ISO9001の取得費用はいくら?相場・内訳・コストダウンのコツを徹底解説

FAQISO9001の取得費用に関するよくある質問
ISO9001の取得費用目安は、審査費用で30万~100万円です。もちろん企業規模や業種によって異なります。また取得後も継続的に費用が掛かります。1年ごとの維持審査や3年ごとの更新審査があるためです。
そのほかにも、ISOに関わる業務を行う人件費、外部に委託する場合はコンサルタント費用なども発生します。自社のISO担当者が各審査に向けて準備を行う余裕がない場合には、コンサルタントの活用をするケースが多いです。
この記事ではISO9001取得と継続にかかる費用やコンサルタント利用料金について解説します。
目次
ISO9001の新規取得にかかる費用の内訳・相場

ここではISO9001の新規取得にかかる費用について詳しく解説します。
審査料・ISO登録料
審査料とは、ISO認証を受けるためのISO認証審査(初回登録審査)にかかる費用のことです。一方、ISO登録料は、ISOの正式登録に必要な費用を指します。認証登録料は、認証取得審査料に含まれる場合もあります。
ISO認証の審査は、一般的に第一段階審査と第二段階審査の二段階に分けて行われます。
- 文書審査:マネジメントシステムの構築状況を示す書類や記録を確認します。
- 実地審査:実際に現場を訪れ、マネジメントシステムが適切に運用されているかを確認します。
審査料は、審査を依頼する機関や事業の規模・内容、必要な審査工数によって変動します。一般的にはおおよそ35万~100万円が目安です。
以下に審査料の相場をまとめました。
| 企業規模 | 製造業・加工業 | 建設・建築業 | ITサービス業 | 卸売業・小売業 |
|---|---|---|---|---|
| 1~20名 | 37万円 | 33万円 | 32万円 | 36万円 |
| 21~50名 | 43万円 | 52万円 | 49万円 | 41万円 |
| 51~100名 | 66万円 | 74万円 | 72万円 | 67万円 |
| 101名以上 | 96万円 | 101万円 | 77万円 | 101万円 |
※2022年7月調査(ISOプロ調べ)。現在の費用と異なる可能性があるため詳しくはお問合せください。
審査員の交通費・宿泊費
ISOの審査は、ISO9001を取得する現場(本社や支店、工場など)で行われるため、審査員がISO審査機関から現場に向かうための交通費がかかります。
また自社までの距離が遠い場合には、宿泊費がかかる場合も考えられます。
ISO審査機関を選定する際には、ISO審査機関と自社の距離を確認しましょう。
人件費
ISO9001の新規取得時に、特に大きな費用となるのが「人件費」です。新たに人を雇う必要はありませんが、既存の従業員をISO担当者として選任すると、その人が本来の業務を行えなくなるため、その分のコストが発生します。
例えば、従業員1名をISO担当者として1年間フルタイムでISO業務にあたらせた場合、かかる人件費は以下のとおりです。
1名×月給30万円×12か月=360万円このように、すでに支払っている給与で発生するため「新たに支出する費用」ではありませんが、見えにくいコストとして計画時には注意が必要です。
コンサル依頼料

コンサル依頼料は、コンサルに依頼した場合に発生する料金です。コンサルタントに依頼することで、「見えにくいコスト」である人件費を抑え、社内の従業員が行う工数を大幅に削減可能です。
コンサルタント料の相場は、年間で50万~200万円程度になることが一般的です。
審査費用に加えて、別途コンサルティング費用がかかるため、「コンサルに依頼しない方が費用を抑えられる」と思ってしまう方も多いでしょう。
しかし、ISO認証取得には、審査費用だけでなく、マネジメントシステム構築費用として、担当社員の人件費負担も発生するため注意が必要です。コンサルタントに依頼してスムーズなISO認証取得を目指した方が、結果としてコストダウンにつながる可能性があります。
設備投資費
ISO9001では、設備投資を行うことは必須ではありません。ISO9001の要求事項を満たすうえで、自社に必要だと判断した場合にかかる費用です。
必要な設備により費用は大きく異なります。自社の業務効率や生産性向上、品質向上に寄与する設備がある場合、導入を検討してみても良いでしょう。
ISO9001取得後にかかる費用の内訳・相場

