ISOではなぜ文書化が必要なのか?
ISO のマネジメントシステム 規格 では、様々なモノゴトを文書化することが求められます。文書化することで、組織は文書を情報資産として管理する必要が出てきたり、文書作成の工数を要したりするため、ISOの 認証 取得の中でも最も煩わしいものの一つであるのですが、文書化をすることには、マネジメントシステムの 有効性 を保つための理由があるのです。
今回は、なぜISOのマネジメントシステムでは文書化が求められるのかということについて解説していきたいと思います。
文書化が必要な理由
ISOのマネジメントシステム規格における文書化の要求は、必ずしも規格適合性の審査を円滑にする目的で構築されるものではありません。むしろ審査に必要であるという側面は氷山の一角に過ぎません。
文書化が必要な理由の多くは「マネジメントシステムを効率的に運用し、有効な状態を保つために必要不可欠であるから」です。では、なぜマネジメントシステムの運用に文書が欠かせないのかということについて解説していきましょう。
組織への伝達のため
ISOのマネジメントシステム規格では、どのような種類のマネジメントシステムであっても、組織の構成員の積極的参加が求められます。――例えば品質 マネジメントシステムのISO9001 では、生産部門に依存した品質マネジメントシステムではなく、全社を上げて品質の向上に取り組むというTQC的な考え方が取り入れられています。このため、生産部門以外の組織の構成員にも、しっかりと品質目標 や 品質方針 、 マネジメントレビュー の結果などを伝達する必要が出てくるのです。
客観的にレビューを実施するため
ISOのマネジメントシステム規格では、PDCAサイクルの構築が必要になってきます。目標を定め、目標を達成する計画を策定し、その計画を実行し、レビューし、是正処置 、 予防処置 を取って改善を加えていく…この一連の流れは、ISO9001でもISO14001でも共通です。
この中でもレビューつまり、計画の評価は客観的に行う必要があります。「前回掲げた目標ってなんだっけ?なんか知らないけど、マネジメントシステムを構築してからうまく言っているよね!」などという意味のないレビューを実施するのではなく、目標として掲げた数値から、結果にはどれくらいの乖離(かいり)があり、その乖離がある原因はなんだったのか…そして、その原因はどのようにすれば取り除けるのか…といったことを評価し、改善に活かす必要があるのです。
意味のあるレビューを実施するためには、目標はしっかりと文書として保管し、活用しなくてはなりません。
データドリブンによる合理的判断のため
ISOのマネジメントシステムは、近年日本企業の課題である経験と勘による経営からの脱却の手段でもあります。確かな手法で収集されたデータを活用して、合理的に経営判断を下すためにも、文書化は非常に重要な役割を果たします。
過去のデータというものは、人間の記憶という曖昧な媒体に頼るのではなく、文書・データという合理的な媒体に記録するほうが合理的です。
内部監査の効率化
ISOのマネジメントシステムでは、規格適合性とマネジメントシステムの有効性を独自に審査する内部監査の実施が要求事項 で求められます。社員2~5名程度で、全員の動きを全員が把握できているような状況では文書化は必要ないのかもしれませんが、中~大規模な組織のマネジメントシステムがどのような状態にあるのかということを客観的に判断するために、文書は必須になってきます。
審査の円滑化にも役立つ文書は、内部監査の効率化にもつながるでしょう。
まとめ
今回は、ISOのマネジメントシステムにおける文書化の必要性について解説してきました。文書化は煩わしいと感じることの多い作業ではありますが、「組織を運営するためには必ず必要なもの」であると認識し、「審査のためだけにあるものではない」と認識しておきましょう。
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