【2018年6月法案可決】HACCPが日本で義務化されるのはいつ?何をしなければならない?

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ISOプロ担当者

最終更新日: 2019年07月30日

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1970年代にアメリカで始まったHACCPは、食品の衛生管理手順を「見える化」し、大規模に管理する方法のことです。今では多くの国でHACCPが義務化されており、HACCPは食品衛生管理の国際基準となっています。しかし、日本でHACCPを導入している食品製造業者は3割弱にすぎず、その大部分を大企業が占めている状況にあります。つまり、小規模な業者にはHACCPの考え方自体が十分に周知されていないということです。

とはいえ、海外と食品を取引する際には、HACCPの基準に則った管理が行われていることが必須となる場合もあります。そのため、日本でも全業者を対象にしたHACCPの義務化が課題となっているのです。ここでは、日本では今HACCP義務へ向けたどのような取組が行われているのか、いつ実現されるのかを詳しく見てみましょう。

2020年頃?HACCPが日本で義務化されるのはいつ?

HACCPの考え方は、アメリカのアポロ計画の中で宇宙食の安全性を確保するために発案されたものですが、その後様々な食品に適応され世界各国に広がっていきました。1993年には、国際食糧農業機関と世界保健機関から派生する食品規格委員会によって、HACCPのガイドラインが示されました。先進国を中心にHACCPを義務化する国も増えており、今やHACCPは食の安全性を維持する国際基準となっています。

日本でも、海外との食品取引の際には国際基準に則った衛生管理が求められ、大企業を中心にHACCPを導入する業者が徐々に増えつつある状況です。しかし、小規模な業者の導入率は悪く、全体的には数ある先進国の中でも導入率が非常に低い状況にあります。そのため、日本では段階的にHACCPの導入を義務化しようとする動きがあり、2018年の国会では、HACCPの義務化を含めた食品衛生法の改正案が提出され、審議される予定です。

特に2020年に行われる東京オリンピック・パラリンピックは、世界中の注目が日本に集まる機会であり、国内外に日本の徹底した衛生管理を示すためにも2020年までの義務化が目標とされています。

2018年6月にHACCPが義務化決定

2018年6月に食品の製造・加工・調理・販売などを行う全事業者にに対してHACCPを義務化する『改正食品衛生法案』が衆議院にて可決しました。本法案の概要は以下の通りです。

1.広域的な食中毒事案への対策強化
国や都道府県等が、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のため、相互に連携や協力を行うこととするとともに、厚生労働大臣
が、関係者で構成する広域連携協議会を設置し、緊急を要する場合には、当該協議会を活用し、対応に努めることとする。

2.HACCP(ハサップ)*に沿った衛生管理の制度化
原則として、すべての食品等事業者に、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施を求める。ただし、規模や業種等を
考慮した一定の営業者については、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理とする。
* 事業者が食中毒菌汚染等の危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品出荷までの全工程の中で、危害要因を除去低減させるために特に重要な
工程を管理し、安全性を確保する衛生管理手法。先進国を中心に義務化が進められている。

3.特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集
健康被害の発生を未然に防止する見地から、特別の注意を必要とする成分等を含む食品について、事業者から行政への健康被害
情報の届出を求める。

4.国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備
食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質のみ使用可能とするポジティブリスト制度の導入等を行う。

5.営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設
実態に応じた営業許可業種への見直しや、現行の営業許可業種(政令で定める34業種)以外の事業者の届出制の創設を行う。

6.食品リコール情報の報告制度の創設
営業者が自主回収を行う場合に、自治体へ報告する仕組みの構築を行う。

7.その他(乳製品・水産食品の衛生証明書の添付等の輸入要件化、自治体等の食品輸出関係事務に係る規定の創設等)
食品衛生法等の一部を改正する法律

また、本法案はHACCPに沿った衛生管理の制度化を公布日から2年を超えない範囲内において政令で定める日までという期日を設けています。これは、法案公布後から2年後の2020年6月から本法案は施行され、経過措置期間を経て2021年の6月から義務化が開始するということです。つまり、食品関連事業者は遅くとも2021年の6月までにHACCPによる衛生管理制度の導入を行わなければなりません。

HACCPの対象となる範囲は?