ISO規格は、認証取得して完了するものではなく、取得後も運用を続けて、マネジメントシステムの継続的改善に取り組むことが求められています。
ISO9001でも同様であり、「品質マネジメントシステムは有効に機能しているか」「ISO9001の要求事項を満たした品質マネジメントシステムを維持できているか」を確認するために、定期的な審査が必要です。
そのためISO9001を維持するには、毎年ランニングコスト(維持審査費用)がかかるのです。
ここでは、ISO9001取得後にかかる費用として、定期的に受ける必要がある維持審査や更新審査の審査費用について解説します。
維持審査料
維持審査とは、1年ごとに品質マネジメントシステムの運用に関する部分を主に確認する審査です。サーベイランス審査とも呼ばれています。
登録審査とは異なり部分的な審査となるため、審査工程や審査費用は、登録審査の約1/3になることが一般的です。例えば、登録審査時に100万円がかかったのであれば、約30万円が相場となります。
更新審査料
更新審査とは、3年ごとに行われる審査です。ISO9001認証取得の有効期間は3年間であるため、「再度、ISO9001認証を与えても問題ないか」という確認のために行われます。
更新審査は、登録審査同様にチェック項目のすべてを審査しますが、更新審査の費用相場は、登録審査の約2/3になることが一般的です。例えば、登録審査時に100万円がかかったのであれば、約60万円が相場となります。
コンサル依頼料
運用にかかるコンサル依頼料は、一般的に年間で30万~150万円程度が相場です。依頼するサポート内容や企業規模、拠点数などにより変動します。
ISO9001を運用するにつれて、「品質マネジメントシステムが機能しているかわからない」「運用の負担が大きい」など、自社のみで適切に運用していくことが難しいと感じる企業は少なくありません。
そうした場合、内部監査の実施や文書・帳票のスリム化、継続的改善の推進などのコンサルティング会社による運用サポートを依頼することがあります。
コンサルティングを依頼すると、運用負担の軽減はもちろんのこと、運用体制に関する改善の提案を受けられる点が非常に大きいメリットです。ゆくゆく自社のみで運用を継続していくためにも、プロ目線で運用体制の見直しを受けることも有効な手段といえます。
ISO9001認証取得・維持にかかる費用の合計額
ここまで、ISO9001の新規取得にかかる費用や、その後の維持に必要なコストについて解説してきました。しかし、実際に導入を検討している企業の多くは「結局トータルでいくらかかるのか?」という点が気になるのではないでしょうか。
以下に、ISO9001の取得から4年間にかかる費用をまとめました。実際の金額は、企業規模・業種・拠点数・審査機関などによって異なりますが、目安として参考にしてください。
| 費用区分 | 1年目 | 2・3年目 | 4年目 |
|---|---|---|---|
| 審査費用 | 約30~50万円(登録) | 約10~15万円(維持) | 約20~30万円(更新) |
| 登録料 | 約3~5万円 | – | 約3~5万円 |
| 人件費 | 企業による | 企業による | 企業による |
| コンサル費用(任意) | 約90万円~ | 約90万円~ | 約90万円~ |
| QMS構築にかかる費用やマネジメントシステム・設備・機器の維持/管理費 | 企業による | 企業による | 企業による |
※上記は従業員50名未満の中小企業を想定した目安です。
また、ISO認証の登録審査費用については、アンケート調査の結果も参考になるでしょう。
実際にISO認証を取得した企業の経営者・経営幹部約300人に、「ISO認証を取得した際の審査費用」について尋ねると、以下のような回答が得られました。
- 30万円未満(25.2%)
- 100万円以上(21.9%)
- 50万~80万円未満(20.3%)
- 30万~50万円未満(18.6%)
- 80万~100万円未満(14.0%)
この結果から、業種や従業員数などによって、登録審査費用は大きく異なることがわかります。本アンケート調査は、以下のプレスリリースをご覧ください。
ISO9001取得費用を抑えるポイントとは?

ISO9001取得費用を抑えるポイントは、信頼できるコンサルへの依頼、複数審査機関への見積もり、必要な設備投資費を見極める点です。
ここでは、ISO9001の取得費用を抑えるポイントを解説します。
信頼できるコンサルに依頼する
まず自社取得ではなくコンサルに取得サポートを依頼することをおすすめします。
しかし、費用を抑えたいからと格安のコンサルに依頼することは避けましょう。というのも、ISOコンサルになるのに特別な資格や経験は必要ないため、期待したサポートが得られない可能性があるためです。
「思った以上に自社の工数が多かった」「結局別のコンサルに依頼し直して損をした」ということにならないよう、実績やサポート内容、コミュニケーションのスムーズさなどを確認したうえで、信頼できるコンサルを選びましょう。
複数の審査機関に見積もりを取る
審査機関が審査費用を設定しているため、機関によって審査費用は異なります。複数の審査機関に見積もりを取ることで、ある程度の費用を抑えることが可能です。
また審査費用だけでなく、審査できる規格の種類や得意不得意、審査のスタイルなども審査機関によって異なります。そのため、自社に適した審査機関の選択に迷った場合、コンサルに相談すると良いでしょう。
必要な設備投資費を見極める
設備投資は、ISO9001の要求事項では求められていませんが、自社で必要性があると判断した場合には設備投資する場合もあります。
最近では文書管理システムや業務管理システムなどのソフトウェアを導入し、業務効率化を図る企業も増えています。しかし、改善すべき点においてすべて設備投資してしまうと、コストが膨れ上がってしまうでしょう。
そのため、設備やソフトウェアを導入する際は、目的や自社の課題、従業員の声などを明確にし、必要な設備投資費を見極めることも大切です。
ISO9001取得費用に関する注意点

