ISOのマネジメントシステム規格の種類
- ISO規格の種類には「モノ規格」と「マネジメントシステム規格」がある
- ISOマネジメントシステム規格を取得することで、自社の事業体制が国際基準に達していることをアピールできる
皆さんはISO 規格 といえば何を思い浮かべるでしょうか。ビジネス分野においてISO規格といえばマネジメントシステム規格をイメージされる方が多いのではないでしょうか。
しかし「ISOのマネジメントシステム規格」と一括りにいってもさまざまな種類の規格があります。
そこでこの記事では、ISO規格の概要や必要性、種類一覧、取得するメリット・デメリットを解説します。
ISO規格とは
ISO規格とは、国際標準化機構であるISOが発行した規格のことです。
現在、発行されている規格数は2万を超えており、私たちの身近な生活の中にもISO規格が存在しています。
ISO規格は「世界で共通の基準がある方が都合の良いもの」が規格化されています。例えば、非常口のマークが各国によって異なっていたら、非常時にどこが非常口なのかわからなくなってしまうかもしれません。
こういった理由からISOは世界のスタンダードとなるものを策定していっているのです。
JIS規格、IEC規格との違い
ISO規格とよく間違われる規格にJIS規格やIEC規格があります。そこで、以下にそれぞれの規格の概要とISO規格との関係性をまとめました。
規格名 | 概要 | ISO規格との関係性 |
---|---|---|
JIS規格 | 日本の産業製品・サービス・データなどにおける基準となる国家規格 | 英語やフランス語で記載されたISO規格との整合性を保ったまま翻訳し、JIS規格として表記している |
IEC規格 | 電気・電子に関する技術における国際的な基準となる国際規格 | ISO規格では取り扱いがない電気・電子に関する規格を運用している。両者の範囲が重複する情報技術に関する規格の場合、ISO/IEC規格として協力して規格化している |
ISO規格の種類
ISO規格は、大きく「モノ規格」と「マネジメントシステム規格」の2つに分けられます。ここではそれぞれの規格の概要を解説します。
モノ規格
モノ規格とは、「製品自体」を対象にした規格です。製品のサイズや形状、デザインなどにおける国際的なルールとして設けられています。
もともとISO規格が制定された理由は、モノ規格に対するニーズが高まったためでした。
かつて国際貿易が栄え、さまざまな国との輸出入が行われるになった時期に、「海外製品を購入したが、日本製品とサイズが異なったため使用できない」などのトラブルが発生していました。
そこで世界中で使用されているモノに関しては、ISO規格として基準を統一することで、どの国でも困ることなく利用できるようにしたのです。
マネジメントシステム規格
マネジメントシステム規格とは、組織の活動を管理するための仕組みを規格化したものです。
そもそもマネジメントシステムとは、「組織の目標・目的を達成するための仕組み」のことです。
例えば、「今年の冬に旅行に行くために、30万円貯める」という目標を立てたとします。そのためにできる行動としては「節約する」「お金を稼ぐ」などが思いつくでしょう。
しかし、「頑張る」「なんとかなる」などの個人の裁量や力量に依存していると、目標達成できない可能性があります。そこで目標達成を確実にするために、組織では以下のような取り組みを行います。
- 「食材は必要なもののみ購入する」「土日に副業する」などのルールを設ける
- 「月の食費を2万円以内に収める」「副業で月5万円稼ぐ」などの具体的な数値目標を立てる
- 1か月程度、立てたルールにもとづいて運用してみる
- 目標の達成率や何かしらの問題点があれば、改善策を立てる
- 再度、運用してみる
こうした一連の流れで管理することが、マネジメントシステムと呼ばれているのです。
そして、会社組織の場合にも、会社によって求める目標も異なります。
例えば製造業や建設業、その他の商品・サービスを提供する会社では「商品・サービスの品質を高めたい」という目標をもつ企業が多いでしょう。その場合には「品質マネジメントシステム」を構築・運用します。
そのため、ISO規格でもさまざまな分野のマネジメントシステムに関する規格を発行しているのです。
ISOモノ規格の種類
ISOモノ規格の身近な種類を紹介します。
ISO7010(非常口のマーク)
ISO7010とは、危険標識や警告標識、安全標識における規格です。
例えば、非常口のピクトグラムや危険を表す正三角形に黄色の標識などは誰でも見たことがあるマークですが、海外に行っても同様の標色と形が使用されています。
ISO7810(身分証明書カードの寸法)
ISO7810とは、身分証明書カードの寸法における規格です。ID-1、ID-2、ID-3、ID-000の4つから構成されています。
例えば、銀行のキャッシュカードやクレジットカード、自動車運転免許証、プラスチックカード会員証などがISO7810のID-1に定められているサイズです。
