マネジメントシステムとは?わかりやすく解説
- マネジメントシステムとは、組織の方針や目標を管理する仕組み
- ISOマネジメント規格を取得する過程で、標準化されたシステム構築・運用が可能になる
「ISO のマネジメントシステム認証 を取得しろと上から言われたけど、そもそもマネジメントシステムってなんだ?」なんてことを考えている方も実は多いのではないでしょうか?
品質マネジメントシステム、環境 マネジメントシステム、情報セキュリティマネジメントシステムと様々なマネジメントシステムが存在しますが、そもそもこういったマネジメントシステムとはどのようなものなのでしょうか?
今回は、「マネジメントシステムとは何か?」や「ISO規格との関係は?」といった基本的な内容を、初めての方でもわかりやすいように解説します。
マネジメントシステムとは?
マネジメントシステムとは、組織の方針や目標を定め、その目標を達成するために組織を管理する仕組みのことをいいます。一言で言うと、「組織を効率的に動かす仕組み」がマネジメントシステムです。
例えば、来年の夏に家族旅行を計画するとします。その家族旅行に行くためには50万円というお金が必要になります。この50万円を工面するためにはどのようにすれば良いでしょうか?
- 残業を頑張って、残業代を稼ぐ
- 節約を頑張って、支出を抑える
色々な方法があると思いますが、こういったことをシステマチックにやっていこうとするものがマネジメントシステムです。「家族旅行に行く」という大目標を達成するためには、お父さんに残業を頑張ってもらい、お母さんには節約メニューを開発してもらい……ということが必要になるとします。しかし、こういった個人の裁量や力量に依存していては、その目標を達成することはできないかもしれません。
ではどうすれば良いのか。
大目標を達成するための実現可能な小目標を立てて、それを達成するためのルールを構築すれば良いのです。50万円という金額から逆算して、「1日30分の残業をする」とか、「月の食費を30%カットする」といった具体的な数値目標を掲げていくのです。そして、1ヶ月程度そのルールで運用し、その達成率に問題があれば別の角度からテコ入れをしていく……これがマネジメントシステムです。
会社組織に話を戻すと、品質マネジメントシステムの場合は「品質を向上させる」という大目標を達成するために、「不良品率を前年比10%低減する」「顧客満足度の20%上昇」といった目的を決定し、その目標や進捗に関する定期的なレビューを行い、ルールを改善していく…そんな仕組みこそがマネジメントシステムなのです。
マネジメントシステムの特徴
自社の目標を達成できるマネジメントシステムには、どのような特徴があるのでしょうか。基本的にマネジメントシステムは、以下の特徴を備えています。
経営者や工場長などのトップが管理に関与している
マネジメントシステムを構築・運用する体制をつくるには、トップが責任をもって携わることが重要です。必要に応じてヒト・モノ・カネといった経営資源を提供することが求められます。
PDCAサイクルにより、継続的な改善を行う
マネジメントシステムにより目標を達成するには、PDCAサイクルを常に回し、改善し続けることが必要です。
マネジメントシステムを構成する要素
マネジメントシステムの特徴を満たすには、基本的な要素を把握することが必要です。一般的な構成要素には、以下のようなものがあります。
1.Plan(計画)
- 組織の目的や目的の適用範囲を決定
- 目的を達成するための方針や具体的な目標の設定
- 方針に沿い、目標を達成するための手順やルールの策定
- 組織体制を整備する
2.Do(実行)
- 従業員にPlanで策定したことを共有する
- Planで策定したことを実行・運用する
- 日々の運用を記録する
3.Check(評価)
- セルフチェックや内部監査の実施
- トップマネジメントによるレビュー
4.Action(対策・改善)
- Checkした内容を分析し、次の課題の発見
- 是正点があった場合には対策を練る
こうした要素を含むマネジメントシステムを自社で一から構築・運用していくのは、ノウハウやスキルがないと難しい可能性があります。その場合には、ここからご紹介する「ISO規格」を取得することで、自社に適したマネジメントシステムを構築・運用できるようになります。
マネジメントシステム規格「ISO規格」とは
そもそも規格とは、簡単に言えば「標準化されたもの」です。USB規格、JIS規格などという言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
例えばコンセントの差し口は、電流の差で違いはあれど、どの家でも同じ形をしていると思います。これは、家ごとにコンセントの指し口が異なっていては多くの人が困るからです。こうしたモノのサイズや形状による「標準化」も、つまり「規格化」されているものです。
モノの規格と同様に、マネジメントシステムの標準化が「ISOマネジメントシステム規格」です。
ISO規格とは
ISO規格とは、国際標準化機構(ISO)が運用している国際規格です。そのため、モノやマネジメントにおける国際的に通用する共通の基準となっています。
「会社ごとに人員や風土も異なるのに、標準化してしまって大丈夫なの?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ISOのマネジメントシステム規格は枠組みを提供するフレームワークのようなものです。
