すぐわかる!ISOとマネジメントシステム規格の基礎
- ISOとは、国際基準化機構のことで、世界の様々な標準規格(ISO規格)を定めている団体
- 主な目的は、ISO規格と呼ばれる国際規定の策定
- 継続的なPDCAサイクルによる、恒常的なマネジメントシステムの改善活動が必要
- ISOコンサルティングサービスを選ぶ際は、会社の規模感や具体的なサービスと料金のバランスを考慮する
ISO とは国際基準化機構(International Organization)というスイス・ジュネーブに本部を置く非営利法人のことで、世界の様々な標準規格(ISO規格)を定めている団体を指します。
ISOマネジメントシステム の認証 取得はマネジメントシステムの構築だけでなく、継続的なPDCAサイクルによるマネジメントシステムの改善が目的で、取得後の運用が非常に大事です。
この記事では簡単なISOの説明や各マネジメントシステム(ISO9001、ISO14001、ISO22000、ISO27001 )取得のメリット・デメリット、コンサルティングの必要性ついて簡単に解説していきます。
目次
ISO(国際標準化機構)とは?
「ISO規定の担当者になったけど、ISOって何?」という方のために、ISOの概要と種類などをご説明します。
そもそもISOとは、「国際標準化機構 (International Organization for Standardization)」という機関の名称であり、製品自体または製品を製造する過程におけるマネジメントシステムに対する規格を指します。
また、マネジメントシステムの規格においては、企業として良い品質の製品を作るための品質マネジメントシステム規格である「ISO9001」。組織に介在するすべてのヒト、モノ(水や空気など)に対して、組織が与えている影響を明確にすることを目的とした「ISO14001」。食品を作り出す過程に関するマネジメントシステム規格である「ISO22000」。様々な情報資産を守り、有効に活用するためのマネジメントシステム規格である「ISO27001」など、目的に応じて分かれています。
なお、ISOマネジメントシステム認証を取得するには、日本に約50社存在する認証機関に認証されなければなりません。そのためには、マネジメントシステムの構築だけでなく、継続的なPDCAサイクルによる、恒常的なマネジメントシステムの改善活動が必要です。
これらISO規格の認定取得には、ある程度の労力がかかりますが、取得後適切に運用できれば「社会的な信用の創出」「品質管理」「事故の防止」など、企業運営において多くのメリットが見込めます。
ISO9001取得の流れとメリット・デメリット
ISO9001とは、一貫した品質の製品やサービスを提供し、顧客満足度を高めるためのマネジメントシステム規格のことであり、あらゆる業界の製品製造工程が対象となります。
「一貫した製品・サービスの提供」「顧客満足の向上」を実現するための品質マネジメントシステムの認定であるISO9001を取得するメリットは多く、例えば「企業の安心感・信頼感の醸成」や「製品の製造工程における作業手順の明確化」「社員教育時間の短縮」「均一な技術や作業工程の提供」などが挙げられます。
ただし「取得や維持のために管理責任者・担当者に大きな負担がかかる」「それまでの流れややり方が崩れ、一次的に仕事のスピードが遅くなる」といったデメリットもあるため注意が必要です。とはいえ、「適切な工程を踏めば誰でも標準的な製品が作れる」という意味では、やはり高いメリットのある規定といえるでしょう。
ISO14001取得の流れとメリット・デメリット
ISO14001とは、組織が環境保護に取り組むために作られた環境マネジメントシステム(Environmental Management System)です。ISO14001の取得には、社内的なメリットと対外的なメリットがあります。
社内的なメリットとして、マネジメントシステムを構築することにより、業務が標準化・構造化されるので、事故や緊急事態といった事態を未然に防ぐことができます。
また、製品投入処理の効率化や代替原料の使用、サイクルによる材料の節減、排気、排水、廃棄物処理・輸送・廃棄に伴う費用の削減。消費エネルギーの低減や資材管理の削減など、コストダウンの観点から見てもメリットは計り知れません。
一方、「資源ごみの削減や節電だけで終わった」「庭に木を植えるだけで終わった」など、運用の難しさがあることも覚えておきましょう。そもそも製品製造に直接紐づかないISO規定のため、取得には組織の意識の高さが求められます。
ISO22000取得の流れとメリット・デメリット
ISO22000は、衛生面を含めた食品安全管理を実施するためのマネジメントシステムの規格です。「食品安全への意識が高い」という企業ブランディングにつながるため、フードチェーンに関わる組織をはじめ、一次生産者およびその材料の加工・配送業者など、多くの組織が取得対象となります。
