FSMS(食品安全マネジメントシステム)とは?分かりやすく解説

監修清水正敏
著者:ISOプロ担当者
投稿日:
更新日:2020年05月29日

日本では2020年にHACCP義務化が決定し、より高いレベルの「食の安全」が求められるようになってきました。HACCPを始めとする食品の衛生を保つマネジメントシステムのことをFSMS (食品安全マネジメントシステム)と言いますが、「マネジメントシステム」と聞いてもピンと来ない方も多いかもしれません。

ということで、今回はFSMSとはどのようなものなのか、具体的な例を交えながら分かりやすく解説していきたいと思います。

FSMSとは

FSMSとは、Food Safety Management Systemの頭文字をとった略語のことです。日本語訳すると、食品安全マネジメントシステムとなります。つまり、食品の安全を維持するための「経営・運営管理システム」がFSMSということです。

簡単に言えば「食品に関する事故を発生させないために、食品に潜む食品危害リスクを理解し、それらを低減していくための仕組み=システム」がFSMSです。ここで言う「仕組み」とは「気をつける」とか「従業員に注意させる」といった個人の配慮や注意に依存したものではなく、確実に実行される「仕組み」ということです。

極端な言い方をすると、「従業員が不注意であったとしても、この仕組みを構築していれば食品のリスクは除去又は低減されていく…」そんな仕組みこそがFSMSです。

仕組みによってリスクを低減するとはどういうことか

「仕組みによってリスクを低減する」とはどういうことなのでしょうか。

例えば、食品に潜む代表的なリスクに「ノロウイルス」というウイルスがあります。ノロウイルスは食中毒を引き起こすウイルスで、10〜100個体が体内に入るだけで食中毒を発症すると言われている非常に強力なウイルスです。

このノロウイルスを死滅させるためには、「85℃〜90℃で90秒加熱」によってウイルスを死滅させることができると言われています。しかし、このウイルスが「食品に付着しているかどうか」ということは目視では判断することができないですよね? さらに言うと、「ノロウイルスが食品に付着しないように従業員の皆さんは注意してください」と指示をするだけでは恐らく事故が発生してしまいます。——なぜなら、従業員は「85℃〜90℃で90秒加熱すれば良い」ということを知らない可能性があるからです。

HACCPを始めとするFSMSでは、製品によっては「重要管理点」というものを設けます。大きなリスクを低減するために必要な例えば「85℃〜90℃で90秒加熱」がしっかり行われているかということを管理し、もし実行されていないことがあれば「なぜ実行されなかったのか」「どうすれば必ず実行することができるのか」ということを検討し、実行されない原因を取り除く改善をしていくのです。そのために「どのように監視するか、実行されたかどうかをどのように記録するか、問題が起きた場合はどのように対応するか」という「仕組み」を構築していきます。

これが「仕組みによってリスクを低減する」ということです。

FSMSを認証する規格

FSMSには、他のマネジメントシステム同様にマネジメントシステムを認証する規格というものがあります。規格とは簡単に言えばシステム設計図のようなもので、「こういう仕組みを構築しなければならない」ということが規格ごとに決められています。

FSMSに関する認証を取得すると、企業や組織、製品は第三者から「食品の安全性」を認められたことになりますから、様々なメリットを受けることが可能になります。

以下では、FSMSに関する規格にはどのようなものがあるのかということについてご紹介していきましょう。

ISO22000

ISO22000は国際標準化機構(ISO)によるFSMSに関する規格です。HACCPの食品衛生管理 手法をもとに食品安全リスクを低減し、安全なフードサプライチェーンの展開を実現する国際規格で、FSMS規格のスタンダードとも言える規格です。

FSSC22000

FSSC22000はISO22000とセットとして構築された、「より確実な食品安全管理システム」を実践するための衛生管理プログラムの規格です。ISO22000は幅広い食品関連事業者を対象としているのですが、FSSC22000は以下のようなカテゴリの事業者を対象としています。

  • 食品製造(-1)
  • ケータリング(-2)
  • 農場(-3)
  • 容器包装(-4)

SQF

SQFは食品の安全衛生とともに食品の品質 を向上させることを目的とした国際規格で、HACCPによる衛生管理手法に基づくFSMSに加えてISO9001に見られるようなQMS(品質マネジメントシステム)に関する規格でもあります。

BRC

BRCは英国小売協会が発行する食品安全、法令遵守、品質管理の3点に焦点が当てられた規格です。本規格はイギリスだけでなく世界でも使用されている規格で、主に小売事業者を中心に取得されている規格です。

GLOBALG.A.P

GLOBALG.A.PはGAP(農業生産工程管理)に関する国際的な第三者認証規格で、主に農作物、畜産物、水産養殖を行う事業者を対象とした規格です。

どの規格を取得すれば良いのか

上記でご紹介した規格以外にも、日本国内では市区町村や都道府県によるHACCPの認証も行われていますが、規格認証を取得する場合は「どのような顧客をターゲットにするのか」ということや、「規格の取得が重荷にならないか」ということを総合的に考慮した上で検討したほうが良いでしょう。

マネジメントシステム規格はFSMSを構築する上で有用なガイドラインと成りえますが、逆に規模に合わない過剰な文書や重い仕組みを作ってしまうことが重荷になる場合もあるので、不明な場合は専門家に相談するなどしてみるのも良いかもしれません。

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この記事の監修者情報
清水正敏 ( ISO マネジメントシステム構築運用コンサルタント /ISO 品質システム&食品安全システム審査員 )
平成15年ISO品質システム審査員登録、平成20年からQMS 審査員としていくつかの審査機関の審査に従事。システム論と問題解決技法とを統合したマネジメント手法によるマネジメントシステム構築と運用の支援を標榜し、コンサルタント及び研修講師、審査員を勤める傍ら、取材・文筆など多方面で活躍。主な著書は『竹輪の頭はどっち?!』(メタブレーン)『ISO 審査革命』(オンブック)など。
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