• ISOとは国際的に通用する規格を制定している機関
  • ISOの取得は信頼性の向上や組織のシステム構築・改善などのメリットがある
  • 規格を理解したマネジメントシステムを構築したうえでISO審査機関による二段階の審査を経て取得する

ISO 規格を取得すると決めたときに、真っ先に気になるポイントはISO規格の認証取得の「費用」ではないでしょうか。ISO規格を認証取得するには、会社のマネジメントシステムを構築したうえで、審査登録機関(認証機関)による審査を受ける必要があります。
そのため、ISO取得費用は大きく2種類に分けられます。「マネジメントシステムを構築する費用」と「ISO審査機関に支払うISO審査費用」です。

この記事では、ISO取得にかかる審査費用の業種別・規格別・規模別の相場やランニングコスト、ISO認証取得におけるトータルコストについて解説します。

ISO認証取得にかかる費用とは?

ここでは、ISO認証取得にかかる費用の内訳とそれぞれの費用相場を解説します。

審査料・ISO登録料


審査料は審査そのものにかかる費用で、ISO登録料はISOの登録にかかる費用です。別々に請求されることもあれば、ISO登録料が審査料に含まれることもあります。

審査料

審査料は審査機関や企業規模、業務内容、審査内容によって変動するため、以下に審査料の相場をまとめました。

企業規模製造業・加工業建設・建築業ITサービス業卸売業・小売業
1~20名37万円33万円32万円36万円
21~50名43万円52万円49万円41万円
51~100名66万円74万円72万円67万円
101名以上96万円101万円77万円101万円

※2022年7月調査(ISOプロ調べ)。現在の費用と異なる可能性があるため詳しくはお問合せください。

ISO登録料

ISO登録料は、審査機関や企業規模などによって変動しますが、約3~5万円程度です。基本的に認証期間となる3年間における登録料となります。

審査員の交通費・宿泊費

取得審査のうち、2審査ではISO規格を取得する現場(本社や支店など)で行われるため、審査機関から現場までの交通費を支払うことが必要です。

また現場までの距離が遠く、日帰りでの審査が難しい場合には宿泊費がかかる可能性があります。

人件費

ここでいう人件費とは、新たに人を雇用することで発生する人件費ではなく、ISO担当者となる社員が本来行うはずだった本業の代わりにISO業務を行うことで発生します。

新たに計上されることはない「見えにくいコスト」ではあるものの、月収30万円の社員1名が6か月間本来の業務をできなかった場合には、180万円がISO業務にかかったと考えられます。

コンサル依頼料

コンサル依頼料は、コンサルにISO規格の取得サポートを依頼した場合に発生する費用です。コンサル依頼料の相場は、約50万~200万円/年間です。

コンサルに依頼することで、自社社員が行う工数を削減し、人件費を大幅に抑えることが可能です。そのため、トータルコストでみればコンサルに依頼する方がお得になるケースが多くあります。

どの程度お得になるのかについては、のちほど詳しく解説します。

設備投資費

ISO規格の取得にあたり、設備投資は必須ではありません。しかし、要求事項を満たすマネジメントシステムの構築・運用のために必要であると自社で判断した場合には、設備投資費がかかる場合があります。

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審査費用相場(ISO規格×業種×人数規模別)

ここではより具体的に審査費用をイメージできるように、各ISOの新規取得時の審査費用を業種と適用範囲の人数規模別でまとめました。(複数規格を取得する場合には変動します。)

実際にISOプロで取得した見積もりをもとにしているため、実数値により近いデータとなっています。ぜひ参考にしてください。

【ISO9001】審査費用相場

業種1-20名21-50名51-100名101名以上
製造業・加工業36万円46万円66万円96万円
建築・建設業35万円52万円74万円100万円
ITサービス32万円49万円72万円82万円
システム開発32万円48万円73万円88万円
WEB制作32万円76万円79万円104万円
卸売業・小売業36万円44万円68万円97万円
コンサル業35万円57万円79万円94万円
保険業41万円47万円70万円
不動産43万円48万円70万円