取得のメリットとして、食品事故の防止や食品安全リスクの低減、さらに製造工程を可視化することで、作業のムダが排除され、効率改善などに加え、安心・安全な製品・サービスを提供するための仕組みを確立することで、消費者や取引先から信頼される点が大きいでしょう。
一方、特に衛生面の確認業務においては、「当たり前」のことの実施を厳密に義務付けるため、業務が滞る可能性があります。自社の状況を考慮して最適なマネジメントシステムを構築することが、ISO22000認証を最大限に活用するためのポイントです。
ISO27001取得の流れとメリット・デメリット
ISO27001は、組織において様々な情報資産を守り有効に活用するマネジメントシステムの国際規格です。
情報の機密性 ・完全性 ・可用性という3つをバランスよくマネジメントし、情報を有効に活用するための組織の枠組みのことを指します。ISO27001取得のメリットは、取引先・顧客の情報を取り扱う企業であれば、情報のセキュリティ管理やその意識の高さを可視化することができるので、信頼関係を構築できる点が挙げられます。
また、業種によっては官公庁の入札や取引企業の要請に対応できるようになるほか、従業員への情報リスクの意識付けができます。一方、システム開発や運用のためにさまざまなコストが大きくなることに加え、商談資料や情報端末の持ち出しを禁止するというルールを敷いた場合、通常の業務に不便が生じるなどのデメリットも想定されるでしょう。
ISO認証の取得にコンサルティングは必要か?
ISO認証の道のりは決し楽ではありません。取得後も継続して審査を受ける必要があるため労力がかかるものの、商品・サービスの品質維持と業務の効率化が見込めるので、ビジネスを安定的に推進するために、対外的にも社内的にも有用といえます。
ISO取得専門のコンサルティングサービスを提供している会社が存在していることをご存知でしょうか。専門コンサルティングサービスを利用すれば、自社の作業工数を抑えながら「ISO認証取得」「認証取得後の維持管理・運営のしやすいシステム構築」「固有企業の事情を反映したシステム構築」などを実現することができます。
ただし、ISO取得コンサルタントと一言で言っても、その支援体制はさまざまな種類があります。コンサルタントが取得までフルコミットで伴走するサービスもあれば、文書雛型の提供・初期教育・成果物のチェックといった支援に留まるサービスもあります。
まずは、自社がどのようなISO取得コンサルティングサービスを求めているのかを明確にした上で、必要なコンサルティング会社を探すという流れが適切です。
ISOコンサルティングサービスを選ぶ際は、会社の規模感や具体的なサービスと料金のバランスを考慮して選びましょう。
小さく社歴が浅かったりサービスが格段に安かったりすると、初期費用は抑えられるかもしれませんが、結果的にマネジメントシステムが全く機能しなかったり残業が増えてしまったりと、結果的に失敗してしまうことがあるため注意が必要です。
ISO認証取得後の運用・維持・更新について
ISO認証は取得後の運用が重要です。そもそもISOは、「認証取得後にPDCAを回しながら改善していくことでさらなるレベルアップを実現する」という考えに基づいたシステムになります。
これを理解せずに、「ISO規格を取ったものの、それだけで終わってしまっている」という事態を招くのはよく陥りがちな失敗です。例えば、「マニュアルを作ったにも関わらず内部監査がないがしろになっている」「内部監査を形式的に配置しただけで実際はほとんど機能していない」ということもよくある話です。
ちなみに、運用中は「第一回定期審査」「第二回定期審査」のほかに、3年に1度「更新審査」があります。
こうした審査は、マネジメントシステムが継続して規格要求事項に適合しているかを確認するものです。更新審査において、審査結果をもとに「更新可能」と判断された場合は、新たに3年間を有効期限とした登録証が発行されます。この審査を適切にクリアするために、マネジメントシステムに対してPDCAを回転させ、規定の改定を定期的に行うことが大切です。
ISO規格取得は、一時的なコストダウンや目先の利益・効率を重視した短期的なプロジェクトとしてではなく、企業体として「どのような未来像を描いているのか」「どのようになっていきたいか」を意識した、長期的な取り組みとして理解していきましょう。
まとめ
ここまでISO認証の意味や製品のみならず、「マネジメントシステムに対する規定であること」「規定にも種類がありそれぞれにメリット・デメリットがあるということ」をご紹介してきました。ISO認証は、一過性のものではなく、企業として長期的に取り組むものと憶えておいてください。
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