ISO規格のマネジメントシステム構築の流れについて
ISO のマネジメントシステム認証 を取得するためには、審査を受けることはもちろん必要ですが、その前に非常に重要なステップを踏む必要があります。――それは、マネジメントシステムの構築です。
しかし、初めてISO認証を取得する組織や、ISO関連の業務を引き継いだばかりの人は「マネジメントシステムって何をすれば構築したことになるの?」「どうやって構築すれば良いの?」と疑問を抱えていることでしょう。ISOはマネジメントシステムが要求事項 を満たしているか(適合性)ということに加えてマネジメントシステムがちゃんと機能しているか(有効性 )ということを要求しています。
ということで、今回はISOのマネジメントシステム規格に適合した有効なマネジメントシステムはどのような手順で構築するのかということについて解説していきたいと思います。
STEP1:現状把握、方針、目標設定
ISOのマネジメントシステムは規格があるとはいえ、「この通りに構築しなければならない」というものがありません。組織の状況や組織内外に存在する課題、顧客の要求する水準などによって自由にマネジメントシステムを構築することができます。
このため、まずは現状を把握し、方針、目標を決定する必要があります。
現状の把握とは、もう少し解像度を上げると以下のようなことを言います。
- ・組織の置かれている状況の把握
- ・組織内部、組織外部にある課題の把握
- ・そのマネジメントシステムに関係する利害関係者の把握
- ・利害関係者が求める要求事項の把握
また、上記を元にマネジメントシステムが機能する「適用範囲」を決定する必要もあります。そして、方針や目標の決定は上記の「現状把握」の結果を元にアウトプット されるべきです。
ISO9001 なら品質 方針・品質目標、ISO14001なら環境 方針・ 環境目標 、 ISO27001 なら 情報セキュリティ方針 ・ 情報セキュリティ目的 、ISO45001なら 労働安全衛生方針 ・ 労働安全衛生目標 の決定がSTEP1で行うべきことです。
STEP2:文書構築
次に先程決定した方針・目標・適用範囲なども含めて必要な文書を整備していきます。組織や認証取得を目指す規格に応じて必要な文書は異なりますので、規格の要求事項を把握して、どのような文書が必要になるのかということは一度洗い出すのが良いでしょう。
STEP3:帳票整備
帳票は既存のものを流用することもあれば、新規作成を行う必要があることもあります。規格要求事項に合わせて、できる限り既存のものを利用する方針で整備していくのが良いでしょう。
STEP4:実運用+運用記録作成
文書構築や帳票整備ができたら、いよいよマネジメントシステムを運用していきます。実運用では常にマネジメントシステムのPDCAサイクルの流れを意識しておくことが重要になります。また、STEP1で定めた方針や目標についても、マネジメントシステム関連の業務に携わる人々は常に意識しておきましょう。
また、運用記録をとっておくことも重要です。ISOの審査ではマネジメントシステムの有効性に関する審査も行われますので、「規格に適合するマネジメントシステムを構築する」だけでは認証取得にまで至らない可能性があります。
STEP5:内部監査
マネジメントシステムを運用している間はそのマネジメントシステムが規格に適合しており、有効な状態を保っているかどうかということを内部監査によってチェックします。内部監査とは組織内部の人間によって行われるマネジメントシステムの評価のことですが、この内部監査を行う人員は予め育成しておくことが望ましいです。
内部監査員は規格を理解し、マネジメントシステムの有効性を評価できる必要があるため、そういった教育を実施することが難しい場合はコンサルタントに依頼することで内部監査員を賄いましょう。
STEP6:マネジメントレビュー
内部監査を行ったら、その内部監査の結果をもとにマネジメントレビュー を行います。マネジメントレビューとは組織のトップマネジメントによる評価のことです。マネジメントレビューの実施は規格要求事項にも含まれているため、マネジメントレビューを行ったことを証明できるように記録をつけておくことも忘れないようにしましょう。
まとめ
今回は、ISOのマネジメントシステム認証規格のマネジメントシステムを構築する流れについて解説してきました。実際にマネジメントシステムを構築する場合はより多くのことを考慮する必要がありますが、どの規格であっても上記の流れは変わりませんので、ぜひ参考にしてみてください。
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