ISO 審査機関の選定の時に気になってしまう審査内容と費用。このページでは、ISO認証 取得から定期審査、更新審査と一通りの流れを解説し、どの部分にどのような費用が発生するのかを解説しています。
ISO審査機関に審査を依頼する前に今一度、ISO審査機関の流れと費用について考えてみましょう。

ISO取得から更新審査までのサイクル

審査機関が行う審査は基本的に「取得審査」、「定期審査」、「更新審査」の3つに分けることができます。それぞれの審査で具体的にどのような動きをして、どのような部分に費用が発生するのかを見ていきましょう。

ISO取得から更新審査までのサイクル

ISO認証は取得してから3年間の有効期限が定められており、取得から更新までを1サイクルとしていいます。この更新を繰り返していくことで、ISO認証を持続していくわけです。
審査機関の見積もりは基本的にこの1サイクルを前提に金額を算出しており、ISO認証を求める企業の「業種」、「規模」、「人数」などによって定められます。

基本的な審査の費用

取得審査、定期審査、更新審査とさまざまな審査内容がありますが、審査費用を決める基本的な内容はこちらになります。

審査員の交通費と宿泊費
以外に思う方も多いかもしれませんが、審査を行う費用の中に審査員の交通費と宿泊費が存在します。審査員はISO認証取得を目指す企業に実際に訪れて審査を行うので、交通費や宿泊費が必要になるのです。審査員が遠方の方で審査に数日必要な場合は宿泊費を請求する場合もあります。審査機関によって金額の記載方法などがことなるので、審査機関で見積もりを出してもらった際に注目しておきたいポイントです。
審査基本料金
取得審査、定期審査、更新審査と審査を行う際に必要な基本料金です。
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取得審査

取得審査

ISO認証を取得する際に取得審査を行います。その際に発生する金額は下記のとおりです。

発生する金額

  • 認定登録料
  • 一次審査料
  • 二次審査料
  • 審査員の交通費と宿泊費

取得内容

一次審査(文書審査)
マネジメントシステム運用のために作成された文書の確認をメインに実施します。
定められたルールが規格要求事項に適合しているのか、どのような独自ルールを策定しているのか、このあたりがメインで確認されます。
二次審査を受けるにあたって、定めたルールに違和感がある場合、懸念事項として
指摘されることもあります。
二次審査(現地審査)
一次審査で確認したルール通り業務が行われているかの確認をメインに実施します。
定められたルールに問題はなくとも、現場に浸透していなければ不適合として指摘されることもあります。
また、このように運用すればより良い仕組みになると、審査員視点で気づいた内容も改善の機会や観察事項といった是正を必要としない方法で指摘されることもあります。

定期審査

定期審査

ISO認証取得後に1年目、2年目にISO運用がキチンとしているのかチェックする審査です。

発生する金額

  • 審査基本料金
  • 審査員の交通費と宿泊費

更新審査

更新審査

ISOを取得してから3年毎に行われるISO認証の更新に必要な費用です。初回時の取得審査費用の3分の2の金額が目安となります。

発生する金額

  • 審査基本料金
  • 審査員の交通費と宿泊費

その他の審査

基本的にISOのコストを決めるのは3つの審査ですが、事業拡大やマネジメントシステムを再構築が必要になった場合、例外として審査を行う必要があります。

特別審査費用
ISO認証取得後の審査は定期的に定期審査と更新審査が発生しますが、特別審査は、それとは別に行う審査のことです。
例えば、商品やサービスにクレームが入った場合、構築したISOを見直す必要があります。再構築したISOに対して再審査を行います。
拡大審査費用
ISO認証取得後に業務内容やサービス、工場や事業所を拡大すると、それに合わせたISOの再構築が必要です。その再構築を審査することを「拡大審査」といいます。

審査機関の工数とは

審査機関の工数とは

審査機関の工数は、審査機関に掛かる費用に直結します。1工数は、1人の審査員が1日かけて審査を行うことをいいます。適用範囲が広く、2日掛かると費用が高くなるという仕組みです。

ISOを業種や適用する範囲でも金額は変わる

審査機関の費用を決める要因として、「業種」と「適用範囲」があります。
業種は建築業や製造業とでは、同じISO9001を取得するにしても仕事の内容が異なるので審査で見るポイントが大きく変わってきます。そのため、業種が異なれば、同じ規格 であっても同じ金額で審査をすることが難しいのです。
同様に、適用範囲でも同じ製造業であっても2事業所で総員20名の組織と4事業所で総員100名の組織では、審査の見るポイントが大きく異なります。審査機関の費用は工数によって変動するので、「業種」と「適用範囲」で金額が変わることは認識しておきたいポイントです。

ISOを業種や適用する範囲でも金額は変わる

また、ISO認証取得は、企業側で適用する範囲を決めることができるので、ここでも金額は変わってきます。

同じ条件の会社でもISOを適用させる範囲でも工数が変わる

具体的な金額例を見てみよう

具体的な金額例を見てみよう

ISO取得審査から更新審査までの1サイクルの流れでどのくらいの審査費用が必要なのか見ていきましょう。
ここに記載しているものはあくまで一例であり、会社の規模や適用範囲などによって変わってきます。

ケース:ISO9001:2015(製造業)
規模:80名
初回登録審査費用:合計60万円
  • ISO9001(品質)認証登録料
  • 文書審査料
  • 実地審査料
  • 審査員の交通費用と宿泊費用
定期審査:合計52万円(26万円×2回)
  • 定期監査費用
再認証審査:42万円
  • 更新審査費用
ケース:ISO27001:2015(WEB制作会社)
規模:17名
初回登録審査費用:合計42万円
  • ISO9001(品質)認証登録料
  • 文書審査料
  • 実地審査料
  • 審査員の交通費用と宿泊費用
定期審査:合計34万円(17万円×2回)
  • 定期監査費用
再認証審査:24万円
  • 更新審査費用
ケース:ISO9001:2015、ISO14001:2015(商社)
規模:18名
初回登録審査費用:合計58万円
  • ISO9001(品質)認証登録料
  • 文書審査料
  • 実地審査料
  • 審査員の交通費用と宿泊費用
定期審査:合計66万円(33万円×2回)
  • 定期監査費用
再認証審査:46万円
  • 更新審査費用
※金額は一例です。業種や規模で金額はことなります。

ISO取得にどれくらい費用が必要なのか具体的に知りたい方はこちら

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