HACCPの対象となる業者は、フードチェーンを構成する食品の製造・加工、調理、販売などの食品を扱うすべての業者です。現在、食品衛生法では、営業するのに許可が必要な業種が34ありますが、HACCPは食品衛生法では許可が必要ないすべての業種も対象となります。

ただ、小規模な飲食店などでHACCPで定められた管理方法を実施することは大きな負担になる可能性があるため、「どこまで衛生管理に着手するか」ということを事業形態や規模ごとに「基準A」と「基準B」に分けています。

基準A(HACCPに基づく衛生管理)は「7原則12手順」によって導入されたHACCP方式による衛生管理を行うことを指します。一方の基準B(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)はHACCPの考え方に基づいて可能な範囲で衛生管理を行うことを指します。――それぞれの適用範囲は以下の通りです。

基準A(HACCPに基づく衛生管理)

従業員数や品質管理部門の有無などの一定の規模の条件を有する食品関連事業者。

基準B(HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)

従業員数50名以下の小規模事業者、店舗での小売販売のみを目的とした製造・加工・調理事業者、提供する食品の種類が多く変更頻度が頻繁な業種、一般衛生管理の対応で管理が可能な業種。

HACCP義務化で何をしなければならないの?

いずれにしても、規模に関わらず食品関連事業者は、HACCPの考え方を理解し、その制度を導入していかなければなりません。では、HACCPが義務化されると何をしなければならないのでしょうか? それはズバリ「7原則12手順と呼ばれるガイドラインに従って食品を仕入れてお客様に提供するまでを監視・管理すること」です。義務化されるのは「規格の取得」ではなく、「制度の導入」なので、このルールを守ってさえいれば法律に違反することはありません。

さて、ではこの7原則12手順とは、一体どのようなものなのでしょうか?以下で簡単に解説していきます。

7原則12手順とは

7原則12手順とは、簡単に言えば衛生管理のガイドラインで、この手順に従っていれば食品衛生のレベルは保たれるというものです。具体的には以下のような手順となっています。

手順1 HACCPチームの編成 HACCPを管理するチームを編成します。外部の人間(HACCPに詳しいコンサルタント)をチームに入れることも有効な手段です。
手順2 製品説明書の作成 原材料や賞味期限、お客様への提供の方法など、製品の特徴をまとめた資料を作成します。工場で言えば「仕様書」、飲食店で言えば「レシピ」を詳しくしたみたいなものです。
手順3 意図する用途及び対象となる消費者の確認 製品の用途と対象の消費者(エンドユーザー)の確認を行います。
手順4 製造工程一覧図の作成 原材料の受け入れから出荷・食事提供までのプロセスを工程ごとに書き出した資料を作成します。
手順5 製造工程一覧図の現場確認 手順4で作成した工程図がその工程図が本当に正しいのかということを実際の現場のヒトやモノの流れを見ながら確認します。必要に応じて製造工程図は修正しましょう。
手順6(原則1) 危害要因分析の実施 HACCPでは、食品衛生に著しく悪影響を与えるようなモノゴト(危害要因)のことをハザードと言いますが、工程ごとに発生し得るハザードを列挙します。例えば、「空調の真下で作業をしていると、ホコリが入る可能性がある」みたいな感じです。
手順7(原則2) 重要管理点(CCP)の決定 手順6で分析したハザードの中から特に除去・低減すべき重要な工程を決定します。
手順8(原則3) 管理基準(CL)の設定 手順7で特定したCCPを適切に管理するための基準(時間、温度等)を設定します。例えば「60度以上で3分加熱する」といったものです。
手順9(原則4) モニタリング方法の設定 CCPが正しく管理されているかどうかを適切な頻度で確認し、記録する方法を設定します。
手順10(原則5) 改善措置の設定 モニタリングの結果、管理基準が逸脱していた時に講ずべき措置を設定します。
手順11(原則6) 検証方法の設定 HACCPに準じた管理ができているかどうかを検証し、修正が必要かどうかを検討します。
手順12(原則7) 記録と保存方法の設定 記録用紙や記録の保存形態、保存期間などを設定します。

基準Aの事業者は上記の手順に全て従う必要がありますが、基準Bの事業者は「一般衛生管理」に加えて、「工程管理(HACCP)」のうち「計画作成、管理・記録」などの一部のみが義務として課せられます。

HACCP義務化を無視するとどうなる?

