• ISO自己適合宣言とは、審査機関からの認証を受けずにISO規格に適合していることを宣言すること
  • ISO返上により、審査費用や従業員の負担を低減できるメリットがある一方、対外的なアピールが弱くなったり、取引に影響が出たりするデメリットにつながる可能性がある

ISO が役に立っている気がしない」「内部監査が形だけになっている」「ISO維持に大きなコストが発生している」とお悩みの企業は多いのではないでしょうか。
しかし、今まで長年やってきたISOをやめてしまって問題ないか?など辞めることにも不安を感じているのではと思います。

今回はISO自己適合宣言の概要やメリット・デメリット、ISOを返上する理由、自己適合宣言前に検討すべきことなどをわかりやすく解説します。

ISOの自己適合宣言

ISO自己適合宣言とは、審査機関からの認証 を受けずに、自社がISO要求事項に沿ったマネジメントシステム を導入・運用していることを対外的に宣言することです。

ISO規格を取得し、長期間にわたり運用を継続してきた企業が、ISOを返上し自己適合宣言を行うことも少なくありません。

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自己適合宣言の条件

自己適合宣言を行うには、どのような条件があるのでしょうか。
ISO14001(環境マネジメントシステム規格)においては、要求事項「序文0.5この国際規格の内容」の中で以下のように記載されています。

0.5この規格の内容
この規格は,適合を評価するために用いる要求事項を規定している。組織は,次のいずれかの方法によって,この規格への適合を実証することができる。

−自己決定し,自己宣言する。
−適合について,組織に対して利害関係をもつ人又はグループ,例えば顧客などによる確認を求める。
−自己宣言について組織外部の人又はグループによる確認を求める。
−外部機関による環境マネジメントシステムの認証・登録を求める。

引用:ISO14001:2015より抜粋

自己適合宣言は、要求事項にも記載されている規格への適合を実証する方法として認められています。自己適合宣言を行うには、要求事項に記載されている4つの方法から選択しましょう。

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ISOを返上し、自己適合宣言する理由

近年ISOを返上し、辞めてしまう企業が増えています。ISO認証を運用・維持していくために発生するコストと得られるリターンが釣り合わないと判断した企業が多いということです。ここでは、企業がISOを返上する主な理由を解説します。

関連記事:なぜISO認証を返上する組織が増えているのか

審査費用が高い

ISOは取得して終わりでなく、維持や更新のために毎年なにかしらの審査があります。規模にもよりますが、毎年30万円~100万円程度が目安です。
さらに複数の工場や拠点があり、ISO9001・ISO14001・ISO45001など複数規格を取得している企業ともなると、年間に数千万円もの費用がかかることすらあります。

ISOを取得していることで生まれる利益が、審査費用を下回ることで返上に至るのです。例えば、取引条件からISOがなくなったり、ISO取得を要求した企業との取引がなくなったりするなどの理由が挙げられるでしょう。

関連記事:ISO認証の取得に必要な費用を解説【業種別の審査費用相場あり】

従業員の負荷になっている

多かれ少なかれISOのためだけに存在するルールや帳票などは出てくるでしょう。しかし、それが多くなると通常業務に加えてISO業務を行う必要があり、従業員の負荷になってしまうこともあります。

例えば、以下のようなケースは従業員に負荷がかかっている可能性があります。

  • ISO審査のために存在する帳票類に、普段使っているエクセルからコピペを繰り返している
  • 審査で指摘を受けないように完璧なデータを準備している
  • 審査前1か月ほどは数時間の残業を毎日する
関連記事:ISO離れをする理由とは?重いISOが生まれる原因を解説します

PDCAサイクルが確立された

10年以上認証継続している企業では、以下のようなことを感じることもあるでしょう。

  • マネジメントシステム自体が社内に浸透している
  • PDCAサイクルが確立されている
  • 審査で、あまり有益な指摘・改善提案が見られなくなってきた

このような場合には、ポジティブな意味でISOを自己適合宣言する理由といえるでしょう。自社にしっかりと有効なマネジメントシステムを運用できているといえます。

ただし、PDCA自体は回っているが、ISO業務が増え、通常業務と二軸化してしまっている事例も少なくありません。その場合には従業員に負荷がかかっている可能性があるため、改善が必要といえるでしょう。

関連記事:ISO返上の事例
関連記事:ISO審査機関の選び方と押さえるべき3つのポイント

ISOが役に立っていない

長くISOを運用して慣れてしまうと、内部監査や審査が形骸化することも多くあります。形骸化すると改善するための指摘は出てこなくなります。

例えば、以下のような監査や審査になっている場合には、ISOの仕組みが役に立っていない状態といえるでしょう。

  • 手間が増えるのを嫌がり、内部監査で指摘が出ないように100%に見えるデータを準備している
  • 内部監査で課題を発見しても、自分の部署の内部監査で指摘をされるのを嫌がり指摘しない

このような取り組み方をすると、内部監査でも実際の審査でも指摘は出ません。ISOを「取得しているだけの状態」になりますが、審査費用も社内工数も発生しているため、マイナスの効果になってしまっている可能性があります。

ISO認証自体の直接的な外部要求がなくなった

当初は「取引先からの要求でISOを取得した」「官公庁案件の入札のために取得」といった取引条件を満たすために取得した企業も少なくありません。

しかし、取引先との取引自体が消滅したり、取引の条件からISOが外れたりするなどして、外部要求がなくなることで、ISOが不要になることがあります。そうした背景から、ISOを返上するケースも多いです。

