ISO9001認証取得のメリット・デメリットをそれぞれ解説

- ISO9001取得は、商品・サービスの質向上だけでなく、顧客満足度の向上が最終目標となっている
- ISO9001取得により、取引先の拡大や品質の継続的な改善などのメリットを受けられる
ISO
9001は品質
マネジメントシステム
の国際規格
であり、企業や組織が提供する商品やサービスの品質を向上させ、最終的に顧客満足度を高めることを目的としています。企業が
ISO9001
を取得する主な理由は「取引先からの要求」や「官公庁案件への参加」などが挙げられますが、それ以外にも「企業としての信頼」はもちろん、「業務フローの統一・
標準化
」などいくつものメリットがあります。
この記事では、ISO9001の概要やISO9001を取得するメリット・デメリット、
認証
取得の流れを解説していきます。
目次
ISO9001とは
ISOとは、国際標準化機構(ISO)が運用している国際規格のことです。一般的に、ISOといえば組織の略称ではなく、国際規格を指しています。
ISO規格は、国際的な取引をスムーズにするために、世界基準のモノサシとして誕生しました。ISOマネジメントシステム規格とモノの規格があります。マネジメントシステム規格がISO9001などの仕組みである一方、モノの規格にはクレジットカードのサイズや案内標識のマークなどが挙げられます。
世界で統一した基準があることで、国際貿易においても一定の品質を担保できるのです。
ISO規格の詳細は、以下の記事をご覧ください。
ISO規格のうち、ISO9001は品質マネジメントシステムに関する規格です。現在もっとも普及しているマネジメントシステム規格であり、世界170カ国以上、100万以上の組織が活用しています。最近では、特に製造業や建設業の大手企業だけでなく、中小企業でも品質管理へのニーズが高まっており、取得が進められています。
ISO9001の目的は、自社製品・サービスの製造や提供プロセスを改善し続けられる仕組みを構築・運用することによる品質向上です。ただし、最終的には顧客満足度の達成を掲げているため、品質だけでなく、価格や納期といった顧客要求事項 を満たすことが大切です。
ISO9001の詳しい概要や他の規格との違いについては、以下の記事をご覧ください。