※2022年7月調査(ISOプロ調べ)。現在の費用と異なる可能性があるため詳しくはお問合せください。

【ISO14001】審査費用相場

業種1-20名21-50名51-100名101名以上
製造業・加工業40万円61万円64万円72万円
建築・建設業41万円64万円59万円
ITサービス36万円64万円88万円
卸売業・小売業42万円60万円66万円118万円
コンサル業41万円70万円108万円
保険業42万円43万円

※2022年7月調査(ISOプロ調べ)。現在の費用と異なる可能性があるため詳しくはお問合せください。

【ISO27001】審査費用相場

業種1-20名21-50名51-100名101名以上
製造業・加工業51万円73万円103万円123万円
建築・建設業51万円71万円97万円129万円
ITサービス54万円76万円98万円120万円
システム開発53万円74万円97万円120万円
WEB制作55万円81万円97万円
卸売業・小売業52万円77万円104万円114万円
コンサル業51万円82万円95万円103万円
保険業58万円100万円113万円
不動産62万円97万円113万円

※2022年7月調査(ISOプロ調べ)。現在の費用と異なる可能性があるため詳しくはお問合せください。

ISO取得費用は「自社取得」と「コンサル依頼」のどちらがお得?

自社取得とコンサルにサポートを依頼して取得した場合では、かかる費用のうち「人件費」と「コンサル依頼料」に違いが出ます。

そこで、ここでは「人件費」と「コンサル依頼料」の観点から自社取得とコンサルに取得サポートを依頼した場合に、どちらがお得かについて解説します。

自社取得した場合

自社取得する場合には、「コンサル依頼料」はないため、「人件費」のみについて考えます。
およその人件費は、「ISO担当者の人数×ISO担当者の給与×取得までにかかる期間」で計算します。
自社取得の場合、1年以上の期間がかかることが一般的です。この条件で、自社でISO担当者に任命する人数や給与を当てはめて計算してみましょう。

月収40万円の1人のISO担当者が、月に80%の工数でISO業務を行った場合の費用例は下記です。

人件費「1人×(月40万円×80%)×12か月」=384万円
コンサル依頼料0円
合計384万円

ISOコンサルに依頼した場合

ISOのコンサル会社やコンサルタントに依頼する場合、「コンサル依頼料」と「人件費」がかかります。

コンサル依頼料の費用相場は、約50万~200万円/年間です。
コンサルに依頼した場合、約6か月で取得できることが一般的です。また自社社員のISO業務にかかる工数を80%程度削減できます。この条件を、先ほどの自社取得の例に当てはめて費用を考えてみましょう。

ISOコンサルが80%の工数を請け負い、月収40万円の1人のISO担当者が月に20%の工数でISO業務を行った場合の費用例は下記です。

人件費「1人×(月40万円×20%)×6か月」=48万円
コンサル依頼料50~200万円
合計98万~248万円

このように、ほとんどの場合ではコンサルに依頼した方がお得にISO認証を取得できます。
以下の記事で、自社取得とコンサルに依頼した場合の比較をしています。ぜひ参考にしてください。

関連記事:ISO取得の流れを「自社取得」と「コンサル取得」を徹底比較
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【コンサル依頼時】ISO規格を新規取得した場合の費用相場

ここでは、コンサルに依頼してISO規格を新規取得した場合の費用相場をまとめました。ただし、コンサル業者や取得企業の業種などによっても異なるため、あくまで目安として参考にしてください。

