ISOを取得すると管理文書は増えるの?
ISO 認証の取得のためには、要求事項と呼ばれる、規格 が求める事項を満たす必要があります。ISO9001 の場合は品質 方針の決定や品質目標の策定、マネジメントレビューの実施などが要求事項と呼ばれるものです。
ISOの要求事項の中には、いくつかの決定事項やレポートを文書化することを求められます。このため、「ISOを取得するためには、たくさんの文書を作成して提出する必要がある。だから業務が煩雑になってしまうのではないか…」と煩わしく感じる方も多いかもしれません。では、実際にISOを取得することで管理しなければならない文書は増えるのでしょうか?
ISOを取得すると管理文書は増える?
結論からいうと、ISOの認証を取得しようとすると当然管理文書は増えることになるでしょう。これだけ聞くと「日常業務が忙しくて文書を追加で作成することなんてできない」なんてことを考えてしまっても無理はありません。数10万円もするコンサルティング料を支払って、さらに人件費もかけなくてはならないISO認証の取得は非常に面倒なものだと考えるのは当然です。
しかし、こういった表面的なデメリットばかり捉えてしまうことは望ましくありません。ISOの文書の役割を考えれば、それは必要なものであり、その文書がもしかすると人件費の削減や生産性の向上につながる可能性もあるからです。
以下では、文書化の役割とメリットについて解説していきたいと思います。
そもそもなぜ文書化が必要なのか考えよう
そもそもですが、ISOのマネジメントシステム認証規格が文書化を求めるのはなぜでしょうか? ISOについてよく知らない方は「審査の材料に必要になるから」と答えるかもしれません。たしかに、要求事項によって文書化が求められるのは、審査の材料としての側面もあります。しかし多くの書類は「マネジメントシステムの有効性を保つために必要不可欠であるから」という理由で要求事項は文書化を求めているのです。
例えばISO9001の品質目標。これは組織が品質に対して掲げる計測可能な目標のことです。「不良品率の20%減少」といった具体的な目標がこれです。――この品質目標も文書化が要求されるものの一つですが、なぜ文書化が必要なのでしょうか?
それは、以下のような理由からです。
- 後から品質目標を振り返るため
- 組織の構成員に目標を伝達するため
ISO9001の品質マネジメントシステムでは、品質目標を達成するために策定された品質計画というものがあり、品質計画の実行結果は品質目標と照らし合わせてマネジメントレビューを行う必要があります。マネジメントレビューを行う時に「なにか一年間色々やってきたけど、私達の目標ってなんだっけ?」なんてことを思いながら正確なレビューはできませんよね? また、目標というものは、組織の構成員に伝達する必要があるものです。「組織は何を目指していて、自分はそのためにどんな役割を果たしているのか」ということが認識できていない状態では、それは組織とは呼べませんよね?
この他にも文書化が必要な事項は複数ありますが、このように「文書化が必要な何らかの理由」というものが必ずあるのです。
なぜ記録が必要なのかも伝達しよう
ISOのマネジメントシステムでは「記録」を行い文書として管理する必要があります。要するにレポートなのですが、この記録を作成するのは実際には現場の作業員であることが多いでしょう。この記録もマネジメントシステムが「煩わしい」とされる原因の一つです。
しかし、なぜ煩わしいのかというと「記録の重要性が組織全体に理解されていないから」です。マネジメントシステムに関する業務は経営層が考えることで、現場の協力は不要だという考え方が組織内にある場合は注意が必要です。ISOのマネジメントシステムでは、組織構成員の積極的な参加を規格が求めていますし、「意味のないこと」には人間やる気も出てきません。
データを取得することで、それがどのように役立つのかということを記録者に意識させるだけでなく、組織全体でその重要性を理解することが「煩わしさ」を取り除いてくれるはずです。
まとめ
ISOの要求事項の中にある文書化という項目は非常に厄介に感じるかもしれませんが、同時に非常に重要なことでもあります。認証を取得するためにはマネジメントシステムの有効性を維持する必要がありますし、その有効性は文書という土台の上に築かれるものなのです。
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