ISO9001の取得には費用がかかりますが、金額だけで判断してしまうと、本来得られる効果を十分に得られない可能性があります。ここでは、取得費用を検討する際に押さえておきたい注意点を解説します。
自社取得が安いとは限らない
ISO9001は自社だけで準備すれば費用を抑えられると思われがちですが、必ずしも低コストになるとは限りません。
マニュアル整備や文書・記録の作成、内部監査の実施など、運用に必要な作業をすべて社内で対応しようとすると、ISO担当者の工数が大幅に増え、本来の業務に支障が生じるケースもあります。
その結果、外部のコンサルタントに取得サポートを依頼するよりも高くなることがあります。
自社で進めるか、コンサルタントを活用するかは、コストだけでなく「十分な社内リソースがあるか」や「ISO9001に関する専門知識の有無」を踏まえて判断することが重要です。
ISO9001取得による投資対効果を検討する
ISO9001の取得には一定のコストと労力がかかるため、特に中小企業にとっては慎重な検討が必要です。その際、「ISO9001を取得することで、どれだけの価値が得られるか」という費用対効果の視点をもつことが大切です。
ISO9001を取得する主なメリット・デメリットをまとめましたので、参考にしてください。
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
|
つまり、ISO9001取得によって「取引機会の拡大や業務効率化などのメリットが、コストや手間といった負担を上回る」場合には、ISO9001を取得することがおすすめです。
例えば、「取引先や顧客からISO9001の取得を求められている」「品質の良さが自社の強みになっている」「ISO9001により自社の事業体制が強化された」といった効果です。
ISO9001は費用がかかっても取得すべき?

ISO9001は、多くの企業・組織である程度費用をかけてでも取得すべき認証です。
ここまで、ISO9001取得や維持にかかる費用について解説してきましたが、「ここまでの費用がかかっても、ISO9001は取得すべきなのだろうか」と疑問に感じる方も多いでしょう。
そこで、ISO9001を実際に取得した企業の満足度に関する調査結果を紹介します。ISO9001取得を検討する際の判断材料として参考にしてください。
【調査】実際にISO規格を取得した企業の満足度は?
それでは、実際にISO9001をはじめとするISO規格を取得した企業の「取得後の満足度」はどの程度なのでしょうか。
ISO認証取得経験のある経営者・管理者300名を対象に行われたアンケート調査から、満足度の部分を抜粋しました。

「ISO認証を取得してよかったと感じますか?」と質問したところ、以下のような回答が得られました。
- とてもそう思う(31.1%)
- ややそう思う(43.5%)
- あまりそう思わない(20.9%)
- まったくそう思わない(4.5%)
「取得してよかった」と回答した層は74.6%に達しており、多くの企業が一定の満足感を得ていることがわかります。一方で、取得と維持にかかるコストが重いことが課題であるという回答も多くありました。そこで、ISO認証取得後の効果を実感している割合や、ISO認証取得継続意思についてもみてみましょう。

調査結果からISO認証を取得したことによる効果を実感している人が多かったことがうかがえます。
「取得後、期待した効果は実現できた、もしくは実現に近づいていますか?」- とてもそう思う(19.9%)
- ある程度そう思う(48.7%)
- あまりそう思わない(25.5%)
- まったくそう思わない(5.9%)
- はい(61.1%)
- いいえ(15.7%)
- まだわからない(23.2%)
「期待した効果が実現できた、または実現に近づいている」と答えた企業は68.6%と過半数を超えており、ISO認証が実際の業務改善や事業成果に結びついている様子がうかがえます。
さらに、「ISO認証の継続意向」について61.1%の企業が『今後も継続する』と回答しており、短期的な導入ではなく、長期的に活用されている制度であることがわかります。
このように、ISO9001取得を検討している企業は、「形式的な認証取得」ではなく、経営課題の解決や経営戦略の一環として、ISO認証を活用する視点をもつことが重要だといえるでしょう。
まとめ
ISOの認定機関は1つではありません。特にISO9001(品質)は企業側の需要も高いため、多くの認証機関やコンサルが参入しています。
認証機関やコンサルによって料金も大きく変わりますので、必ず複数の認証機関やコンサルに支援サポート料金の見積りを取ることがおすすめです。そして納得できる条件で、ISO9001認証取得をサポートしてもらいましょう。
途中で審査認定機関やコンサルを変更するのは、あまりおすすめできません。そのため、スタート段階で長く付き合っていけるパートナーを見つけることが重要です。
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