ISO 内部監査(第一者監査)では、組織の社員が監査を行う方法と、ISOコンサルタントと契約して監査を依頼する方法があります。本稿では、組織が社員より内部監査員 を任命して監査を実施する際のメリット/デメリットや、留意事項について記載します。

ISO内部監査員の選定

ISO内部監査は、自社の内部監査規定に基づき実施しなければなりません。
つまり、監査方法や監査員の資格基準・指名方法等についてルール化し、内部監査規定を策定・運用することにより組織は内部監査員を指名。内部監査員は監査方法に従って監査業務を実施することができます。

そこで、具体的に内部監査規定にはどのような箇条(項目)がルール化されているのか、下記に内部監査規定の事例について掲載します。

◇内部監査規定の事例
・目的
適用範囲
・用語及び定義
・関連文書
・責任と権限: ex) 事務局/監査員/管理責任者/事業部長/被監査部門長
監査計画 : ex) 内部 品質 監査実施計画/監査員の指名/チェックリストの準備
【監査員の指名】
「監査プロセスの客観性及び公平性を確保するため、監査対象の部署に所属する要員以外の者が監査員を行うよう「xxxxxxxxx」で指名する。監査員の資格基準は、以下条件を満たす者から、その 力量 をxxxx管理責任者が認め、「xxxxx」に登録された者とする。 ~以下省略」

・監査の実施: ex) 監査要領/評価基準
是正処置とフォローアップ
・内部監査結果報告書の作成及び配布
・記録
・文書番号体系
・様式

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組織の社員をISO内部監査員として確保する場合

メリットは?

  • ①社全体としてマネジメントシステムへの理解が深まります。
  • ②日頃より被監査部門と接点があればコミュニケーションがとりやすく、監査員は業務を理解する上で必要な情報が入手しやすい。仮に接点がなくても、知り合いの社員から被監査部門の方を紹介してもらいやすい。
  • ③内部監査計画の調整がつきやすい。
  • ④外部委託に近い形で、第三者的な立場から監査対象部門の評価を実施できるため、独立性を担保しやすい。
  • ⑤内部監査の充実及び強化:
    内部監査の実績年数に応じて監査員のスキルが向上し、監査におけるノウハウや経験といったものが社内に蓄積されます。
  • ⑥監査を通じて内部監査員の他部門(業務)への理解が深まります。

デメリットは?

  • ①内部監査員の育成費用(外部研修費・出張費・社内教育講師派遣料など)がかかります。
  • ②内部監査員は担当業務と監査業務と兼任される場合が多く、業務負荷が増大します
  • ③マネジメントシステムの運用実績年数に応じて監査内容がマンネリ化しやすく、マネジメントシステムの形骸化、組織目的が達成できず、費用対効果が低くなるケースもあります。

留意事項

以下に、社員の内部監査員が監査を実施する場合のデメリット対策を紹介します。

【対策例】

デメリット①の場合:
・内部監査員の資格基準で、内部監査員の社内資格認定条件や社内資格認定者でなくても監査員として指名できるようルール化しておくことで、監査員養育費用を抑えることができます。ただし、監査の「質」を落とすことのないよう、監査が効率よく、効果的に実施できることが大前提になります。主任監査員は、社内資格認定者で、かつ監査する上で必要な監査スキル・ノウハウ・経験などが必要になります。

Ex) 
「社外の内部監査員の講習を受講し終了した者」を主任監査員(*1)とし、主任監査員から「内部監査の教育・訓練を受講し認められた者」を内部監査員として管理責任者が承認し「社内資格認定者」とする・・・・。

・内部監査員の教育(研修)方法を検討する
内部監査員の養成教育では、「eラーニング」による教育サービスを提供するコンサルティングもあります。出張費不要、通常の外部研修・講師派遣を利用する場合より費用は安くなります。また、短時間で効率よく監査業務について勉強できます。

デメリット②の場合:
・監査業務の効率化を進めます。監査で出た問題点・課題について改善しやすいように、関係部門が理解できる形で細分化します。(以降「フレームワーク」と表記します)
なお、フレームワークには、MECE(*2)、3C分析、SWOT分析などいくつか手法がありますが、これら手法を活用することも有効的です。まずはムダ・ムリ・ムラ(3M)を見直し、非効率な作業を洗い出しましょう。

*2 MECE(Mutually Exclusive and Collective Exhaustive):
課題を整理する際に漏れや無駄をなくし、正確に問題解決に取り組むための手法です。

デメリット③の場合:
マネジメントシステムの導入後は、認証 取得前~取得1年目/認証取得2年目/認証取得3年目以降などのように経過年数に応じてマネジメントシステムの「質」も向上できるよう、チェックリストを工夫し、監査内容もレベルアップします。監査時の気づき事項をメモしておき、次回監査で確認できるようにする、内部監査における重点項目や確認事項に変化をつける、監査において簡素化できる箇所を洗い出すなど、監査内容のマンネリ化・マネジメントシステムの形骸化を防ぎます。

・内部監査を実施するには他部門の理解と協力が必要で、トップマネジメントによるコミットメント の実証が不可欠です。

・内部監査員の人数は、ISO内部監査の対象範囲の規模によりますが、対象範囲が小規模で最低限の人数(2人)のみ確保している場合は注意が必要です。内部監査員は認証規格マネジメントシステムの知識やノウハウと、自社の監査対象業務についての経験や知識など有することによって、効率的に、より効果的に内部監査を実施することが可能となります。監査員としてのスキルを修得するのに時間がかかるため、最少人数で監査業務を実施している場合、一人が担当業務から外れる・退職される場合など、監査業務が回らなくなる可能性があります。

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