ISOの取得で無駄な仕事は増える?原因や対策、効率化のメリットも解説
ISOは本来、無駄を省き効率的に業務を進めることを目的としています。しかしながら、実際の運用においてさまざまな問題がある場合、無駄な業務が増加してしまう原因となることもあるでしょう。
そこで本記事ではISO取得における仕事の種類や、無駄な仕事が増えてしまう原因と対策、効率化することによって得られるメリットについて解説します。
本項では、ISO規格を取得することで必要となる仕事の種類について解説します。
文書作成・管理
ISO認証 を取得するためには、規程や手順書、記録の文書化が必要となります。
これらの文書は品質管理や環境 保全の基準を満たし、業務を一貫して管理するために必要です。しかしながら、作成・管理が必要な文書の数が多くなると業務負担が増加します。
上記のような場合には、文書の管理方法を工夫し、システムやツールを活用することで、効率化が可能です。
具体的には、クラウド管理や電子承認システムを導入することで、全体の作業負担を減らし、文書管理にかかる無駄な手間を減らすなどの方法があります。
従業員教育
ISO認証を維持するには、従業員に対する教育が欠かせません。特に品質基準や環境規制に関する教育は、従業員の理解度を高めることが重要になります。
しかし、教育の内容が一方的で複雑すぎる場合、従業員が理解しにくくなり、業務に採り入れられなくなることもあるでしょう。また、通常業務をしながらの教育となるため、時間の捻出が困難になる場合もあります。
教育に充当する時間が取りづらい場合、適切な頻度で計画的に教育を行うようにしましょう。
また教育内容に関しても、実務に沿った教育をすることで従業員の理解を深めることができます。
内部監査の準備・実施
内部監査は、ISO基準に沿った業務が行われているかを定期的にチェックし、改善点を明確にする重要なプロセスです。しかし、監査の準備にはチェックリストの作成や関連部署との調整が必要で、時間と手間がかかります。
監査の効率を上げるには、監査の目的や範囲を明確に定め、事前に必要な情報を収集しておくのが効果的です。また、システムやツールを用いて監査データの一元管理を行うことで、効率的な監査が実現できます。
審査対応
ISO認証の更新や新たな取得には、外部の認証機関による審査対応が必要です。この審査は、基準に合致しているかどうかを検証するプロセスですが、審査対応の準備が整っていない場合、業務負担が増加する可能性があります。審査前に残業続きというのもよく聞く話です。
審査対応を円滑に進めるためには、日頃から関連資料の整理や文書の管理、従業員の対応力向上が必要です。
準備不足による業務の無駄を防ぐためにも、審査の要求に対して日常的に準備を進めることが重要といえるでしょう。
ISO規格を取得することにより、文書作成や教育など、さまざまな業務が発生します。
目次
ISOで無駄な仕事が増えてしまう原因とは?
本項では、ISOで無駄な仕事が増えてしまう原因について解説します。
文書作成・管理業務の負担が大きい
ISO取得後の文書管理が非効率な場合、無駄な作業が増加します。特に、手作業で文書の更新や管理を行うと、時間がかかりミスも発生しやすくなるでしょう。
なお、審査前は特に必要書類の作成準備が必要となります。そのため、文書作成・管理の業務負荷が大きくなる点に注意しましょう。
実務に関係のないルール・文書がある
ISO取得の際、実務に即していないルールや文書が増加する場合があります。これらは多くの場合、規格の要求事項を満たすために作成されますが、業務上の意味が薄いと感じられることも多いです。
実際の業務に合致していないルールは、従業員の混乱を招き、結果的に無駄な業務を生む可能性があります。実務に関係の薄いルールや文書が増えてしまうのは、必要な情報の取捨選択ができていないことが原因となっていることが多いです。そのため、実務と照らし合わせた必要情報の絞り込みが重要です。
従業員教育を行う環境構築ができていない
従業員教育を行うための環境が整っていない場合、教育効果が十分に発揮されず、無駄な作業と感じられることがあります。具体的には、従業員教育のための研修制度が未整備になっている、担当者が他の業務も兼任しており、十分な時間を教育に割けないといった状況が挙げられるでしょう。
上記のような状況では、適切な教育環境構築を行っていく必要があります。例えば、理解しやすい教材の整備や、教育担当者の業務負荷の調整、受講しやすい教育のスケジュール設定などが必要です。
審査対応に関するルールが定まっていない
