食品安全の衛生管理手法であるHACCP。このHACCPを導入するためは、7原則12手順と呼ばれる12の手順を踏み、食品安全水準を継続的に改善するシステムを構築する必要があります。――では、この7原則12手順とは具体的にどのようなものなのでしょうか?

今回は、HACCPの7原則12手順について詳しく解説していきたいと思います。

7原則12手順とは

7原則12手順とは、HACCPを構築するためのガイドラインのようなものです。この7原則12手順の概要は下記の通りです。

手順1 HACCPチームの編成
手順2 製品説明書の作成
手順3 意図する用途及び対象となる消費者の確認
手順4 製造工程一覧図の作成
手順5 製造工程一覧図の現場確認
手順6【原則1】 危害要因分析の実施
手順7【原則2】 重要管理点の決定
手順8【原則3】 管理基準の設定
手順9【原則4】 モニタリング方法の設定
手順10【原則5】 改善措置の設定
手順11【原則6】 検証方法の設定
手順12【原則7】 記録と保存方法の設定

これらそれぞれの手順について、下記で詳しく解説していきたいと思います。

手順1 HACCPチームの編成

HACCPを構築し、運用するためのチームを編成します。このチームには、製品を製造するにあたって必要となる情報を集められるように各部門から適当な人材を選定します。――部門単位で別れていないような中小規模の組織である場合は、工程を把握している人間のみでも問題ありません。

ただ、HACCPは科学的根拠を元に食衛生管理を実行する必要がありますので、場合によってはHACCPコンサルタントのような食品安全に関する専門的な知識を持った人間をアサインすることも検討しましょう。

手順2 製品説明書の作成

製品説明書とは、原材料や包装形態、包装具の材質、製品特性エンドユーザーなどをまとめた文書のことです。この文書は手順6で行う危害要因分析の基礎資料となるものですので、できるだけ詳細に記載されたものであるほうが望ましいですが、十分な情報が記載されていれば、レシピや仕様書などでも代用が可能です。

そういった文書がない場合は新たに作成することも考えましょう。

手順3 意図する用途及び対象となる消費者の確認

製品の使用方法やその製品が誰によって消費されるのか、製造工程での加熱の有無などを把握します。必要に応じて製品説明書に追記することが望ましいでしょう。

手順4 製造工程一覧図の作成

製造工程一覧図とは、フローダイアグラムとも呼ばれる、原材料の受け入れから製品が出荷、提供されるまでにそのような工程を踏むのかということをまとめた文書のことです。HACCPは工程管理によって危害要因(ハザード)を取り除く衛生管理手法であるため、各製品の製造工程図が必要になるのです。

製造工程はできるだけ詳細に書き出す必要があります。原材料が受け入れられてから、どこに保管されるのか、また、計量を行う場合はそれも工程と見なしてフローダイアグラムに記載しておきましょう。

また、包装資材などを利用する場合は、その包装資材がどのように製造されるのかということについてもフローダイアグラムに書き込んでおきましょう。

手順5 製造工程一覧図の現場確認

製造工程一覧図ができたら、その工程図と現場のオペレーションが一致しているかどうかを確認します。一致していなかった場合は文章に追記を行い、より精度の高い文書となるようにしていきましょう。

手順6(原則1) 危害要因分析の実施

ここまでの手順はあくまで準備段階です。この手順6以降がHACCPの肝となる部分です。

危害要因分析(Hazard Analysis)は、HACCPのHAの部分にあたる重要な手順です。手順4で作成した製造工程一覧図と製品説明書を見ながら、食品が細菌やウイルスによって汚染される可能性を探します>。――もちろん、破片や異物の混入などのリスクがあれば、それも危害要因となります。

とにかく、工程の中あるいは入荷の段階で食の安全を脅かす可能性があるリスクを洗い出していきます。

手順7 重要管理点の設定

重要管理点CCP)とは、手順6で発見し、分析した危害要因を取り除くために確実に守らなければならない工程のことです。例えばノロウイルスという危害を防ぐためには、加熱処理が重要管理点として設定されることが多いです。加熱処理を行わない場合は、科学的根拠を元に「これさえできていれば、リスクがなくなる」というポイントを決定するのです。

手順8 管理基準の設定

管理基準(CL)とは、重要管理点を適切に運用するために必要な数値に基づいた指標のことです。例えば「○分以上」や「○度以上」といった、現場で確認可能なものが望ましいでしょう。

手順9 モニタリング方法の設定

重要管理点が管理基準によって正しく運用されているかどうかを確認する方法を設定します。

手順10 改善措置の設定

モニタリングの結果、管理基準から逸脱していた場合にどのような処置を取るのかということを設定します。

手順11 検証方法の設定

HACCPが計画した通りに実行されているかどうかということを検証する方法を検討し、定期的に検証を行います。

手順12 記録と保存方法の設定

モニタリングの結果は適宜記録して文書として保持する必要があります。なぜならその記録を元により確実な管理方法にしていく必要があるからです。このため、記録方法とその文書の保存方法についても検討する必要があります。

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