公共工事を請け負う時の経営事項審査とISOについて詳しく解説します
建設事業者などが公共工事を自治体などから請け負う際には、経営事項審査というものを必ず受ける必要があります。これは自治体などが競争入札に参加しようとする建設業者を経営状況や経営規模、技術力などを客観的に評価するために行われるもので、その発注の合理性を保つためにある審査です。
この経営事項審査の加点対象としてISO 9001やISO14001の認証取得という項目があることはご存知でしたでしょうか?
加点対象となるISO規格
経営審査事項では、以下のような評価点が与えられることになります。
[総合評価点] P=0.25・X1+0.5・X2+0.2・Y+0.25・Z+0.15・W
- (X1):工事種類別年間平均完成工事高評点
- (X2):自己資本額および利益が区に関する評点
- (Y) :経営状況分析評点
- (Y) :技術職員および元請完成工事高に関する評点
- (W) :その他審査項目(社会性)に関する評点
ここに加点の対象となるのが、ISO9001とISO14001で、各認証を取得することで5点(合計10点)が加点されることになります。では、これらは一体どのようなものなのかということについて以下で解説していきたいと思います。
そもそもISOマネジメントシステム規格とは
そもそもISOのマネジメントシステム規格 とはどのようなものでしょうか?
一言で言うなら、ISOマネジメントシステム規格は、企業がマネジメントシステムを構築するためのガイドラインのようなものです。
例えばどのような企業でも、サービスや製品の品質を向上しようとする努力は行っていると思います。品質を改善するためにはお客様からの声を形にして、不良品が出てしまう原因を潰して…ということが必要になると思いますが、行き当たりばったりの対策を講じていたのでは限界があります。全ての顧客要求に答えることはできませんし、全ての品質を脅かすリスクを低減することは、できないからです。
ここで登場するのがマネジメントシステムです。マネジメントシステムは、企業が品質や情報セキュリティなどを改善するためにリスクを分析し、現状を理解し、どのような対策を講じていくのかという合理的な決断を行うためのツールです。――これを踏まえて以下ではISO9001やISO14001について解説していきましょう。
ISO9001
ISO9001は品質マネジメントシステムに関する認証規格で、数あるISOマネジメントシステム規格の中でも最も有名で取得されている件数も多いものになります。
ISO9001は企業の品質を改善することで最終的には顧客満足の向上を目的とします。ISO9001では、企業が製品やサービスの品質を改善するために対策を講じ、その対策がうまく機能しているかどうかを監視する枠組みを提供しており、そのための様々な要求を行っています。
ISO9001が要求すること(要求事項)に従って品質マネジメントシステムを構築することで、企業は継続的な品質改善 を図ることが可能となります。このため、ISO9001認証取得企業は一定の品質の製品やサービスを提供することが可能であるとみなされるのです。
ISO14001
ISO14001は、環境マネジメントシステムに関する規格のことです。環境とは、組織を取り巻く様々なもの(ステークホルダー )のことを指します。このステークホルダーには、自然環境のような私達が普段「環境」として認識するものも含まれますし、近隣住民のような私達が日常的に「環境」と認識していないものも含まれます。
要するに、ISO14001は企業と関わりがある人々やモノゴトに対して、組織がどのような影響を与えているのかということを分析、その分析結果に応じてどのような対策を講じ、その対策がうまく機能したかを評価する一連の仕組みを構築するフレームワークです。
企業の自主的な環境への取り組みは、官公庁案件の入札加点ともなるため、ISO14001は加点対象となっているのです。
まとめ
今回は、経営事項審査で加点対象となるISOマネジメントシステム認証規格についてご紹介してきました。マネジメントシステム認証は入札加点対象となるメリットだけでなく経営の無駄を省き、より高いレベルでの組織運用を支援するツールともなるメリットがありますので、取得していない企業様はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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