審査対応に関するルールが不明確な場合、準備や対応に余分な時間や手間がかかることがあります。また、各部署や担当者の役割を明確にしていない場合、必要な情報収集や書類作成が遅れる原因になります。
審査対応のルールを統一し、事前に手順を定めることで、業務を円滑に進められます。明確なルールと分担があることで、審査準備における負担減が期待できるでしょう。
認証取得後に必要となる体制構築が不十分な場合、無駄な仕事が増えてしまう可能性があります。
ISOの取得で増えた仕事の無駄を解決するポイント
本項では、ISO取得によって増加した業務の無駄を解決する方法について解説します。
文書作成・管理フローの整備
文書作成・管理のフローが整備されていないと、更新漏れや情報共有の遅れといったトラブルが発生する可能性があります。効果的な文書管理フローを確立するには、業務に必要な文書をリスト化し、更新頻度や担当者を明確にすることが重要です。
また、共有フォルダやクラウドツールを活用し、誰でも最新の文書にアクセスできる環境を整えることで、文書管理の効率化が図れます。
従業員教育における体制整理
従業員教育の体制が整理されていないと、教育内容の偏りや理解度の差が生じることがあります。教育の体制を整えるためには、教育担当者の明確な役割分担や、教育内容の計画的な整理が必要です。
さらに、業務に直結する内容を中心にカリキュラムを組み、現場での実践と結びつけることで、教育効果が上がり無駄な業務が減ります。
審査対応の見直し
審査対応に関する業務が無駄と感じられる場合、対応フローの見直しが効果的です。
審査の準備を効率化するには、過去の対応内容の見直しや、必要な書類・手順の明確化が重要です。
また、審査対応の方法を調整し、適切な対応フローの整備を行うことで、業務負担を減らし、効率的な審査対応が可能となります。
各業務の効率化のための改善を図ることで、業務の無駄を減らし、負荷を軽減することに繋がります。
無駄な仕事を削減することで得られるメリット
無駄な仕事の削減が組織にもたらす具体的なメリットについて紹介します。
業務の生産性向上
無駄な業務を減らすことは、全体の生産性向上に繋がります。業務が効率化されると、従業員が必要な業務に集中できるため、より高い生産性を発揮できるようになります。
特に、無駄な書類作業や不要な業務を減らすことで、他の重要業務に時間を割くことが可能です。業務の生産性の向上は、企業の成長には不可欠な要素の一つといえます。
作業負担の軽減
無駄な業務を減らすことで、従業員の作業負担が軽減され、ストレスの軽減にも繋がります。特にルーチンワークや非効率な業務を減らすことで、従業員がより付加価値の高い業務に注力できるようになるでしょう。
負担軽減は、従業員のモチベーション向上にも影響し、長期的な組織の成長と従業員の満足度向上をもたらします。
審査対応の最適化
ISOの審査対応の最適化を行うことで、必要な準備や対応の効率が向上可能です。審査には定期的な文書の確認や必要な手続きが含まれますが、無駄を省いた効率的な体制を整えることが、全体の負担軽減になります。
例えば、システムやツールで記録の管理を一元化し、必要な情報へ迅速にアクセスできる仕組みを導入することで、審査時の混乱を防ぎ、審査対応の負荷を減らすことができます。
無駄な業務を削減することにより、業務の効率化をはじめとしたメリットを得ることが可能です。
ISOを取得してよかったと感じている企業は多い
多くの企業がISO取得のメリットを実感しています。ISOは無駄な業務が増える懸念がある一方で、業務の標準化や信頼性向上に貢献しているのも確かです。
弊社が行った実際の調査によれば、上記グラフの通り、ISO取得企業の7割以上が取得に満足しており、成果を実感しています。ISOの運用が適切に行われている場合、企業は長期的に見て業務の改善と成長を実現可能です。
データを参照してみると、ISOを取得して「無駄だった」と答えた企業より、「取得してよかった」と答えた企業の方が多いことが分かります。
まとめ
本記事では、ISOの取得により生じる仕事の種類や、無駄な仕事が増えてしまう原因、効率化のポイントやメリットについて紹介してきました。ISO認証取得後に生じるさまざまな仕事のルールや体制構築を怠ってしまうと、手間や負担が増え、無駄な仕事が増える原因になってしまいます。しかし、ISOの本来の目的を理解し、運用をすればISOの必要性が見えてきます。詳細については専門家に相談するのも一つの手です。
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