ISO が役に立っている気がしない」「内部監査が形だけになっている」「ISO維持に大きなコストが発生している」とお悩みの企業様は多いのではないでしょうか。
しかし、今まで長年やってきたISOをやめてしまって問題ないか?など辞めることにも不安を感じているのではと思います。

今回はISOの返上と自己適合宣言について解説します。

なぜISOを返上する企業が増えているか

近年ISOを返上し、辞めてしまう企業が増えています。ISO認証を運用・維持していくために発生するコストと得られるリターンが釣り合わないと判断した企業が多いということです。ここではISO返上について解説します。

関連記事:なぜISO認証を返上する組織が増えているのか

ISO返上の理由

企業がISOを返上する理由は主に次の5つです。

  • 審査費用が高い
  • 従業員の負荷になっている
  • PDCAサイクルは確立された
  • ISOが役に立っていない
  • ISO認証自体の直接的な外部要求がなくなった

ひとつずつ見ていきましょう。

審査費用が高い

ISOは取得して終わりでなく、維持や更新のために毎年なにかしらの審査があります。規模にもよりますが、毎年30-100万円程度が目安です。
さらに複数の工場や拠点があり、ISO9001・ISO14001・ISO45001など複数規格 を取得している企業ともなると、年間に数千万円もの費用がかかることすらあります。

ISOを取得していることで生まれる利益が、審査費用を下回ることで返上に至るのです。例えば、取引条件からISOがなくなったや、ISO取得を要求した企業との取引がなくなったなどが挙げられるでしょう。

関連記事:ISO認証の取得に必要な費用を解説【業種別の審査費用相場あり】

従業員の負荷になっている

多かれ少なかれISOのためだけに存在するルールや帳票などは出てくるでしょう。しかし、それが多くなると通常業務+ISO業務となり、従業員の負荷が増えることとなります。

例えば、ISO審査のために存在する帳票類に、普段使っているエクセルからコピペを繰り返していませんか。審査で指摘を受けないように完璧なデータを準備していませんか。そういった必要以上の取り組みに社内の貴重な人的リソースが奪われているのです。また審査前1か月ほどは数時間の残業を毎日する等もよく聞く事例です。

関連記事:ISO離れをする理由とは?重いISOが生まれる原因を解説します

PDCAサイクルは確立された

10年以上認証継続し、マネジメントシステム自体も社内に浸透し、PDCAサイクルは確立され、審査でもあまり有益な指摘・改善提案が見られなくなってきた。そう感じる企業様も少なくないはずです。
受審している審査機関によっても状況は異なるかもしれません。
ISOでは審査会社の選定も重要な要素です。ミスマッチな審査機関と契約したがために、余計なルールが追加されたり、実情にそぐわない指摘を受け、実情にそぐわない是正を受け入れなければならないケースもしばしばあります。

PDCA自体は回っているのだが、ISOの為の作業が増え、業務と二軸化してしまっている事例も少なくありません。これがISOだから、と思ってしまっているのであれば間違いです。

関連記事:ISO返上の事例
関連記事:ISO審査機関の選び方と押さえるべき3つのポイント

ISOが役に立っていない

人は慣れるものです。ISOに慣れてしまったがために、内部監査や審査が形骸化していくことも多くあります。形骸化すると改善するための指摘は出てこなくなります。

例えば、内部監査で指摘が出されると手間が増えてしまうから上手くやろうと考え、指摘が出ないような100%に見えるデータを準備していませんか。
内部監査で課題を発見しても、自分の部署の内部監査で指摘をされたら嫌だからと指摘しないことはありませんか。

このような取り組み方をすると、内部監査でも実際の審査でも指摘は出ません。出てもマネジメントシステムとはあまり関係ないような指摘程度になります。当然、ISOを「取得しているだけの状態」になりますが、審査費用も社内工数も発生しているので、始末に悪いといえます。

ISO認証自体の直接的な外部要求がなくなった

当初は「取引先からの求めでISOを取得した」「官公庁案件の入札のために取得」といった取引条件を満たすために取得した企業も少なくありません。
その後、その取引先からの取引がなくなったり、取引の条件としてISO取得がなくなったり、といった理由でISOが不要になることがあります。そうした背景から、ISOを返上するケースも多いです。

ISO返上のメリット・デメリット

メリット

  • 審査費用がなくなる
  • 本業に自社リソースを充てられる
  • 事業運営の自由度が増す

ISOを返上するメリットは上記の通りです。審査費用が削減できるので金額として目に見えるインパクトを与えるでしょう。またISOの要求事項から解放されるため、事業運営のフットワークも軽くなります。ISOのために費やしていた自社工数も消え、従業員が本業に集中することができるため。事業を加速させることでしょう。

デメリット

  • 対外的なアピールが弱くなる
  • 取引条件になっていた取引に影響が出る可能性がある

ISO認証取得のメリットでもある対外的なアピールができなくなります。「ISO認証企業」と打ち出されていれば、一目見て国際的なレベルで事業運営していることが分かりますがそれがなくなるためです。また取引条件にISOの取得が含まれていた場合は、取引に影響を与える可能性があります。
ISOの返上をお考えの場合は慎重に進めるようにしましょう。