ISO9001認証取得のメリット
企業の安心感・信頼感の醸成
ISO9001を取得するメリットの最も代表的なものが「企業の安心感・信頼性の醸成」です。
ISO9001を取得することで、品質(顧客満足)の国際基準をクリアした製品やサービスなど顧客満足を提供できるという企業価値を、取引先やお客様にアピールできます。
自社のホームページや製品のパンフレット、製品を製造する工場であれば工場入口などにISO取得ロゴマークを記載している企業が多く見られます。自社の販促活動にしっかりと活用することがおすすめです。
作業手順の明確化
マネジメントシステムを構築する過程で、従来の作業で発生していたムダな工程や作業を発見でき、効率的な作業手順の策定につながります。
これにより製品やサービスの品質維持につながり、業務効率や生産性の向上が期待できるでしょう。また、作業工程の曖昧な部分をなくすことも可能であることから、業務の標準化が見込めます。
従業員教育の効率化
マネジメントシステムを構築することで、業務そのものだけでなく、従業員への教育内容も効率化できるようになります。例えば「2人の先輩に仕事を教わったけど、それぞれやり方が違う。どっちの方法を信じればいいのか分からない」という事態も解消されるでしょう。
また、一つひとつの作業工程が整備されることで、現場の統一感が増し、社員のモチベーション向上にもつながります。
品質の継続的な改善
ISO9001の要求事項 には、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(確認)のPDCAサイクルを回しながら現場の仕事を進めていくことが求められています。
そのため、製品製造の工程で問題が発生した場合は問題を確認し修正を行います。これを繰り返すことで製品の品質(顧客満足)を継続的に改善していく流れを構築することができます。
取引先の拡大
ISO9001認証を取得することで、製品・サービスの品質が高められます。それにより、取引先に「この企業ならこの仕事を依頼できる!」という安心感が生まれ、取引先の拡大につながります。また、企業の中にはISO9001を取得していることを、取引条件にしている企業もあるので、同業他社と比較して強みになる場合もあります。
取引先の要求を満たすだけでなく、官公庁案件の入札条件や、入札に必要な経営事項審査の加点にもなるため、更なる市場開拓も目指すことができます。
ISO9001認証取得のデメリット
続いて、ISO9001認証取得のデメリットを解説します。
管理者への負担
ISO9001を取得するためには、ISO事務局を設立するなど自社内におけるISOの取得やその後の運用を管理する管理者を設けることが重要です。ISO管理者に選ばれた社員は通常業務と兼任でISO9001の管理を行っている場合が多いため、大きい負担を抱える可能性があります。
ISO管理者は、計画の策定から運用の管理、文書の更新・管理、内部監査
、審査の立ち会いなどさまざまな業務の中心となって対応することが求められます。
このときに作成したマニュアルやルールなどの書類は、社内に正しく共有できるような形式で管理しなければなりません。また、常にマネジメントシステムの
有効性
を保つために、会社の実情に沿った最新版に更新し続ける必要があります。
そのために、一般的には1年に数回程度、マネジメントレビュー
を行います。ISO管理者がフィードバックや運用の結果をもとに集められた是正すべき課題を整理し、マネジメントシステムの見直しを行います。
このようなISO管理者の負担は、経験豊富なISO規格取得コンサルタントの支援を受けると、軽減することができます。
コストや手間がかかる
ISO9001を取得するには、約6ヶ月~1年半ほどの期間が必要です。
その間、従業員には文書構築、運用記録の作成、内部監査などのさまざまな業務が発生します。また、会社の規模や対象範囲によっては、その影響は大きくなるでしょう。
日常業務や本業にかけられる時間が減り、集中できなくなることで、生産性が低下する可能性もあります。
取得まで長期間かかる影響を考慮し、事前にISO9001取得に向けて人手を確保しておくなどの対策を練ることが求められるでしょう。また、手間を削減し、確実にISOを取得するために、多くの企業が専門のコンサルタントに依頼しています。
また、コストについては取得時に審査費用が発生するだけでなく、取得後にも毎年審査を受ける必要があり、その都度費用が必要になります。コンサルタントに依頼する場合には、コンサルタント費用もかかってきます。
費用がかかることで取得に消極的になる企業もあるかもしれません。しかし、こうした費用をかけてISO9001を取得することによって、ISO9001の取得が入札条件になっている新規案件の獲得や、消費者からの信頼度アップにつながり、売上の向上が期待できます。つまり、ISO9001を取得・運用することで、より高い費用対効果が見込めるでしょう。
運用の継続が負担になる
ISOは企業や組織の業務効率化に繋がるものですが、誤ったISOの構築をすると「重いISO」になり、業務効率化のためにISOを取得したのに返って業務効率化を妨げる要因になってしまいがちです。
ISOを構築する際に“ISO9001を取得することを目的”に要求事項を満たすためだけの文書を作成することで、この状況に陥りやすいです。ISO9001はあくまでも“製品やサービスを継続的改善をするためのガイドライン”であり、各企業が自社の実情に合わせて構築できるように自由度も高くなっています。
ISOのためだけの文書類はなるべく省いていきましょう。
自社取得を行う場合はISO構築の必要不必要の判断が難しいため、ISOの専門家であるISOコンサルティング会社に頼るのも一つの手段です。「重いISO」を運用し続けると従業員負荷が増え、企業体力を無駄に浪費してしまうことになり、最終的にISOが形骸化し、返上としてしまうケースも少なくありません。
これからISOを取得する場合は、このようなデメリットもあることを前提に考えていきましょう。

ISO9001認証取得の流れは?
取得までの流れは、以下の3つのフェーズに分けられます。
1.マネジメントシステム構築・運用
ISO9001の要求事項に則って、マネジメントシステムを構築・運用します。その過程で内部監査業務を実施して、マネジメントシステムを評価・改善しながらPDCAサイクルを回し、マネジメントシステムをより効果的なものへと洗練させていきます。
2.認証取得
ISO審査機関(ISO認証機関)に登録審査を依頼し、取得審査を受けます。問題なかった場合、登録証が発行されます。
3.システム運用・認証維持
1年ごとに定期審査・3年ごとに更新審査を実施。構築・運用しているマネジメントシステムの有効性や適合性を確認し、継続的発展を目指します。
ISO9001認証の取得方法と流れの詳細は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
ISO9001認証取得をメリットとデメリットに分けて解説しました。
ISO9001を取得すれば取引先様やお客様の信頼につながり、自社の経営活動をより成長させられる可能性があります。
しかし、自社取得をした場合はISO担当者に対する負担が大きくなる傾向にあるため、ISOコンサルティング業者にサポートを依頼することがおすすめです。ISO9001取得にかかる費用や労力を抑えながら、自社に適した品質マネジメントシステムの構築が期待できます。

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