【食品事業者必見】5分でわかる!HACCPの概要
- HACCPとは「7原則12手順」に沿って行われる食品の衛生管理法
- 全工程が監視、記録されるため、管理基準に満たずに製造された製品の出荷を未然に止めることができる
- HACCPシステムを義務化する国が増えており、食品の国際取引の場ではHACCPに則った衛生管理が必須
食品事業者なら一度は耳にしたことがある「HACCP」。このHACCPシステムを導入すると従来の衛生管理はどのように変化するのでしょうか。従来の“抜き取り調査”から作業工程全体を監視・記録、管理することで、問題が発生してもスムーズに分析できる手法となります。
この記事では、HACCPの基本から導入方法、必要性について説明していきます。
HACCPシステムとは?
HACCPとは、日本語で「危害因子分析及び重要管理点」と訳される食品の衛生管理方法の一種です。
これは、食品を扱う業者が、原材料の搬入から製造、梱包、出荷までの全工程を詳しく分析し、各工程で起こりうる様々な食品汚染の危険因子を列挙し、その危険を回避するために必要な衛生管理を科学的根拠に基づいて行うというものです。
また、各工程で決められた衛生管理方法が厳密に行われているか監視・記録され、問題が生じた場合に事後分析がスムーズに行えるような仕組みになっています。
従来の衛生管理は、手洗いや消毒などの一般的な衛生管理と抜き取り検査による製品管理に基づくものが一般的でした。
しかし、この方法は、最終的に出来上がった製品を無作為に選び出し、選ばれた製品だけに品質検査を行う方式だったため、対象とならなかった製品に汚染が生じていた場合には汚染食品が流通してしまう危険性があったのです。
また、問題が生じた場合にどの工程でどのような管理不足が生じていたのかを事後分析するのが難しく、より良い衛生管理を検討することにつながりませんでした。
一方、HACCPは全工程が監視、記録されるため、管理基準 に満たずに製造された製品の出荷を未然に止めることができ、事後のフィードバックをしやすいというメリットがあります。
HACCPシステムの導入方法は?
HACCPを導入し、認証を受けるには、第三者機関の審査に合格しなければなりません。そして、一度合格したとしても数年に一度は更新する必要があります。
HACCPを導入するには、HACCPや衛生管理方法に関する専門知識を持った人材の育成が必要であり、これらの人員でチームを形成します。
このチームが自社製品の分析や詳細な製造工程を一覧化し、その各工程で起こりうる危険因子を抽出し、その危険回避のための管理方法を考案していくのです。
人材や資本が豊富な大企業であれば、これらの専門知識を持つ人員の確保は容易いですが、小規模な業者では人員を確保することが難しく、HACCPの審査基準に合う施設の改築費が捻出できないこともあります。
日本の大企業におけるHACCP導入率は8割を超えているのに対し、小規模な業者の導入率は2割以下と大きな差があるのも、これが原因であると考えられています。
そこで、HACCP関連の各団体からHACCPコーディネーターなどの専門資格を持つ人材の派遣が進められており、その力を借りてHACCP計画を立てることもできます。
HACCPを導入するには一定の費用がかかり、更新するごとに審査費用や更新料が必要となりますが、HACCPを導入することによる経済効果は非常に大きいもので、将来的には生産性の向上やブランド力のアップにもつながります。
HACCP(ハサップ)システム導入の必要性
現在、先進国を中心にHACCPシステムを義務化する国が増えており、食品の国際取引の場ではHACCPに則った衛生管理が求められるようになってきています。
そのため、HACCP導入は国政取引の場で必須となりつつあると言っても過言ではありません。
また、中国や台湾では輸出食品にHACCP導入を義務化しており、国際的に適正な基準に則った食品としての安全性をアピールしています。
一方、日本におけるHACCPシステムの導入率は先進諸国に比べて低い現状にあるものの、高齢者の増加による汚染食品での健康被害が生じやすくなり、食の外注需要が高まってきています。
それにより、今まで以上に食の安全性が求められるようになりました。
こういった背景があり、国内外に日本の食の安全性を示すために2020年の東京オリンピック・パラリンピックを良い機会として、全業種に対してHACCP義務化が目指されるようになったのです。
HACCP(ハサップ)の導入手順
今現在、HACCPの認定 には基準Aと基準B があり、基準Aは国際的なガイドラインに則った正式なHACCPの遂行が求められるもので、基準Bは一般的な衛生管理を基本としてできる限りHACCPの考え方に合った危険因子とその管理方法を実践するというものです。
基準Bが設定されることによって、小規模な業者でもHACCPを導入しやすくなりました。
一方、基準Aは1993年にコーデックス委員会が示した「12手順7原則」に従うものです。
HACCPチームの編成、自社製品や製造工程の分析を準備段階として、危険因子の分析から管理方法、記録方法の決定、問題発生時の検証方法が順を追って12の手順で示されたものとなっています。
これに沿ってHACCP計画書を作成し、第三者機関の承認を得て初めてHACCP認証が得られるのです。
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