ISOにおけるトップマネジメントとは?役割やスキルを解説
ISOのマネジメントシステム規格には、「トップマネジメント」という言葉が出てきます。経営トップを意味していますが、必ずしも代表取締役社長のことだけを指すものではありません。

組織経営を行うにあたり、トップマネジメントをはじめとしたマネジメント層全体の範囲や役割について明確に理解することで、事業活動を円滑に進められる可能性があります。

そこで、この記事ではISO規格におけるトップマネジメントの意味や役割、必要なスキルについて解説します。

トップマネジメントとは

トップマネジメントとは、「経営組織において最上位の権限をもつ個人やグループが、経営管理(マネジメント)を行うこと」です。また、代表取締役や最高責任者、最高経営者層などの経営トップのことを指す場合もあります。

ここでは、トップマネジメントの役割やトップマネジメントを含めたマネジメントの3階層について解説します。

トップマネジメントの役割

トップマネジメントの役割は、経営活動における方針や戦略を打ち出し、実践するように管理するとともに、あらゆる最終判断を行うことです。

組織は継続的に発展していくために、生産性向上や業務効率化、変化する市場ニーズや社会情勢、技術進歩などのさまざまなプロジェクトや取り組みを実施しています。そうした活動の最終判断を行い、責任を負うことも必要です。

マネジメントの3階層

マネジメントは、一般的に以下の3階層に分けられています。

トップマネジメント

トップマネジメントとは、代表取締役や最高責任者、最高経営者層などの経営トップのことです。

ミドルマネジメント

ミドルマネジメントとは、部長や課長クラスの中間管理職のことです。
経営層と現場の間に挟まれて苦しいというイメージもあるかもしれませんが、トップマネジメントにより決定された方針を達成するために、現場を指揮・管理することが求められる重要な役割を担っています。

ロワーマネジメント

ロワーマネジメントとは、現場で業務を行う従業員を管理する係長や主任クラスのことです。
マネジメント層の中で最も現場に近いことから、ミドルマネジメント層により指示された目標を達成するために、現場を指揮・管理することが求められています。

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ISOにおけるトップマネジメントとは

ISO規格におけるトップマネジメントとは、ISOに関する方針や目標などの策定、調整、統制などを行う最終責任者のことを指します。

一般的には代表取締役や経営管理部門のような経営層を指しますが、マネジメントシステム規格は必ずしも全社を適用範囲とするものではありません。
そのため、ISO規格の適用範囲内において最高位で組織を指揮する個人またはグループのことを指します。例えば、工場単位で取得する場合には、工場長がトップマネジメントに当たる場合もあります。

ISO9001内では、トップマネジメントという言葉に関して明確な定義は行われていませんが、以下のように示されています。

トップマネジメントは,次の事項を確実にすることによって,顧客重視に関するリーダーシップ及びコミットメントを実証しなければならない。
a) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項 を明確にし,理解し,一貫してそれを満たしている。
b)製品及びサービスの適合並びに顧客満足を向上させる能力に影響を与え得る,リスク及び機会を決定し,取り組んでいる。
c)顧客満足向上の重視が維持されている。
JIS Q 9001:2015

トップマネジメントは,次の事項を満たす品質方針を確立し,実施し,維持しなければならない。
a)組織の目的及び状況に対して適切であり,組織の戦略的な方向性を支援する。
b)品質目標の設定のための枠組みを与える。
c)適用される要求事項を満たすことへのコミットメントを含む。
d)品質マネジメントシステムの継続的改善へのコミットメントを含む。
JIS Q 9001:2015

関連記事:ISO9001(QMS)の適用範囲とは?決め方を要求事項から解説

トップマネジメントとはどの範囲を指すのか

ISOにおけるトップマネジメントの範囲は、要求事項にて定められているトップマネジメントの役割を全うするにあたって適切な人々のことを指すといえるでしょう。

ISOはPマークのようにマネジメントシステムの適用範囲を要求事項内で限定していません。このため、部門単位でマネジメントシステムを構築し、認証を取得することが可能です。適用範囲が異なると、当然その組織のトップマネジメントも変わってくるはずです。

例えば、品質部門を適用範囲としているのにも関わらず、事務部長をトップマネジメントと見なすことは不適切でしょう。品質部門の部長をトップマネジメントとすることが適切です

トップマネジメントが備えておくべきスキルとは

ここでは、トップマネジメントが備えておくべきスキルについて解説します。

適用範囲内の事業目的や組織戦略を決定できる

どのようなマネジメントシステムであっても、組織を動かすため、組織が進むべき方向性を決定できる個人やグループがトップマネジメントであることが必要です。

そのため、自社内外の状況や市場ニーズなどをもとに、適用範囲内の事業目的や組織戦略を決定するスキルが求められます。具体的には、以下のような要素を材料として、適切な判断を行います。

  • 組織の存在意義や目的は何か
  • 組織の目標は何か
  • 各部門の資金や人材配置は適切か

組織の規範や基準を設定し、評価できる

トップマネジメントは組織の風土や従業員の実績などにもとづいて評価を下し、組織に反映するスキルを備えていることが必要です。

個人的な評価を下すことは誰にでもできますが、組織の規範や基準として反映できる個人やグループであることが求められます。

組織の構築と維持

トップマネジメントは、組織の構築や重大な危機に直面したときに対応できるスキルを備えていることが必要です。

特に重大な危機が発生したときに、誰が責任を取って最終的な決断を下すのかということを確認しましょう。「どの範囲の人々がトップマネジメントとしての役割をもつべきか」ということが自ずとみえてくるはずです。

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まとめ

今回は、ISOにおけるトップマネジメントとは、どのような範囲の人々のことを指すのかということについて解説しました。

ISOのマネジメントシステム規格は非常に柔軟性を持った規格であるため、ややこしく感じるかもしれませんが、基本的には全社を適用範囲とすることが多いでしょう。トップマネジメントは経営トップ層だという認識を持っておいて間違いではありません。

しかし、適用範囲を全社としない場合には、どの範囲の個人またはグループをトップマネジメントとするかということは、規格の意図を読み取ったうえで決定すると良いでしょう。

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