ISO9001とISO14001は統合できる?方法やメリットを解説

製造業や建設業をはじめとして、幅広い業種で取得が進んでいるISO9001とISO14001。両方の規格を取得する企業も増えていることから、運用や審査を効率化するために統合する動きも活発になってきています。
そこで、この記事ではISO9001とISO14001の違いや統合すべき場合、統合の方法として審査方法について詳しく解説します。
目次
ISO9001とISO14001の違い
まずISO9001とISO14001の概要と違いを、以下にまとめました。
ISO9001
「品質マネジメントシステムに関する国際規格」です。製品・サービスにおける品質管理を行うことで品質の維持・向上をつなげ、最終的には顧客満足の達成を目指します。
ISO14001
「環境マネジメントシステムに関する国際規格」です。企業活動による環境リスクを分析し、リスクを低減・改善することを目指します。
つまり、両者は同じISO規格ではあるものの、対象とするリスクが異なります。ただし、どちらも「経営の継続的改善を目指していること」や「モノづくりに関わる業種に取得が多いこと」から、両方の規格を取得する企業も増えています。

ISO9001とISO14001を統合すべき企業の特徴
ISO9001とISO14001の両方を取得している場合には、マネジメントシステム間の整合性を高めることで、規定や手順などを統合できます。統合によって運用の効率化につながり、従業員の負担軽減やコストの削減といったメリットが受けられます。
ISO9001とISO14001を統合すべき企業の特徴には、以下の場合が挙げられます。
- 品質マネジメントシステムと環境マネジメントシステムの運用プロセスの関連性が高い場合
- 品質目標と環境目標が重複しているもしくは連動している場合
- 現場における事業計画の活動を一本化し、企業体質を強化したい場合
- 両マネジメントシステムの運用工数の多さが負担となっている場合
- 両規格の審査を1回で済ませたい場合
いずれかに該当する場合には、品質マネジメントシステムと環境マネジメントシステムの統合を検討することがおすすめです。
マネジメントシステムの統合の詳細は、以下の記事をご覧ください。
ISO9001とISO14001を統合する方法
ここでは、ISO9001とISO14001を統合する2つの方法を解説します。
マネジメントシステムの仕組みを統合する
ISO9001とISO14001は、一部の要求事項を除いて共有している部分が多くあります。
両規格の要求事項を確認してみると、「4.組織の状況」「5.リーダーシップ」「7.支援」はほぼ同じであることに気づくでしょう。一元管理できる項目と、別々で管理すべき項目を洗い出したうえで、新たな方針や目標、ビジョンを設計してください。
また現在の問題点を明確にしたうえでマニュアルを見直し、統合マニュアルや手順書、規程などを作成することで、運用や文書のスリム化につながります。
審査を統合する
各審査機関では、複数のISO規格を統合した審査を実施しています。そのため、マネジメントシステムを統合したら、審査も一緒に受けることが可能です。
同時に審査することで、審査にかかる工数の軽減や審査費用の削減にもつながります。

ISO9001とISO14001の複合審査と統合審査とは
ここでは、ISO9001とISO14001を統合した場合に活用したい複合審査と統合審査について解説します。
複合審査とは
複合審査とは、「複数のISO規格を取得・更新する場合に、そのマネジメントシステム認証審査を複数回に分けて行うのではなく1回に統合して行うこと」です。 複合審査とは、「複数のISO規格を取得・更新する場合に、そのマネジメントシステム認証審査を複数回に分けて行うのではなく1回に統合して行うこと」です。
ISOには9001や14001以外にも複数のマネジメントシステム規格があることは皆さんもご存知でしょうが、同じ企業が別々の規格を取得することもできます。しかし、ISOのマネジメントシステム規格は規格ごとに更新審査や維持審査が必要になってくるため、本来であればISO9001の審査はISO9001の審査、ISO14001の審査はISO14001の審査として審査してもらう必要があるのです。
複合審査は、この複数規格を同時に審査するというものです。
統合審査とは
統合審査とは、「ISOの複数規格を取得する企業が、統合したマネジメントシステムを構築した場合に行う審査」のことを指します。
複合審査とは「マネジメントシステムが統合されている」という点が異なります。
ただし、複数規格を取得する場合には必ず複合審査や統合審査を行わなければならないということはありません。審査機関にもよりますが、1年~2年の間に一度サーベイランス審査を受けることが必要です。また、審査日程を分けることも可能です。

統合審査・複合審査を行うメリット・デメリット
ここでは、統合審査・複合審査を行うメリット・デメリットを解説します。
メリット
統合審査・複合審査を行う主なメリットをまとめました。
- 審査日程をまとめることで、審査までのスケジューリングを行いやすくする
- 審査にかかる工数を削減できる
- 同じ審査機関に審査を依頼する場合、審査費用を抑えられる場合がある
ISO9001とISO14001の統合マネジメントシステムを構築した場合、2つのマネジメントシステムとの連携が必要になるため、審査日程をまとめた方が年間スケジュールの見通しが良くなります。また審査にかかる工数の削減にもつながります。
審査費用においても、ほとんどの場合は複合審査や統合審査を行ったほうが安くなるでしょう。
統合審査・複合審査を行うデメリット
統合審査・複合審査を行う主なデメリットをまとめました。
- 審査に必要な日数が長くなる場合が多い
- 審査ボリュームが大きくなるため、組織構造によっては非効率的な場合がある
統合審査・複合審査のデメリットが発生するのは、例えばISOのマネジメントシステムに対する専属人員を設けているような場合です。ISO9001やISO14001も担当者が1人であるといった組織の場合は、審査期間中の対応に追われてしまうことも想定されます。
また複数規格を審査するということは、それだけ審査のボリュームが大きくなるため、短期的に見れば、拘束される時間が長くなることもデメリットです。
まとめ
この記事では、ISO9001とISO14001の違いや統合すべき場合、統合の方法として審査方法について解説しました。
ISO9001とISO14001は製造業や建設業などにおいて取得されることが多く、効率化や負担低減などのために統合されるケースが増えてきました。マネジメントシステムを統合するには、仕組みや審査を統合することが考えられます。
形だけの統合とならないように、自社の品質・環境における方針や目標、計画などの連動性を確認したうえで統合に向けて取り組むことがおすすめです。

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