HACCP義務化が可決したけど何をすればいいの?食品衛生の今後の流れ

ISOプロ担当者

食品関係

2018年の6月にHACCPを義務化する『改正食品衛生法案』が衆議院にて可決しました。食品の製造・加工・調理・販売などを行う全事業者に適用される本法案が通ったと何かしらの情報を得た方々は、こう思われたのではないでしょうか。「義務化されたのはわかったけど、何したらいいの?」

今回は、義務化されたことによって、業界は今後どうなっていくのか、皆さんは何をすれば良いのか、ということを解説していきますので、法案の施行前にバタバタしないためにも是非参考にしてみてください!

HACCPの義務化

「食品衛生法等の一部を改正する法律」が2018年6月に可決されました。
改正法の主な内容は、下記の通りです。

1.広域食中毒事案
2.衛生管理制度HACCPの導入、つまりHACCPに基づく衛生管理またはHACCPの考え方を取入れた衛生管理
3.特別の注意を要する成分等を含む食品による健康被害情報の届け出制度の創設
4.食品用器具・容器包装に関するポジティブリスト制度の導入
5.営業の許可及び届出に関する事項
6.食品等の回収の届け出に関する事項
7.食品等の輸入及び輸出に関する事項

上記の内、HACCPの義務化は、2.の衛生管理制度HACCPの導入です。

HACCPは、元々1960年代にNASAにより宇宙飛行士のために開発された管理手法です。日本におけるHACCP導入は、平成7年5月に食品衛生法が改正された際、HACCPシステムの考え方を用いた「総合衛生管理製造過程」という承認制度から始まりました。

食品の国際化及び消費者意識の変化により食の安全に対する要求は増していき、消費者からHACCP制度化が求められたことで法改正に至ったのです。流通サイドからのISOをはじめとした第三者認証要求もあり、リスクへの取り組みがない──食品安全が担保されない事業者とは、取引しないという方針が広がりつつあります。つまり、食品の安全安心を求める消費者の声を汲み取り、対応しなければならないのです。

後を絶たない食品の回収

食品回収の事案は毎日のように発生しており、その数は年間1,000件以上に上るといわれています。

その結果、消費者の食品事業者への信頼は失墜し、一度失った信頼を簡単に取り戻すことはできず、膨大な損失額を計上することとなりました。

流通サイドの反応も定番はダメ、商談もダメ、エンドユーザーの買い控えなども発生するなど、一時の甘い判断が取り返しのつかない事態を招いてしまうのです。

では、深刻な事態に陥る前に、「警告・予兆」はなかったのでしょうか。たとえ製造委託商品だとしても、販売者には責任があります。

「食の安全が掛け声だけではなかったか…」「本当の安全・安心とは何か」もう一度見直さなくてはなりません。

仕組み──つまりシステムで担保し実証しているでしょうか?また、経営方針として安全を徹底しているでしょうか?会社・工場の「風土・文化」として、食品安全が定着しているでしょうか?

「今まで無事故だったから…」などという言い訳は通用しません。

品質向上とともに、安全性の担保に対する継続的改善の必要性を認識してください。

HACCPの制度化により、HACCPが当たり前の時代が来ました。普遍的な課題として、食の安全・安心が求められているのです。

管理の勘違い

皆さんは、こんな思い違いをしていませんか?

「HACCP管理は書類が増えそうで面倒くさいし、なんだか難しいから直ぐにやらなくても…」
「お金がかかるし、今の設備では絶対に無理。そのうえ毎日の仕事が忙しくて取り組んでいる暇がない」
「何かあっても何とかなるし、そもそもHACCP管理ができる社員がいない」
「今まで取引先から言われたこともないし、今のままで困ってもいないから、HACCP管理の必要性を感じない」
「クレームや事故はほとんどないから、我が社は優秀。保健所と仲も良いし、HACCP管理なんてしなくても大丈夫、大丈夫」

確かに、書類はいくらか増えるかもしれませんが、作成に関しては委任もできるので、そんなに難しい問題ではありません。かなりひどい状態でもない限り設備投資の必要はありませんし、忙しくて取り組めないのなら委任という選択肢もあります。

食品の事故は取り返しがつかない一方、取り組むことで社員の意識も能力も向上します。

今までの経験だけでは判断できない問題や想定外のことは起きてしまうものです。だからこそ、HACCP管理により、万が一の事態に備えることが重要なのではないでしょうか。

食品衛生の安全性担保

「消費者の食品に対する健康・安全志向」「食品流通の国際化」「安全性に関する行政の対応の変化」により、流通サイドの品質保証・安全性担保強化の要求(外部認証)が強まり、安全性確保の戦略化(安全・安心が基軸)が急務となりました。つまり、環境の変化に対応できる、食品衛生の安全性担保体制の構築が必須となったわけです。

「総合衛生管理製造過程」は廃止となり、民間認証のISO22000やFSSC22000の取得が推奨されたことで、取り組む会社が急速に増えています。

食品衛生の安全性担保は、まずHACCP12手順の実施による、HACCP管理体制の確立から始まります。

すなわち、

1:食品安全チームを編成し、
2:製品の特性を分析し、
3:意図した用途を記述して、
4:フローダイアグラムを作成、
5:工程の段階及び管理手段の記述をし、
6:ハザードの明確化及び許容水準の決定をして、
7:ハザード評価、管理手段の選択評価をし、
8:オペレーションPRPの確立、
9:HACCPプランの確立、
10:管理手段の組合せの妥当性確認を行い、
11:検証プランを実施して、
12:文書化、事前情報及び文書の更新

をすることです。

HACCP管理の導入

12手順の10までと12を実施することで、HACCP管理の導入が確定します。つまり、システム管理のスタート地点に立つことができるわけです。まずは12手順の10までと12を実施し、法令で言う“義務”に応えましょう。認証はスタートしてから考えればいいのです。

導入にあたっては、難しそうな部分を専門家に委任し、今まで通りに専業に専念しながら、HACCP管理の導入を果たす方法もあります。今回の法制化を契機にHACCP管理の導入を実行に移す経営者が急速に増えてきているのは、委任によるところが大きいでしょう。

HACCPの義務化で、食品安全問題は大きな岐路に立たされています。急速に舵を切る時代の流れに乗り遅れないように、今年のうちに12手順の実施を実行に移しましょう。

ISOプロからのお知らせ:セミナー開催!

今回ISOプロではHACCPをはじめとした食品安全マネジメントシステムのセミナーの開催を予定しております。

消費者の食品に対する安全・衛星への要求が高まってきている現代で、厚生労働省が食品製造業を対象にHACCP導入の義務化の動きが出てきています。
今のうちからできる事や費用感であったり、セミナーを通じてHACCPの導入のあれこれを細かく解説していきます。

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