ISOの要求事項における組織の状況とは
ISO のマネジメントシステム規格 に共通するものの中の一つに「組織の状況」という項目があります。この組織の状況については、内部の人間からすれば「わかりきったこと」と感じてしまいがちですが、マネジメントシステムを構築する上で改めて組織の状況を整理し、把握することは非常に重要な工程です。
しかし、この組織の状況はISOを構築する上で最初のつまづきポイントになってしまいがちです。ーーということで、今回は組織の状況において規格が要求する事項についてわかりやすく解説していきたいと思います。
組織とは
組織の状況という項目の解説に入る前に、組織とは何なのかということについて改めて整理しておきましょう。
突然ですが、皆さんは組織という単語に対してどのような意味を持っているでしょうか?あるいは、組織と集団との違いを説明することができるでしょうか?一般的に組織とは、2名以上の人の集まりとして捉えられることがあります。ーーしかし、組織と呼ぶに値する人の集まりには、もう少しだけ要素が足りません。社会科学では、組織は以下の3つの要素を持っている集合であるとされています。
- 共通の目的を持っていること
- お互いに協力する意思を持っていること
- 円滑なコミュニケーションを取ることができること
これらの要素を持っているか持っていないかが、集団と組織の大きな違いです。組織は何らかの共通目的を持つ、協力関係にある人の集合です。
組織の状況についてわかりやすく
さて、組織という言葉の整理ができたところで、「組織の状況」とはどのような要求なのかということについて整理していきましょう。
例えばISO9001 のマネジメントシステム規格の要求事項では、4項が「組織の状況」となっています。ここで規格が要求することは、以下のようなことです。
- 組織の内部及び外部の課題を明確にすること
- 組織は内外の課題を監視し、レビューしなければならない
- 組織の利害関係者を明確にすること
- マネジメントシステムの適切な適用範囲を明確にする
- 品質マネジメントシステムを確立し、実施し、維持し、継続的に改善していくこと
以下では、わかりにくいポイントの要点をまとめてみました。
課題を明確にし、レビューする
この「課題を明確にする」ということこそが最初のつまづきポイントです。なぜなら、「課題を明確に」と言われた組織は何でもかんでも課題としてしまうからです。しかし考えてみましょう。組織はどれだけ素晴らしいマネジメントシステムや人材、資産に恵まれていたとしても、何らかの課題に直面することになってしまいます。
この課題についていちいち対応をしていく必要があるでしょうか?ISOのマネジメントシステム規格は、必ずしも全ての課題を抽出することは求めていないのです。そもそもISOのマネジメントシステム規格は100点満点を取ることを目的とするものではありません。PDCAサイクルを回す上で100点満点に近づけていこうとする役割を持っているものなのです。
問題は、「問題点、懸念点、課題点を考慮した上でマネジメントシステムを構築し、運用することができるか」ということなのです。
利害関係者を明確にする
組織における利害関係者とは、非常に様々なものがあります。顧客、従業員、政府や自治体、協力会社や近隣住民など全て挙げればキリがありません。ISOもそういった利害関係者全てを洗い出すことを要求しているわけではありません。
問題は、上述の課題の明確化と同じようにマネジメントシステムと密接する利害関係者を把握し、それらを認識した上でマネジメントシステムを構築し、運用することができているかどうかということなのです。
適用範囲の決定
マネジメントシステムには適用範囲というものがありますが、多くのマネジメントシステムにおいて全社が適用範囲とされます。ーーしかし、組織の課題や利害関係者を抽出した結果、全社をマネジメントシステムの適用範囲とするにふさわしくない場合も当然でてきます。そのような場合には、適用範囲を部門単位に絞って良いのです。
ただし、規格は自由に適用範囲を決定して良いといっているわけではなく、「適切な」範囲を適用範囲として明確にすることを求めていることは頭に入れておきましょう。
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