選んだのは“変わること”。町工場 60年目の挑戦

クライアントプロフィール

株式会社福井製作所
製造部 部長 鈴木啓道 様製造部 検査課 松本潤一 様製造部 佐々木健樹 様製造部 山下昌昭 様営業 有安礼匡 様営業・管理部 金子健 様
課題
時代に適した工場標準の見直し
業種
製造業
規模
21~50名以下
規格
ISO9001

ISOを取得した企業にインタビューを行う“ISOプロが訊く”。今回はISO9001を取得した株式会社福井製作所様にISOを取得した理由をお聞きしました。福井製作所様は精密鉄板加工や機構組立加工などを使っている会社で、これからの工場に求められる「品質」を向上させるためにISO9001を取得したとのことです。ISO9001を取得するにあたって苦労したポイントや導入した後の意識変化について伺いました。これからISO9001の取得を考えている企業様は必見です。

福井製作所とはどのような会社?

福井製作所は、1956年に有限会社として設立した会社です。主に精密鉄板加工や鍍金(メッキ)処理、塗装、機構組立加工、電子機器精密シートメタル加工などを扱っています。昨今では、ミクロンレベルの精度が要求される液晶関係の仕事が増えており、半導体や液晶ステッパーなどの電子部品を取り扱う高い技術が弊社の強みです。
弊社の板金加工は半世紀以上取り組んでおり、品質に対する意識も時代と共に変わっています。戦後、創業時の品質に対する意識は低いもので、職人気質が前面に出てしまう風潮もあり、取引先のことはあまり意識していませんでした。
工業技術発展に伴い、扱う機械精度も徐々に向上。取引先に大手企業様と協力関係にあるので、細かい寸法公差を守ることや各製品に対して品質を維持する努力が求められました。現在でも品質はもちろん、取引先に対して安くて早く納期に応えられるように努力を積み重ねています。

取得前課題
時代に適した工場標準の見直し
取得後
従業員の品質に対する意識の向上

時代に適した「工場標準の見直し」のために
ISO9001の取得へ

ISO9001を取得する理由となったのが、社内の“工場標準”見直しでした。時代が進むにつれて工場も変革が求められ、昔のやり方を続けていたとしても「時代にそぐわない」、「中身が伴わない工場」になってしまいます。この問題を解決すべく、品川区中小企業振興会に相談をしたところ、担当者がJRCAに登録している審査員だったので、ISO取得を促されたのがキッカケです。

ISO9001を理解すること

当時は、ISOと聞いてもチンプンカンプンで、ISO9001の内容や条文を把握するのも大変でした。特に普段は聞き慣れない言葉も多く、理解することからはじめました。担当者からも条文を自分たちで半分考える宿題も出され、これが困難でしたね。
“工場標準の見直し作業”は半年以上かかったり、担当者から当社に沿った条文作成の宿題も課されたりとダメ出しも受けて大変でした。
このような中から完成に至った“㈱福井製作所 品質マニュアル”は、現在のISO9001運用で大活躍しています。

取得後に見られた
従業員の仕事に対する意識変化

ISO9001を取得した後も運用するにあたり課題が多くありました。その課題の1つに会社と従業員にISO9001を浸透させることが挙げられます。ISO9001を表面的に理解していても根本的な部分がわかっていないと意味がありません。そこで勉強会など社内で理解度を深める場を何度も設けて、ISO9001の運用や理解を得る取り組みを行っています。
また、従業員の品質に対する認識は以前よりも向上してきました。部門ごとに品質目標設定をしており、それに伴い従業員から品質を向上させる提案がボチボチと出てきています。
日常の仕事に対する変化も大きいものでした。数十年続けてきた“アタリマエ”の仕事にISO9001を運用するために「記録を残す」ことが加わったのです。みんな昔の癖が残っているので、慣れていない方も当然ながら出てきますね。こういうところも含めて、これから頑張って結果を出していきたいと思います。

ISO9001取得で変わった取引先との関係性

取引先のお客様との変化で実感したことは、ISO9001取得済みの企業として評価をいただけるようになったことです。ISO9001を取得した後、名刺の方にISOマークを入れるようにしましたので、“この会社は品質に対するこだわりを持っている”と見られるようになりました。
また、書類作成の面でも、従来の手法だとお客様に対して品質に関する書類を何時間もかけて作成をしておりました。ISO9001を取得した後は、その工程がなくなったので非常に楽になりました。

現在のISO9001の運用状況

習得して約1年が経過しておりますが、まだまだ実用レベルに達していないと思います。その理由の一つに数十年続けてきた“アタリマエ”が残っており、「面倒だけどやらないといけない」という雰囲気が残っているところです。従業員一人ひとりがISO9001を運用しないといけないという気持ちがあるのですが、新しい運用方法についていくことが難しいと感じる方もいます。
この問題さえ解消すれば、今後新しい人が入社してきたとしてもISO9001を前提とした仕事の流れに乗れるかと思います。ISOは社外に対するアピール材料として欠かせない存在ですが、社内における一つの基準として役立っています。

まとめ

今回、福井製作所様のISO9001の取得に関してインタビューを行いましたが、昔ながらのやり方が残っている中でのISO9001の導入に従業員様が四苦八苦していることが伺えました。苦労しながらも従業員様お一人おひとりがISO9001を導入してよかったというお声もあり、仕事に対して意欲が高まっていることがわかります。ISO9001の導入は、取引先との関係性の変化だけではありません。自社の品質向上、従業員の意識向上など会社全体に対して影響を与えます。つまり、総合的に『プラス』に動いていくものだと実感しました。
取引先との関係だけではなく、自社のためにISOを導入する動きも良いのではないでしょうか?

会社情報

社名 株式会社福井製作所
設立 1956年3月2日
資本金 1000万円
所在地 東京都品川区南大井5-20-5
URL http://www.fukui-ss.co.jp/

記事掲載日:2022年11月01日

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