ISOプロでは、ISOの返上・自己適合宣言のサポートをしております。スリム化、内部監査、ISOプロによるお客様の自己適合宣言の証明を行います。

ISOの自己適合宣言

ISO返上のメリットを最大限享受し、デメリットを軽減する方法があります。それがISOの自己適合宣言です。簡単にいうと、審査機関からの認証を受けずに自社がISO要求事項に沿ったマネジメントシステムを導入・運用していることを対外的に宣言することです。

ISO返上のメリットに加え、独自のマネジメントシステムで融通が利きやすくなるメリットがあります。反面、自社独自のマネジメントシステムとして再構築をする必要やそれを管理する必要が出てきます。また認証取得と比べると対外的なアピールとしては弱いというデメリットもありますが、ISO認証を長期運用していた実績があれば自己適合宣言の説得力は増すでしょう。

関連マンガ:ISOを返上して自己適合宣言!形骸化したマネジメントシステムからの脱却

自己適合宣言の前に状況整理は必須

ISO返上のデメリットで説明したように、ISO返上は慎重に進めていく必要があります。

取得理由

「昔からISOを継続しているから」「ずっとやっていかなきゃいけないもの」「辞める理由がない」と漠然とした理由で続けている企業も少なくありません。まずはISOを返上する前に、なぜISOを取得・維持していたかを整理しましょう。

取引先にISO取得を求められて取得した企業、公共事業を入札する条件を満たすために取得した企業、営業を有利にしたり対外的なアピールのために取得した企業、取得理由はさまざまです。
当時の取得理由は今も生きていますか。取引先からの要求がなくなったり、対外的なアピールで活用できていなかったりしませんか。返上をする前に、取得・維持する理由を改めて振り返ってみてみましょう。

コスト

特に複数の事業所を適用範囲にしている企業や、複数規格の認証を取得している企業様は、組織全体の審査費用が毎年どれくらいかかっているかご存じでしょうか。また帳票類の対応や内部監査、審査対応などを行う人的コストはどれくらいかかっているかご存じですか。

ISOプロへ寄せられたご相談者様の中には、審査コストが数千万円、社内工数が数百時間という試算結果が出た企業様もいらっしゃいます。

人件費は目に見えづらいコストですが、社内リソースを充てることでの機会損失という見えない形で発生していることも多くあります。
ISOを維持することで、そのコストに見合うリターンがあるのか今一度試算してみましょう。リターンが少ない場合は、返上することによるコストメリットがあるかもしれません。

ISOプロでは、ISOの返上・自己適合宣言のサポートをしております。スリム化、内部監査、ISOプロによるお客様の自己適合宣言の証明を行います。

自己適合宣言のための3STEP


自社の状況を整理し、返上しても問題ない場合は自己適合宣言に向けて準備をしましょう。

要求事項の整理

事業運営をしていく中で3つの要求事項を満たすことは欠かせません。法的要求事項 (法律を守る)、顧客要求事項(顧客が求めているもの)、自社要求事項(自社がどうありたいか)の3つです。ISOを取得している企業は、この3つにISOの要求事項を合わせた4つの要求事項を満たし事業運営していく必要があります。

ISO返上に伴い、自社が満たさなければいけない要求事項と業務・作業の整理を行い、ISOの要求事項を除いたマネジメントシステムを再構築しましょう。そうすることで、ISOに縛られずに、事業展開をスムーズに行えるようになります。

PDCAサイクルを回す

ISOの要求事項に沿ってマネジメントシステムを運用していることを示す自己適合宣言においては、当然マネジメントシステムの運用が大前提となります。
マネジメントシステムの基本は、計画・実施・検証・改善のPDCAサイクルを回すことです。実際にマネジメントシステムを運用し、内部監査、改善のサイクルを行いましょう。

ISO返上と自己適合宣言

ISOの返上は、維持・更新審査を受けない形で返上します。その際、手続きが必要な場合もあるため、審査機関へISOをやめたい旨を伝えるようにしましょう。
返上のタイミングで、自己適合宣言を出すのが良いでしょう。

まとめ

昨今ISOを返上する企業が増えていますが、ただ返上するだけでは長年運用してきた企業様にとってはもったいないことかもしれません。ISO返上のメリットを享受し、デメリットを軽減する選択肢として自己適合宣言は最適な選択のひとつと言えるでしょう。自社の力のみで要求事項を整理し、ISOをスリム化するのは限界があるかもしれません。

ISOプロでも、自社適合っ宣言のサポートを行っています。またISO認証が必要なところもあるということでしたら、適用範囲の調整とマネジメントシステムのスリム化でご対応することも可能です。少しでも現状に疑問を抱いている方はお気軽にご相談ください。

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また、マニュアル作成など御社に合わせたムダのない運用を心がけており、既に導入しているお客様においてもご提案しております。ぜひご相談ください。

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