ISO9001認証取得のメリット・デメリットをそれぞれ解説

ISO
9001は品質
マネジメントシステム
の国際規格
であり、企業や組織が提供する商品やサービスの品質を向上させ、最終的に顧客満足度を高めることを目的としています。企業が
ISO9001
を取得する主な理由は「取引先からの要求」や「官公庁案件への参加」などが挙げられますが、それ以外にも「企業としての信頼」はもちろん、「業務フローの統一・
標準化
」などいくつものメリットがあります。
今回はISO9001を取得する必要性についてメリット、デメリットを交えつつ解説していきます。
目次
ISO9001認証取得の流れは?
それでは、ISO9001の概要と取得までの流れなどを理解していきましょう。
そもそもISO9001とは、一貫した品質の製品やサービスを提供し、顧客満足度を高めるためのマネジメントシステム規格のことです。
現在もっとも普及しているマネジメントシステム規格であり、世界170カ国以上、100万以上の組織が活用しています。
「品質」という言葉のイメージから、高品質な製品をイメージされがちですが、ISO9001は、「一貫した製品・サービスの提供」と「顧客満足の向上」を実現するための品質マネジメントシステムです。
つまり、「良い製品を作るためのシステム自体を管理すること」と認識しておくと良いでしょう。いわゆるプロセスアプローチであり、良い製品・サービスを提供するために、その製品・サービスという「結果」ではなく、提供されるまでの「プロセス」を重視しているのです。
取得までの流れは、まず「システム構築・運用」、そして「認証 取得」、その後に「システム運用・認証維持」という流れになります。システム構築・運用フェーズでは、PDCAを回転させ、マネジメントシステムを一定水準まで高めつつ、認定 組織に対して事前相談を行い、審査登録の契約まで行います。認証取得時に登録審査を経て、登録証が発行され、その後システム運用・認証維持フェーズにおいて定期審査・更新審査が行われます。

