• ISO規格は一般競争入札制度や指名競争入札において、加点対象であることが多い
  • 対象となるISO規格は、一般的にISO9001とISO14001

公共工事を受注できるかどうかは、建設業者の事業活動の安定性を大きく左右します。そのため、多くの建設業者が事業拡大を狙う際には公共工事の入札に参加します。

その際、「ISO規格を取得することで、入札される可能性を高められる」と聞いたことがある事業者も多いでしょう。しかし、なぜISO規格の取得が入札の優位性につながるのでしょうか。

そこで、この記事では公共工事の入札における制度の概要やISO規格が優位に働く理由について解説します。

公共工事を請け負う方法

まず公共工事を請け負うには、入札について理解することが必要です。
入札とは、国や地方自治体などが公共事業を事業者に依頼する際、事業者に募集をかけてどの事業者に依頼するかについて審査する方式です。透明性や公平性を維持するために行われています。

公共工事の入札の種類は、一般競争入札と指名競争入札の2つです。ここでは、それぞれの入札方式について解説します。

一般競争入札

一般競争入札とは、不特定多数の事業者が入札に参加できる方式のことです。
ただし、前提として入札参加資格を満たした事業者のみが入札に参加できます。参加した事業者は審査を受け、最も有利な条件を提示した事業者が落札されます。

指名競争入札

指名競争入札とは、あらかじめ国や地方自治体が指名した事業者だけが入札に参加できる方式のことです。
指名競争入札で指名されるには、一定以上の実績や技術力などを保持していることが求められます。

一般競争入札と指名競争入札の詳細は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:一般競争入札と指名競争入札の違いとは?メリット・デメリットを解説
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ISO規格は、公共工事の入札を有利にする?

ISO規格は、公共工事の入札を有利にする可能性があります。その理由は、入札に参加する際の経営事項審査(経審)において、ISO規格は加点対象になる可能性があるためです。

公共工事の評価方式のうち、最近増加してきた総合評価落札方式では、以下のような計算式で評価点を算出します。

  • (X1):工事の種類別年間平均完成工事高に関する評点
  • (X2):自己資本額および平均利益額に関する評点
  • (Y):経営状況分析評点
  • (Y):技術職員および元請完成工事高に関する評点
  • (W):その他審査項目(社会性)に関する評点

評点のうち、ISO規格はWの評点に該当しており、最終的には約7点アップする可能性があります。

関連記事:経審(経営事項審査)とは?点数の上げ方や仕組みを解説

また地方自治体によっては、「主観点」という独自に定めた評価が存在する場合があります。ISO規格が加点される自治体であれば、取得することでさらなる加点につながるでしょう。

そもそもISO規格とは

それでは、経審で加点されるISO規格とはどのようなものなのでしょうか。
ISO規格とは、ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)というスイスに本部を置く非営利法人が発行し、運営している国際規格のことです。

世界的に共通となる基準を定めることで、国際間の貿易をスムーズにするためにさまざまな分野のISO規格が設けられています。
具体的には、クレジットカードやネジのサイズや形状に関するモノ規格やマネジメントシステム(管理する仕組み)に関する規格があります。入札に有利に働く可能性があるのは、認証制度のあるISOマネジメントシステム規格です。

ISO規格の詳細は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:ISOとは?ISOをわかりやすく解説【図解】

建設業におすすめの規格

建設業におすすめのISO規格は、経審で加点される可能性があるISO9001とISO14001です。ここで、それぞれの規格について解説します。

ISO9001

ISO9001とは、品質マネジメントシステム(QMS)に関するISO規格です。
自社の製品・サービスの品質向上を目指す管理体制を構築・運用します。ただし、品質向上といっても「高品質な製品をつくること」が目的ではなく、「顧客満足度の達成」を最終的な目的として掲げています。

その理由は、いくら高品質であってもあまりにも高額であったり、納期に間に合わなかったりすると、事業として成立しないためです。
そこで、ISO9001では顧客満足度の向上のために、「Q(品質:quality)」、「C(価格:cost)」、「D(納期:delivery)」という3つのバランスを重視することを採用しています。

経営活動に即した考え方であるため、ISO9001は建設業や製造業をはじめとした幅広い業種で取得されています。

ISO9001の取得方法や取得するメリット・デメリットなどの詳細は以下の記事をご覧ください。

関連記事:【初心者向け】ISO9001とは?メリットや要求事項を徹底解説
関連記事:QMS(品質管理システム)とは?わかりやすく解説

ISO14001

ISO14001とは、環境マネジメントシステム(EMS)に関するISO規格です。
自社の事業活動が周囲の環境に与えるリスクを分析し、リスクを低減する管理体制を構築・運用します。
ISO14001における環境とは、自然環境だけでなく国や自治体、顧客、従業員、地域社会などの企業を取り巻くあらゆる環境のことを指します。こうした環境一つひとつに対して影響する良い影響や悪い影響を明確化し、対応する仕組みをつくるのです。

ISO14001は、環境に悪影響を及ぼすイメージが強い建設業や製造業において取得されています。

ISO14001の取得方法や取得するメリット・デメリットなどの詳細は以下の記事をご覧ください。

関連記事:【初心者向け】ISO14001とは?導入企業や取得メリットをわかりやすく解説!
関連記事:環境マネジメントシステム(EMS)とは? わかりやすく解説

ISO規格が経審の加点対象である理由

ISO規格は「国際的な貿易をスムーズにすることが目的」と解説しましたが、なぜ建設業の経審において加点対象になる可能性があるのでしょうか。

ISO規格が公共工事において重視される理由は、公共工事の品質を確保するためです。
公共工事には多くの時間や費用がかけられています。国や地方自治体が主導した工事が、杜撰であっては国としての信頼も失われてしまうでしょう。そのため、工事の品質を確保することが求められます。

工事の品質は「工事のプロセス一つひとつを正確に実施できたかどうか」により左右されます。そのためにはプロセスを明確化し、計画を立て、そのとおりに実行するプロセス管理を行うことが大切です。
ISO規格はプロセス管理を重視している規格であるため、公共工事の品質マネジメントツールとして利用されているのです。

また、過去にはISO9001の取得が入札参加の必須条件であった時期もありました。その影響で現在もISO9001は建設業者において、品質を証明できる手段として活用されています。

関連記事:建設業でISO9001が普及した理由と取得を成功させるポイント
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【建設業経営者1,000人に聞いた】ISO規格は入札に有効?

建設業者は、本当にISO規格は入札に有効だと感じているのでしょうか。そこで、ここでは建設業経営者1,000人に聞いた「ISO認証を取得することで、公共事業の取引がしやすくなるかどうか」について紹介します。


「ISO認証を取得することで、公共事業の取引がしやすくなると考えますか?」と質問したところ、以下のような結果になりました。

  • とてもそう思う(29.2%)
  • そう思う(54.6%)
  • そう思わない(12.0%)
  • 全くそう思わない(4.2%)

この結果から、8割以上の方がISO認証を取得することで公共事業を受注がしやすくなると考えていることがわかります。

アンケート調査の詳細は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:【建設業界の働き方改革の実態に関する調査】8割以上が公共事業を増やすことが従業員の満足度向上につながると回答!ISO認証の取得がカギ(外部リンク)

まとめ

この記事では、公共工事の入札における制度の概要やISO規格が優位に働く理由について解説しました。

ISO規格を取得することで品質管理体制の証明につながることから、経審の加点対象になる場合があります。経審の評価点を向上させたい場合には、ISO9001やISO14001の取得がおすすめです。

これから公共工事の受注を考えている場合には、ISO規格を取得してみてはいかがでしょうか。

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