ISOを返上し、自己適合するメリット・デメリット


ここでは、ISOを返上し、自己適合するメリット・デメリットを解説します。

メリット

ISOを返上し、自己適合する主なメリットを以下にまとめました。

  • 審査費用がなくなる
  • 本業に自社リソースを充てられる
  • 事業運営の自由度が増す

毎年かかる審査費用の削減は、最も大きなメリットといえるでしょう。
また、ISOの要求事項から解放されるため、事業運営のフットワークも軽くなります。ISOのために費やしていた自社工数も消え、従業員が本業に集中できるため、事業を加速できるでしょう。

デメリット

ISOを返上し、自己適合する主なデメリットを以下にまとめました。

  • 対外的なアピールが弱くなる
  • 取引条件になっていた場合、取引に影響が出る可能性がある

ISO認証取得のメリットでもある対外的なアピールができなくなります。というのも、「ISO認証企業」であれば、一目見て国際的なレベルで事業運営していることが分かりますがそれがなくなるためです。
また、取引条件にISOの取得が含まれていた場合には、取引に影響を与える可能性があります。

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自己適合宣言の前に検討すべきこと

ISO返上にはメリットだけでなくデメリットがあるため、ISO返上は慎重に進めていく必要があります。ここでは、自己適合宣言の前に検討すべきことを解説します。

取得理由

「昔からISOを継続しているから」「ずっとやっていかなきゃいけないもの」「辞める理由がない」と漠然とした理由で続けている企業も少なくありません。まずはISOを返上する前に、なぜISOを取得・維持していたかを整理しましょう。

取引先にISO取得を求められて取得した企業、公共事業を入札する条件を満たすために取得した企業、営業の優位性を獲得した企業、対外的なアピールのために取得した企業、取得理由はさまざまです。

現在もISO規格を活用できる場合には、ISO返上することが悪影響につながる可能性があります。返上をする前に、取得・維持する理由を改めて振り返ってみてみましょう。

コスト

ISO規格の運用にかかっているコストを確認しましょう。特に、複数の事業所を適用範囲にしている企業や、複数規格の認証を取得している企業は、組織全体の審査費用が必ず把握してください。
また、帳票類の対応や内部監査、審査対応などを行う人的コストについても見直しましょう。。

ISOプロに相談いただいた企業の中には、審査コストが数千万円、社内工数が数百時間という試算結果が出た企業もあります。
人件費は目に見えづらいコストですが、社内リソースを充てることでの機会損失という見えない形で発生していることが多くあるのです。ISOを維持することで、そのコストに見合うリターンがあるのか今一度試算してみましょう。リターンが少ない場合は、返上することによるコスト面でのメリットがあるかもしれません。

自己適合宣言の方法

自己適合宣言を行う方針を固めた場合には、最初に解説した4つの方法のうち、どの方法で行うのかを検討しましょう。

おすすめの方法は、「自己宣言について組織外部の人又はグループによる確認を求める。」ことです。というのも、自己宣言のみの場合、「本当にISO規格に適用できているのか」を証明することができないためです。

第三者機関に適合性認定 してもらうことで、自社の自己適合宣言の信頼性を高められます。

自己適合宣言のための3STEP


自社の状況を整理し、返上しても問題ない場合は、自己適合宣言に向けて準備しましょう。ここでは自己適合宣言を行うための手順を3つに分けて解説します。

1.要求事項の整理

事業運営をしていく中で、以下の4つの要求事項を満たしましょう。

  • 法的要求事項(法律を守る)
  • 顧客要求事項(顧客が求めているもの)
  • 自社要求事項(自社がどうありたいか)
  • 取得しているISO規格の要求事項

ISO返上に伴い、自社が満たさなければいけない要求事項と業務・作業の整理を行い、ISOの要求事項を除いたマネジメントシステムを再構築しましょう。そうすることで、ISOにとらわれずに、事業展開をスムーズに行えるようになります。

2.PDCAサイクルを回す

ISOの要求事項に沿ってマネジメントシステムを運用していることを示す自己適合宣言においては、マネジメントシステムの運用は大前提となります。

マネジメントシステムの基本は、計画・実施・検証・改善のPDCAサイクルを回すことです。実際にマネジメントシステムを運用し、内部監査、改善のサイクルを行いましょう。

3.ISO返上と自己適合宣言

ISOの返上は、維持・更新審査を受けない形で返上します。
その際、手続きが必要な場合もあるため、審査機関へISOをやめたい旨を伝えましょう。返上のタイミングで、自己適合宣言を公表するのが良いでしょう。

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まとめ

昨今ISOを返上する企業が増えていますが、ただ返上するだけでは長年運用してきた企業様にとってはもったいないことかもしれません。ISO返上のメリットを享受し、デメリットを軽減する選択肢として自己適合宣言は最適な選択のひとつと言えるでしょう。自社の力のみで要求事項を整理し、ISOをスリム化するのは限界があるかもしれません。

ISOプロでは、自社適合宣言のサポートも行っています。またISO認証が必要なところもあるということでしたら、適用範囲の調整とマネジメントシステムのスリム化でご対応することも可能です。少しでも現状に疑問を抱いている方はお気軽にご相談ください。

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また、マニュアル作成など御社に合わせたムダのない運用を心がけており、既に導入しているお客様においてもご提案しております。ぜひご相談ください。

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