ISO9001認証取得のメリット
企業の安心感・信頼感の醸成
ISO9001を取得するメリットの最も代表的なものが「企業の安心感・信頼性の醸成」ではないでしょうか。ISO9001は品質(顧客満足)にまつわるマネジメントシステムなので、ISO9001を取得することはすなわち、品質(顧客満足)の国際基準をクリアした製品やサービスなど顧客満足を提供できる企業として取引先やお客様から見られることになります。自社のホームページや製品のパンフレット、製品を製造する工場であれば工場入口などにISO取得ロゴマークを記載している企業も多く見られます。
作業手順の明確化
作業手順の明確化はISO認証取得時にマネジメントシステムを構築することで従来の作業で発生していた“ムダ”を発見することができ、効率的な作業手順を明確にすることができます。これにより製品やサービスの品質維持に繋がり、生産性を高めることができます。また、作業工程の曖昧な部分をなくすことも可能です。
従業員教育の効率化
マネジメントシステムを構築することで従業員に教育する内容も効率化が進むので、例えば「2人の先輩に仕事を教わったけど、それぞれやり方が違う。どっちの方法を信じればいいのか分からない」という事態も解消されるでしょう。また、一つひとつの作業工程が整備されることで、現場の統一感が増し、社員のモチベーション向上にも繋がります。
品質の継続的な改善
品質マネジメントシステムではPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(確認)のPDCAサイクルを回しながら現場の仕事を進めていくので、もし製品製造の工程で問題が発生した場合は問題を確認し修正を行います。これを繰り返すことで製品の品質(顧客満足)を継続的に改善していく流れを構築することができます。
取引先の拡大
ISO9001の認証取得を行い、企業が提供する製品やサービスの品質(顧客満足)を高めていくことで、「この企業ならこの仕事を依頼できる!」と行った安心感が生まれ、取引先の拡大にも繋がります。取引先企業の中にはISO9001を取得していることを前提にしている企業もあるので、同業他社と比較して強みになる場合もあります。
取引先の要求を満たすだけでなく、官公庁案件の入札や入札に必要な経営事項審査の加点にもなるため、更なる市場開拓も目指すことができます。
ISO9001認証取得のデメリット
管理者への負担
ISO9001を取得するためには、ISO事務局を設立するなど自社内におけるISOの取得やその後の運用を管理する管理者を設けることが重要です。ISO管理者に選ばれた社員は通常業務と兼任でISO9001の管理を行っている場合が多いため、大きい負担を抱える可能性があります。
ISO管理者は、計画の策定から運用の管理、文書の更新・管理、内部監査
、審査の立ち会いなどさまざまな業務の中心となって対応することが求められます。
このときに作成したマニュアルやルールなどの書類は、社内に正しく共有できるような形式で管理しなければなりません。また、常にマネジメントシステムの
有効性
を保つために、会社の実情に沿った最新版に更新し続ける必要があります。
そのために、一般的には1年に数回程度、マネジメントレビュー
を行います。ISO管理者がフィードバックや運用の結果をもとに集められた是正すべき課題を整理し、マネジメントシステムの見直しを行います。
このようなISO管理者の負担は、経験豊富なコンサルタントの支援を受けると、軽減することができます。
コストや手間がかかる
ISO9001を取得するには、約6ヶ月~1年半ほどの期間が必要です。
その間、従業員には文書構築、運用記録の作成、内部監査などのさまざまな業務が発生します。また、会社の規模や対象範囲によっては、その影響は大きくなるでしょう。
日常業務や本業にかけられる時間が減り、集中できなくなることで、生産性が低下する可能性もあります。
取得まで長期間かかる影響を考慮し、事前にISO9001取得に向けて人手を確保しておくなどの対策を練ることが求められるでしょう。また、手間を削減し、確実にISOを取得するために、多くの企業が専門のコンサルタントに依頼しています。
また、コストについては取得時に審査費用が発生するだけでなく、取得後にも毎年審査を受ける必要があり、その都度費用が必要になります。コンサルタントに依頼する場合には、コンサルタント費用もかかってきます。
費用がかかることで取得に消極的になる企業もあるかもしれません。しかし、こうした費用をかけてISO9001を取得することによって、ISO9001の取得が入札条件になっている新規案件の獲得や、消費者からの信頼度アップにつながり、売上の向上が期待できます。つまり、ISO9001を取得・運用することで、より高い費用対効果を見込めるでしょう。
運用の継続が負担になる
ISOは企業や組織の業務効率化に繋がるものですが、誤ったISOの構築をすると「重いISO」になり、業務効率化のためにISOを取得したのに返って業務効率化を妨げる要因になってしまいがちです。
ISOを構築する際に“ISO9001を取得することを目的”に要求事項を満たすためだけの文書を作成することで、この状況に陥りやすいです。ISO9001はあくまでも“製品やサービスを継続的改善をするためのガイドライン”であり、各企業が自社の実情に合わせて構築できるように自由度も高くなっています。
ISOのためだけの文書類はなるべく省いていきましょう。
自社取得を行う場合はISO構築の必要不必要の判断が難しいため、ISOの専門家であるISOコンサルティング会社に頼るのも一つの手段です。「重いISO」を運用し続けると従業員負荷が増え、企業体力を無駄に浪費してしまうことになり、最終的にISOが形骸化し、返上としてしまうケースも少なくありません。
これからISOを取得する場合は、このようなデメリットもあることを前提に考えていきましょう。

まとめ
ISO9001認証取得をメリットとデメリットに分けて解説しました。ISO9001を取得すれば取引先様やお客様の信頼に繋がりますが、自社取得をした場合はISO担当者に対する負担は大きくなるデメリットもあります。このようなISO担当者の負担を減らすためにもISOコンサルタント会社があるので、こちらの利用も検討してみてはいかがでしょうか?

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