ISO68(ネジ)
ISO68とは、ネジに関する規格です。
ネジのサイズや角度が異なると取り付けられなくなるため、ネジ山の角度や外径、内径などを細かく定めています。
ISO216(紙のサイズ)
ISO216とは、紙のサイズに関する規格です。
私たちが日常で利用しているA4やA5などのAサイズやBサイズを定めています。
ISOマネジメントシステム規格の種類
ここでは、代表的なマネジメントシステム規格を紹介します。
ISO9001(品質マネジメントシステム)
ISO9001 は品質マネジメントシステムの規格です。顧客満足を最終目的として、製品やサービスの品質を高めるマネジメントシステムを構築するための枠組みとなっています。
ISO9001は世界で最も取得されているマネジメントシステム認証です。
「品質」という言葉を聞くと、製造業に限った話のように思えてしまいますが、ISO9001はどの業種であっても認証を取得することが可能です。
ISO14001(環境マネジメントシステム)
ISO14001は環境マネジメントシステム認証です。
企業が生産や営業活動の中で環境に与える悪影響を低減するための規格であり、ISO9001とセットで認証を取得する企業が多くあります。
ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステム)
ISO27001は情報セキュリティマネジメントシステムに関する規格です。
企業が保有する情報資産をサイバー攻撃や漏洩などの情報セキュリティリスクから守る体制づくりを目指しています。
ISO22000(食品安全マネジメントシステム)
ISO22000は食品安全マネジメントシステム規格です。
世界中で採用されている食品安全衛生管理手法であるHACCPを取り入れており、食品の安全性向上を目指しています。
ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)
ISO45001は労働安全衛生マネジメントシステムに関する規格です。
労働災害を防止し、労働者の健康増進や快適に働ける職場づくりなどを実施し、労働者が安全・安心して働ける体制づくりを目指しています。
ISO22301(事業継続マネジメントシステム)
ISO22301は事業継続に関するマネジメントシステム規格です。
自然災害や伝染病などの予測できない非常事態が発生した時に、企業が事業継続もしくは早急に復旧するための体制づくりを目指しています。
ISO13485(医療機器に関する品質マネジメントシステムマネジメントシステム)
ISO13485は医療機器の製造や販売を行う事業者を対象とした品質マネジメントシステムに関する規格です。
品質マネジメントシステムではあるものの、何よりも安全性が重視されるため法規制の遵守が求められます。
ISO17025(試験所・校正機関)
ISO17025は試験所・校正機関向けの規格です。
試験所・校正機関の能力を明らかにすることで、その試験所・校正機関による試験結果や校正結果が適切であることを証明できます。
ISO39001(道路交通安全マネジメントシステム)
ISO39001は道路交通安全マネジメントシステムに関する規格です。
道路交通安全に関する取り組みを継続的に管理することで、道路交通事故の発生による死者や重傷者の撲滅を目的としています。
ISO規格を取得するメリット・デメリット
ISOマネジメントシステム規格には認証制度があります。ISO認証を取得する主なメリット・デメリットを解説します。
メリット
ISO規格を取得する主なメリットを以下にまとめました。
- 新規取引の獲得や新規顧客の拡大
- 取引先や顧客からの信頼の醸成
- 社内体制の改善・強化
- 内部統制の強化
- 事業の持続性の向上
ISO規格は世界中の組織で導入されている国際的な規格です。取得することで、自社の体制が国際的な基準に達していることの証明になります。そのため対外的なアピールにつながります。
デメリット
ISO規格を取得する主なデメリットを以下にまとめました。
- 導入や運用に費用がかかる
- 書類作成や記録に工数がかかる
自社の体制を変革する必要が出てくるため、これまでかかっていなかった手間や工数が発生します。こうしたデメリットを最小限に抑えるにはプロのコンサルに取得サポートを依頼することがおすすめです。
実際にISO認証を取得した企業の経営者・経営幹部約300人にアンケート調査を取った結果、ISO運用に課題を感じているものの、7割以上の方が「ISO認証を取得して良かった」と実感されています。
ISO取得にはメリット・デメリットの両面がありますが、デメリットよりもメリットが魅力的である場合には取得することがおすすめです。
ISO認証のコンサルについては、以下の記事をご覧ください。
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