもそも組織は上から下に情報が伝達されるものであるという考え方が根強い私達は、品質管理部門から生産部門への「伝達」のようなものとコミュニケーションを捉えてしまいます。

しかしここで言うコミュニケーションは、所謂双方向のコミュニケーションになりえることを理解しておく必要があります。例えばISO9001の場合は品質に関する全社への伝達もコミュニケーションであると言えますし、顧客からの苦情や意見を受け付けたりする活動もコミュニケーションであると言えます。

ISO規格がコミュニケーションに対して求めるもの

例えば品質マネジメントシステムの規格であるISO9001には、以下のようなことが要求事項で記載されています。

組織は，次の事項を含む，品質マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュニケーションを決定しなければならない。
a) コミュニケーションの内容
b) コミュニケーションの実施時期
c) コミュニケーションの対象者
d) コミュニケーションの方法
e) コミュニケーションを行う人

要するに、ここでは品質に関するコミュニケーションの5W1Hを決定する必要があるということです。また、この他にも規格内では、コミュニケーションに関して

• 文書化する情報のフォーマット規定
• 文書化した情報の可用性を維持すること
• 顧客とのコミュニケーションを行うこと

こういったことに関して組織は取り組む必要があるということをISO9001は述べています。

具体的にどのような取り組みを行うのか？

コミュニケーションというと、「おしゃべり」のような印象を受けてしまいますが、要するにコミュニケーションとは情報の発信と受信どちらかあるいは両方の側面を持つ活動のことを言います。

この要求事項に即した活動を組織は行う必要がありますが、例えば以下のような活動がそれに該当するでしょう。

窓口の設置

ISO9001であれば品質相談センター、ISO14001であれば環境相談センターといった、そのマネジメントシステムに関連するコミュニケーションを顧客と行うことができるような窓口を設置することも、組織が行うコミュニケーション活動です。

方針や目標の公開

皆さんは、品質方針、環境方針 、 情報セキュリティ方針 などをホームページ上に公開している企業を見たことがあるかもしれません。この「情報公開」というのも、立派なコミュニケーションであると言えます。

社内DBの構築

例えば顧客から受けた苦情や意見、品質目標やレポート、レビューの結果といった情報に組織内部の人間がアクセスできるように、社内専用のシステムを構築するといった活動もコミュニケーション活動であると言えます。

もちろん、情報は可用性や完全性 を維持する必要があるため、しっかりと更新などを行わなければ意味がありませんが、「配付，アクセス，検索及び利用」に関しては要求事項の中でも 文書化 した情報の管理方法として含める必要がある事項だとされています。

まとめ

今回は、ISOにおける内部コミュニケーションと外部コミュニケーションについて解説してきました。コミュニケーションという言葉は外来語であるため、ニュアンスを理解しにくいかもしれませんが、基本的にコミュニケーションは双方向であると認識し、規格を読み解いていきましょう。

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