HACCPは法律で定められたものでありますが、改正食品衛生法では明確に罰則が規定されていません。――しかし、全く罰則がないとは言い切れません。なぜなら、改正食品衛生法には以下のような条文があるためです。

都道府県知事等は、公衆衛生上必要な措置について、第一項の規定により定められた基準に反しない限り、条例で必要な規定を定めることができる。
食品衛生法

どういうことかというと、都道府県にて定められる条例にて罰則が規定される可能性があるということです。条例で定めることができる罰則は「2年以内の懲役、100万円以下の罰金」という上限がありますが、それでもなかなか重たい罰則です。HACCPの義務化に対応できているかは営業許可の取得や更新のときにもチェックされる可能性がありますので、義務化を無視することはできないと考えておきましょう。

HACCPを導入する目的は?

HACCPは、食品を製造する工程でどのような食品汚染の危険があるのかを事前に予期し、その危険を回避するために行うべき対策を分析して、実際に行われた管理方法を記録することです。これによって食品汚染が生じた場合に、どの工程で汚染が生じたのかを明確化することができます。

そして、管理方法にどのような問題点があったのかを再分析し、より良い管理方法を見出すことにつながる効果が期待できるというわけです。従来の衛生管理では、「抜き取り検査」という手法が用いられてきました。これは、数多く製造された商品のいくつかをランダムに抜き取って、汚染の有無を確認するという検査です。

しかし、この方法では抜き取って検査対象になった商品以外のものに関しては、汚染を見過ごすことも珍しくありませんでした。また、どこで汚染が生じたのかを分析するのは困難だったのです。それに対し、HACCPは、科学的に実証された各工程の厳密な安全管理方法を実行できなかった商品は、汚染の危険があると考えて未然に流通を阻止することができます。そのため、原因の追究も比較的容易に行うことができるのです。

HACCPを導入するメリットとしては、食品衛生の確保や国際取引での要求に応じることができる点、各業者の衛生管理意識を高められる点などが挙げられるでしょう。HACCPの導入には、衛生管理に関する専門知識を持つ人員がチームを編成する必要があります。これにより、各業者内で研修会などを利用して知識のある人を育成する必要が出てくるため、各業者の衛生管理意識と、技術の向上が期待できるのです。

義務化を前に導入するメリットは?

日本でのHACCP導入は目前に控えていますが、義務化を前に導入を試みる業者も年々増えています。HACCPは、食品の安全性を確保するだけでなく、管理方法を徹底して記録に残すため、各業者の人員への教育にもつながります。正しく導入することで、食品汚染を大幅に防ぐことが可能になるわけです。食品を扱う業者にとって、食品の汚染事故は最も避けなければならないものであり、HACCPの導入はその危険を軽減することが期待できます。そのため、業者はHACCPを導入することで、自社製品の食中毒や異物混入などの事故をいち早く予防することができるのです。

また、HACCPを行う際に重要な管理方法の記録は、各業者の人員がそれぞれ経験を積むことで取得する技術であり、その体制作りも業者が担う重要な任務です。これらは一朝一夕で整うものではなく、義務化に向けて今からでも取り組んでおくべき課題であるといえるでしょう。したがって、HACCPを義務化前に導入することは、一般化される制度の事前訓練となり、義務化後のより円滑な業務の遂行へとつながります。さらに、最近ではHACCPの考え方が普及してきたため、義務化前の導入は自社ブランドのPRにもなり得ます。

様々な手順によって試行錯誤を重ねて行われるHACCPに対して、煩雑というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、HACCPの導入にはメリットが多くあります。2020年まで待たずとも、ぜひ早めの導入を検討してみましょう。

ISOプロからのお知らせ:セミナー開催!

今回ISOプロではHACCPをはじめとした食品安全マネジメントシステムのセミナーの開催を予定しております。

消費者の食品に対する安全・衛星への要求が高まってきている現代で、厚生労働省が食品製造業を対象にHACCP導入の義務化の動きが出てきています。
今のうちからできる事や費用感であったり、セミナーを通じてHACCPの導入のあれこれを細かく解説していきます。

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