ISO規格の統合審査と複合審査とは
ISO の認証審査を受けるときには、統合審査という形式で審査を受けることもできます。この統合審査・複合審査とは、一体どのようなものなのでしょうか?また、統合審査や複合審査を行うことによるメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
複合審査とは
統合審査とは、ある企業や組織が複数のISO規格 のマネジメントシステムを取得・更新しようとした場合に、そのマネジメントシステム認証審査を複数回に分けて行うのではなく1回に統合して行うことを言います。
ISOには9001や14001以外にも複数のマネジメントシステム規格があることは皆さんもご存知でしょうが、同じ企業が別々の規格を取得することも可能です。しかし、ISOのマネジメントシステム規格は規格ごとに更新審査や維持審査が必要になってくるため、本来であればISO9001の審査はISO9001の審査、ISO14001の審査はISO14001の審査として審査してもらう必要があるのです。
複合審査は、この複数規格を同時に審査するというものです。
統合審査とは
複合審査とは、ISOの複数規格を取得する企業がそれらのマネジメントシステムを統合したマネジメントシステムを構築した場合に、行う審査のことを指します。大枠複合審査と同じ意味ではありますが、複合審査とは異なり「マネジメントシステムが統合されている」という点で複合審査とは異なります。
もちろん、複数規格を取得する場合には必ず複合審査や統合審査を行わなければならないということはありません。審査機関にもよりますが、1年~2年の間に一度サーベイランス審査を受ける必要があります。また、これらの日程を分けることもできます。
しかし、複合審査・統合審査を行うことでいくつかのメリットを受けることができる場合もありますので、複数規格の取得を検討しようとしている場合や、すでに複数規格の認証をお持ちの場合は統合審査を検討してみて良いかもしれません。
以下では、統合審査を行うメリット・デメリットについて簡単に解説していきたいと思います。
統合審査・複合審査を行うメリット
- 審査日程をまとめることで、審査までのスケジューリングを行いやすくする
- 同じ審査機関に審査を依頼する場合、審査費用を安くしてもらえることがある
企業規模が大きくなるほど、マネジメントシステムの運用は難しくなります。それだけ関わる人が多いのですから、当然ですね。このため、審査のための準備を年中行っているようでは本業がおろそかになってしまいがちです。ISO9001の認証を取得されている企業様でも、品質管理責任者は必ずしもISO9001のためだけにいるポジションではないはずです。
また、統合マネジメントシステムを構築された場合はなおさらISO14001など他のマネジメントシステムとの連携というものが必要になってきます。このため、審査日程をまとめてしまったほうが1年を通して見たときに効率が良いといえるでしょう。
審査料というコストの観点から見ても、どの審査期間でも必ず審査料が安くなるというわけではありませんが、ほとんどの場合は複合審査や統合審査を行ったほうが安く済みます。
統合審査・複合審査を行うデメリット
- 審査に必要な日数が長くなってしまう
- 審査ボリュームが大きくなるため、組織構造によっては非効率的な場合も
統合審査・複合審査のデメリットが発生するのは、例えばISOのマネジメントシステムに対する専属人員を設けているような場合です。ISO9001やISO14001も一人に任せきりで…というような組織の場合は、審査期間中の対応に追われてしまうことも想定されます。
また、複数規格を審査するということは、それだけ審査のボリュームが大きくなってしまいますから、短期的に見て拘束される時間が長くなってしまうこともデメリットでしょう。
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