40名規模の建築業がISO9001を取得した場合

40名規模の建設業を営む会社が、8カ月でISO9001を取得した場合の費用相場は、以下のとおりです。

内訳費用相場の目安
コンサル依頼料月額8万円×8カ月=約64万円
審査費用52万円
合計約116万円

60名規模の製造業がISO14001を取得した場合

60名規模の製造業を営む会社が、8カ月でISO14001を取得した場合の費用相場は、以下のとおりです。

内訳費用相場の目安
コンサル依頼料月額7万5,000円×8カ月=約60万円
審査費用64万円
合計約124万円

10名規模のITサービス業がISO27001を取得した場合

10名規模のITサービス業を営む会社が、8カ月でISO27001を取得した場合の費用相場は、以下のとおりです。

内訳費用相場の目安
コンサル依頼料月額5万円×8カ月=約40万円
審査費用54万円
合計約94万円

上記のコンサル依頼料については、数多くの組織のISO認証取得をサポートしているISOプロのコンサル料金の単純な月額料金をもとにしています。

事業内容や適用範囲、契約プランによっても異なりますので、詳しくは下記をご覧ください。

関連記事:ISOプロ「ISO認証取得・運用支援コンサルティング料金」

ISO認証取得後にかかるランニングコストとは

ISO認証は取得したら終わりではありません。取得したISOのマネジメントシステムを持続的に動かしていくために「運用」していく必要があるのです。ここでは、運用にかかる費用についてご紹介します。

ISO認証取得後の審査費用

ISOの取得等にかかる費用

ISO認証には3年間の有効期限があり、取得してから1年目と2年目に持続的に運用しているかをチェックする「定期審査(維持審査)」と3年目に「更新審査」が行われます。

定期審査の費用の目安は、取得審査の1/3ほどの金額です。
更新審査はISO認証の更新に必要な審査費用です。費用の目安としては取得審査の2/3ほどの金額になります。

ただし、各種審査費用は組織の規模、業種によって金額は大幅に変わるため、複数の審査機関から見積もりを取得してください。

ISOは基本的にこの3年間を1サイクルとし、この1サイクルを繰り返しながらISOを持続させていくため、毎年、審査費用がかかってきます。その他にも、自社で行う内部監査、検査機のメンテナンスに監査時に修正すべき是正処置予防処置などの対応も必要になってきます。

ISO認証取得後のISOコンサルにかかる費用

認証取得コンサルタントのサポートが完了しても、引き続き継続して運用に関する支援をしてもらうことが可能です。

運用改善を支援してもらうことで、自社のマネジメントシステムをより効果的な仕組みに発展させられるでしょう。また、定期審査や更新審査のサポートだけでなく、文書のスリム化や経営コンサルティングなどのオプションが可能な場合もあります。

費用は企業規模やサポート内容にもよりますが、月額で約5万円を目安にすると良いでしょう。
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ISO費用の税務上の扱いと経費処理方法

ISO取得や審査における費用は、どのような処理が必要なのでしょうか。最後に、税務上の扱いや経費処理方法について解説します。

ISOにかかる費用の税務上の扱い

ISO認証取得や取得後にかかる審査費用における税務上の扱いは、支出時の損金として処理するとされています。

国税庁では、ISO9001取得にあたり、以下のように見解がなされています。

  • 法的な権利はないため、工業所有権に該当しない
  • 譲渡負荷であることや、超過収益力を生じるものではないことから、営業権に該当しない
  • 不特定多数に対して広告宣伝効果があるため、損金性が認められる
  • 損金算入時期は、その支出の日が属する事業年度とすることが相応とされている

ISO費用の勘定科目

ISOにかかる費用の勘定科目について紹介します。ISO費用における勘定科目は定められていないため、「ISO費用」「ISO関連費用」など、わかるように処理している企業もあります。

登録審査前のコンサルティング費用研修費、支払手数料、支払報酬、雑費など
審査登録費用支払手数料、会費、雑費など
登録後の維持更新費用支払手数料、会費、雑費など

まとめ

ISO認証取得を費用コストで考えたとき、「コンサルタントを利用しての取得」よりも「自社取得」の方が安いと考えてしまいがちです。ISOに詳しい人間が自社取得を担当すれば問題はないですが、ISOに詳しくない人間が自社取得をした場合、勉強しながらISO業務を行うので、取得スケジュールが長くなってしまったり、素人がマネジメントシステムを構築すると無駄な工程が多くなってしまったりと逆にコストが高くなってしまう場合があります。

特に人件費は長期的になればなるほど膨大な金額になってしまうので、最も注意しておきたい存在ではないでしょうか。

ISOを取得するためにどれくらいの金額をかけるのか、どれくらいの価値があるのかについては、皆さんの社内を見渡してみて試算しましょう。

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