ISO 規格認証 を新規取得する場合、マネジメントシステム 構築後3ケ月~半年程度運用して実績を作り、内部監査実施後、初回審査(一次審査・二次審査)を受けます。本稿では、「一次審査」を受けるための準備として、内部監査員 の視点で「一次審査のポイント」について記載することとします。

一次審査のポイント

トップマネジメントへのマネジメントシステムを導入する動機確認や、マネジメントシステムの取り組みがISO規格に適合していること、現地の運用状況を見ながら組織が作成したマニュアル・社内規程(手順書含む)等がISO規格基準を満たしているか確認します。一次審査の結果をもって二次審査に進めるかどうか判断します。

組織の方針について

トップマネジメントはマネジメントシステムの方針について明確にし、組織内(適用範囲 )に周知しているか。また、方針は文書化され、社内向けであればマニュアル等に記載し、外部の利害関係者 に対しても随時確認(入手)可能なようにホームページ等に掲載します。

【留意事項】
・マネジメントシステムの取り組みに、トップマネジメントの強い意思を感じられるか?
トップマネジメントは、マネジメントシステムの方針について明確に回答でき、マネジメントシステム推進活動に対し全ての責任を持ち、活動を支援し、組織の目的を達成しようという強い意思がなければなりません。

・マネジメントシステムを指揮し、管理責任者として適任なのは誰?
ISO規格では、トップマネジメントは「最高位で組織を指揮し、管理する個人又はグループ」と定義しています。マネジメントシステムを推進する上で的確な判断や迅速な決断が必要となる状況が多々あります。組織内での人材の配分や権限委譲、高額な設備/機械等インフラ整備が必要になるなど資源の提供で費用がかかることもあります。経営トップやそれら権限を持つ経営幹部がトップマネジメントとなり、マネジメントシステムを指揮し管理することが望ましいでしょう。

マネジメントシステムの「マニュアル」は作成不要?

ISO規格最新版ではマニュアルに関する明確な要求事項はありません。
但し、ISO規格によって表記に多少の違いはあるにせよ、マネジメントシステムの運用で作成された文書類は維持するよう要求されており、組織のマネジメントシステムについての「仕様書」も含まれます。「マニュアル」と呼ぶかは別にしてマニュアルに相当する仕様書は必要です。

例1. ISO9001:2015 箇条4.4.2

組織は,必要な程度まで,次の事項を行わなければならない。

  • プロセスの運用を支援するための文書化した情報を維持する。
  • プロセスが計画どおりに実施されたと確信するための文書化した情報を保持する。

例2. ISO27001:2014 箇条3.19

注記2 文書化した情報には,次に示すものがあり得る。

  • 関連するプロセス(3.54)を含むマネジメントシステム(3.41)
  • 組織(3.50)の運用のために作成された情報(文書類)
  • 達成された結果の証拠(記録)

【留意事項】プロセス・アプローチのイメージ化
品質マニュアル では、マネジメントシステムの各要素(プロセス)やそれらプロセス間の相互作用および関連性がわかるよう明文化され、常に利用可能な状態でなければなりません。自社のマネジメントシステムがどのようなプロセスから構成され、相互にどのように関連しているのか、組織(適用範囲)の全体像を把握しましょう。

社内規定の文書化

マネジメントシステム関連文書の作成・運用状況について確認すると共に、二次審査で不適合が懸念される領域について特定します。まずは、事業/各業務で一般的に運用されている文書類にどのようなものがあるか理解し、一次審査に備え、被監査部門(被監査者)から運用されている各種社内規程(手順書等含む)を入手し読み込んで把握しましょう。

社内規定は、組織や部門によって社内標準の体系化等で文書化の方法は様々です。
品質マネジメントシステムの関連規定は一般的に以下のような文書類があります。

a.規程(規定) :

  • 事業や業務の内容、業務・作業の手順(手続)・方法を標準化するためのルール。

b.仕様書 :

  • ⓵製品・サービスについて、製品構造/構成、形状・寸法・成分・強度・精度・性能・利用環境など定めたもので、適用規格があれば仕様に記載することもあります。
  • ➁資材(材料)、工具/治工具、設備機械などについて、要求される形状・ 構造・寸法・成分・能力・精度・性能・製造方法・試験方法などを定めたものです。

c.QC工程表:

  • 製品の品質管理の流れを図式化し、各生産工程(検査・出荷含む)で製品の品質が要求品質/設計仕様に適合しているか確認するために、作業方法や品質基準・管理項目について明確に記載された表。各工程の作業方法・管理方法を標準化し、製品品質を維持することを目的としています。QC工程表から作業標準書が作成されます。

d.作業要領書:

  • 作業要領書には、実作業で利用する設備機械・治具などの操作方法や手順、段取り替え方法、また加工作業では加工方法や使用する工具の使い方等、作業する際に特に注意が必要な事柄についてまとめた作業マニュアルがあります。

※その他、類似する手順書に作業手順書、作業指示書、作業標準書などがあります。業界・組織/部門によって手順書の呼び方や利用目的が異なるケースもありますが、手順書は各作業工程の進め方についてまとめた内容となっています。

e.業務マニュアル:

  • 受注・設計・製造・検査など「プロセス」ごとに、業務概要、業務の流れ、処理の仕方、帳票類、判断基準、関連規定、注意事項、問題が発生した場合のエスカレーション先、プロセスに必要なインプット、業務終了後のアウトプット(成果物等)、またプロセスの相互作用について明記された文書があります。

【留意事項】プロセス・アプローチのイメージ化
社内規定(各種手順書含む)の有効性への確認作業として、社内規定とマネジメントシステム運用記録の確認のみに目が行きがちです。現地の運用状況を見ながらISO規格要求事項がマネジメントシステムの運用に組み込まれているか、社内規程やエビデンスで確認することが重要です。

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