ISOマネジメントシステム規格には、トップマネジメントという言葉が出てきます。このトップマネジメントとは、経営トップの意味を表しますが、必ずしも代表取締役社長のことだけを指すものではありません。ーーでは、トップマネジメントとは具体的にどの範囲のことを指すのでしょうか?

トップマネジメントとは

トップマネジメントとは、ISOにおいて方針や目標 などの策定、調整、統制などを行う最終責任者のことを指します。一般的には代表取締役や経営管理部門のような経営層を指しますが、マネジメントシステム規格は必ずしも全社を適用範囲とするものばかりではありません。

ISOにおいてトップマネジメントとは、そのマネジメントシステムにおいて最高位で組織を指揮する個人またはグループのことを指します。

例えばISO9001内では、トップマネジメントという言葉に関して明確な定義は行われていませんが、以下のような記述が見られます。

トップマネジメントは,次の事項を確実にすることによって,顧客重視に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。
a) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項 を明確にし,理解し,一貫してそれを満たしている。
b)製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力に影響を与え得る,リスク及び機会を決定し,取り組んでいる。
c)顧客満足向上の重視が維持されている。
JIS Q 9001:2015

トップマネジメントは,次の事項を満たす品質方針を確立し,実施し,維持しなければならない。
a)組織の目的及び状況に対して適切であり,組織の戦略的な方向性を支援する。
b)品質目標の設定のための枠組みを与える。
c)適用される要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。
d)品質マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。
JIS Q 9001:2015

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トップマネジメントとはどの範囲を指すのか

ーーでは、トップマネジメントは結局のところどのような範囲の人々のことを指すのでしょうか?それは、上記要求事項にて定められているトップマネジメントの役割を全うするにあたって、適切な範囲といえるでしょう。

ISOはPマークのようにマネジメントシステムの適用範囲を要求事項内で限定していません。このため、部門単位でマネジメントシステムを構築し、認証を取得することが可能であります。適用範囲が異なれば、当然その組織のトップマネジメントも変わってくるはずです。

例えば品質部門を適用範囲としているのにも関わらず、事務部長をトップマネジメントと見做すことは適切ではないことは言うまでもないでしょう。

トップマネジメントが備えておくべき要素とは

上記のようなことからも、トップマネジメントは以下のような要素を持った個人またはグループであるべきであるといえます。

適用範囲内の事業目的や組織戦略を決定することができる

どのようなマネジメントシステムであっても、組織を動かすわけですからその組織の進むべき方向性を決定することができる人間やグループがトップマネジメントでなければいけません。

  • その組織はなんのためにあるのか
  • 組織の目標はどのようなものか
  • 各部門の資金や人材配置は適切か

トップマネジメントはこれら組織全体を見ながら適切な判断を下し、調整する必要があるのです。

組織の規範や基準を設定し、評価することができる

トップマネジメントは組織の風土や従業員の実績などに基づいて評価を下し、それを組織に反映していくことが必要となります。ーーもちろん、個人的な評価を下すことは誰にでもできますが、これを組織の規範や基準として反映していくことができるグループや個人である必要があるのです。

組織の構築と維持

トップマネジメントは組織の構築や重大な危機に直面したときに対応できる必要があります。特に重大な危機が発生したときに、誰が責任をとって最終的な決断を下すのかということに注意を払ってみましょう。どの範囲の人間がトップマネジメントとしての役割を持つべきかということが自ずとみえてくるはずです。

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まとめ

今回は、ISOにおけるトップマネジメントとはどのような範囲の人々のことを指すのかということについて解説してきました。ISOのマネジメントシステム規格は非常に柔軟性を持った規格であるため、ややこしく感じるかもしれませんが、基本的には全社を適用範囲とすることが多いでしょうから、トップマネジメントは経営トップ層だという認識を持っておいて間違いではありません。しかし、適用範囲を全社としない場合はどのような範囲の人間をトップマネジメントとするかということは、規格の意図を読み取った上で決定するのが良いかもしれません。

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