【品質マネジメント7原則】関係性管理とは

著者:ISOプロ担当者
投稿日:
更新日:2019年07月23日

ISOの解釈は審査機関、審査員により異なる場合があります。この記事の解釈はあくまで著者の解釈ですので、ご注意ください。

組織の周りには、ステークホルダーというものが存在しており、様々な利害関係が組織を取り巻いています。ISOでは、組織と互恵関係にあるステークホルダーは対等な立場にあり、平等であるべきだと考え方をします。この考え方はPublic Relationsという概念として、欧米では古くから根付いた考え方です。しかし、日本ではPublic Relationsという概念が戦前には存在しておらず、理解しにくい概念として現在に至るまで誤解されてきました。

マネジメントシステムにおける関係性管理とは

品質マネジメント7原則には、以下のような記述があります。

組織は持続的成功のために、例えば提供者のような密接に関連する利害関係者との関係をマネジメントする
ISO9001:2015

そもそもですが、「組織を取り巻く利害関係者」とはどのような人々のことを言うのでしょうか。まず皆さんが思いうかべるのが、「顧客」でしょう。「顧客」は企業が提供する製品やサービスに対して金銭を支払ってくれる、組織の存続に欠かせない存在です。――しかし、「組織の存続に欠かせない存在」は顧客だけではありません。例えば、以下のような人々も「利害関係者」ということができるはずです。

  • 株主
  • 従業員
  • 仕入先、取引先
  • 周辺の住民や施設
  • 政府や自治体
  • マスメディア

組織が顧客満足を目指す上で、上記のような人々との関係性は非常に重要なものになります。例えば、仕入先がなくなればそもそも製品を作れなくなってしまいます。また、周辺の住民から反感を買ってしまい、従業員に肩身の狭い思いをさせれば、従業員のモチベーションが低下してしまうかもしれません。

逆に良い関係を気づけていれば、仕入先とうまく連携することができて、より高い品質の製品やサービスを提供することができるでしょうし、従業員のモチベーションも高まっていくでしょう。

こういった理由から、組織はステークホルダーと対等な立場に立ち、よりよい関係を築いていく必要があります。サービスに関わる全ての人が「顧客満足」という共通目的に向けて協力していくために、組織は努力をするべきだという考え方が、品質マネジメントにおける「関係性管理」です。

より良い関係性を保つためには

では、組織を取り巻くステークホルダーとの関係を良好に保つためにはどうすれば良いのでしょうか。これは、私達日本人が非常に苦手とする分野です。どうしても「お客様は神様」「他力本願」的な思想が身についてしまっているため、「金を払う客が偉い」という考え方をしてしまいがちなのです。

組織の関係性づくりのことをパブリック・リレーション(Public Relations)と呼びます。パブリック・リレーションズとは、一言で言えば「情報を伝播したり受け取ったりという所謂コミュニケーションをすることによって、ステークホルダーと良い関係を築こうとする行為」のことです。

戦後、この概念が日本に入ってきた時に、日本人はパブリック・リレーションズを「広報」と翻訳しました。「広報」とは「広く報(しら)せる」という言葉です。パブリック・リレーションの基本である「双方向のコミュニケーション」から大きく外れる言葉を当て込んでしまったのです。このため、現在にいたっても「PR」とは、「宣伝する」という意味合いが強いです。

長くなりましたが、要するにステークホルダーとより良い関係を構築するためには、「双方向のコミュニケーション」が基本になります。――では、具体的にどのようなことをすれば良いのでしょうか。

情報収集と発信

例えば、PRが苦手だと言われる日本の企業でも最低限行っているパブリクリレーションがあります。それが、IRです。IRとは、インベスター・リレーションズ(Investor Relations)つまり、株主との関係を良好にするための活動を指します。例えば、株主総会を開催し、株主から意見を聞き入れたりします。そして、株主からの意見を反映し、その結果を報告する――そんなことがされているのです。

簡単に言ってしまえば、これと同じことを各ステークホルダーに対して行えば良いのです。一方的に情報発信をするのではなく、ステークホルダーの意見に耳を傾けるのです。

情報の透明化

隠し事をせずに情報を全て開示することは、パブリクリレーションでは非常に重要なことであると位置づけられています。例えば、企業の不祥事があった時に開催される謝罪会見を思い出してみてください。あの場では、記者から何か質問が合った時に「お答えすることができません」と応答すると、記者から猛烈な批判を受けることになります。「何か隠し事をしているのでないか?」と思われてしまうためです。

皆さんの日常生活の中でも、隠し事をする人というのは良い印象を持てませんよね? それと同じで、隠し事をせずに、誰でも情報にアクセスすることができるような状態を保つようにしておくほうが望ましいのです。

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