フレームワークとは「難しいことを簡単にしたもの」という要素を持っています。わかりやすく言うと、「会社の仕組みづくりにおける必要なプロセスや機能を知ることができるガイドブック」という認識を持ってもらえば良いかもしれません。
もちろんマネジメントシステム規格が常に正解かつ王道であるというわけではありませんが、ある程度のクオリティのシステムを構築するために、マネジメントシステム規格は大きな助けとなるのです。
また、ISO規格を認証取得するには、各国に原則1つあるISOの認定 機関から「審査能力がある」と認められた認証機関による審査を受ける必要があります。
ISOマネジメントシステム規格の種類
ISOマネジメントシステム規格の種類のうち、代表的な規格を紹介します。
ISO9001(QMS:品質マネジメントシステム規格)
ISO9001とは、品質マネジメントシステムに関する規格です。
企業の製品・サービスの品質向上における仕組みを構築・運用することで、最終的には顧客満足度の向上につなげることを目標としています。
製造業や建築業といったものづくり業界において、特に取得が進められています。
ISO14001(EMS:環境マネジメントシステム規格)
ISO14001とは、環境マネジメントシステムに関する規格です。
組織の事業活動による環境リスクを明確にしたうえで、リスク低減のための仕組みをつくり、継続的に運用していくことを目的にしています。
近年では環境問題への取り組みが重要視されるようになっていることから、製造業や建設業、卸売業、小売業と幅広い業種で取得が進められています。
ISO27001(ISMS:情報セキュリティマネジメントシステム規格)
ISO27001とは、情報セキュリティマネジメントシステムに関する規格です。
組織が保有する情報資産を保護し、不正アクセスやウイルス攻撃といった情報リスクを低減することを目指しています。
ITサービス業や人材派遣業、運送業といった機密情報を多く扱う業種で取得が進められています。
ISO45001(OHSMS:労働安全衛生マネジメントシステム規格)
ISO45001とは、労働安全衛生マネジメントシステムに関する規格です。
業務中の負傷や疾病といった労働災害を低減し、そうした原因となる危険源を排除するための仕組みを構築・運用するためのガイドラインです。
製造業や建設業、食品メーカーといった業種で取得が進められています。
ISO22000(FSMS:食品安全マネジメントシステム規格)
ISO22000とは、食品安全マネジメントシステムに関する規格です。
食品危害や食品事故を防ぐことを目的としています。安全な食品製造を実現するために製造部門だけでなく全社的な食品安全の仕組みづくりと食品安全管理手法を確立することを目指します。
食品製造業において、大手企業やメーカーなど多くの企業が取得しています。
1000人の中小企業経営者に聞いた「課題解決とマネジメントシステム」
3割の経営者が課題解決のためにマネジメントシステムを導入
ISOプロは、従業員300名以下の中小企業経営者1000人を対象に、「企業課題」に関する調査を実施しました。ヒト、モノ、カネ、情報に関する課題を抱える経営者の3割が解決のためにマネジメントシステムの導入や認証取得をしていることが分かりました。
その中で、ISO認証を取得している企業は40%を超える結果で、根性論ではなく仕組みで問題を解決しようという経営者が多いことが伺えます。
マネジメントシステム導入の成果が出ていると回答した経営者は約8割
マネジメントシステムの導入や認証取得をしている経営者に成果状況について質問をしたところ、約8割の経営者が成果を感じていることが分かりました。
新たにマネジメントシステムの導入するのは、かなり負荷がかかる印象を持っている方が多いかもしれませんが、現在の業務に紐づけながらマネジメントシステムを構築することで、運用不可がそこまでかからないマネジメントシステムを構築できます。
4割の経営者がISO認証取得すべきと回答
ヒト、モノ、カネ、情報などの課題を抱える経営者1000人に、課題解決のためISO認証を取得したほうが良いかを確認したところ4割の経営者が「そう思う」と回答しています。
国際的なマネジメントシステム認証制度であるISOへの期待が伺えます。現在、課題を感じているマネジメント層の方は、取引だけでなく、社内改善にもつながるISO認証を検討してみてはいかがでしょうか。
<調査概要>
調査概要:「企業課題」に関する調査
【調査期間】2023年8月4日(金)~2023年8月5日(金)
【調査方法】リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「RRP」によるインターネット調査
【調査人数】1.006人
【調査対象】調査回答時に 従業員数300人以下の中小企業経営者 であると回答したモニター
【モニター提供元】ゼネラルリサーチ
また下記の記事にて、調査レポートの詳細がありますので、併せてご覧いただければと思います。
まとめ
今回は、マネジメントシステムとは何か?ということについて解説してきました。ISOのマネジメントシステムは国際規格ですから、世界中で活用されているフレームワークです。その種類は様々なものがあり、品質・環境・情報セキュリティだけでなくエネルギー分野や医療機器に特化した規格まで存在しています。
ISO認証はマーケティング的なメリットを求めて取得される企業も多いですが、組織の仕組みづくりにお悩みであればこういった規格に目を通してみるのも良いかもしれません。
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