• 食品衛生法では、HACCP制度化の違反による罰則は規定されていない
  • 地方自治体は条例によってHACPP制度化違反を処罰することが可能
  • 罰金や禁固刑に該当しなくても、保健所からの営業許可が降りなくなる可能性もある

2018年6月、改正食品衛生法が衆議院にて可決され、2020年の6月からHACCPによる衛生管理 が全ての食品関連事業者に義務付けられることになりました。

さて、HACCPによる衛生管理は努力義務ではなく明確に法律で規定されたものでありますから、どのような理由があっても事業者は従わなくてはなりません。では、この法律を無視するとどのような罰則を受けるのでしょうか。

今回は、HACCP義務化と罰則についてご紹介していきたいと思います。

改正食品衛生法を無視すると罰則はあるのか?

HACCP義務化無視の罰則

改正食品衛生法の条文に目を通すと、どこにHACCPの義務化について書かれているのかが分からないという声もありますが、五十条には以下のようなことが規定されています。

第五十条の二厚生労働大臣は、営業(器具又は容器包装を製造する営業及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第二条第五号に規定する食鳥処理の事業(第五十一条において「食鳥処理の事業」という。)を除く。)の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置(以下この条において「公衆衛生上必要な措置」という。)について、厚生労働省令で、次に掲げる事項に関する基準を定めるものとする。

一 施設の内外の清潔保持、ねずみ及び昆虫の駆除その他一般的な衛生管理に関すること。

二 食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組(小規模な営業者(器具又は容器包装を製造する営業者及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第六条第一項に規定する食鳥処理業者を除く。次項において同じ。)その他の政令で定める営業者にあつては、その取り扱う食品の特性に応じた取組)に関すること。

営業者は、前項の規定により定められた基準に従い、厚生労働省令で定めるところにより公衆衛生上必要な措置を定め、これを遵守しなければならない。
食品衛生法 第五十条

この法律の二項で定められている「危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組」というのが、HACCPに基づいた衛生管理のことです。つまりHACCP義務化を定めた法律——食品衛生法五十条の罰則がHACCP義務化を無視した時の罰則ということになります。

その罰則について、同法の条文では以下のように触れられています。

都道府県知事等は、公衆衛生上必要な措置について、第一項の規定により定められた基準に反しない限り、条例で必要な規定を定めることができる。
食品衛生法

さて、食品衛生法の中では罰則について定められているわけではありませんが、「各都道府県知事に委ねる」といったことが記載されています。つまり、食品衛生法の違反によって罰則の対象にならなくても、都道府県が条例によって罰則を設けていれば刑事罰に問われる可能性があるということです。

都道府県が定めることができる条例における罰則は、地方自治法にて定められており、条文は以下の通り。

第十四条 普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。
二項 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
三項 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
地方自治法 第十四条

つまり、HACCPの義務化を無視していると、場合によっては2年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金刑が課せられる可能性があるということです。

もちろん、規定については各都道府県知事の判断に委ねられているため、特に罰則が設けられないこともありますが、そうでなくても万が一食品衛生に関する危害が発生し、違った形で食品衛生法違反となった場合は3年以下の懲役または300万円以下(法人は1億円以下)の罰金が課せられることになりますので、事業者は事故が発生しないように衛生管理を徹底しておかなくてはならないのです。

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営業許可の取得にも影響するかも?

HACCPの義務化が始まる2020年以降は、飲食店営業許可など衛生関係の営業許可取得時にも「衛生管理計画書の策定」がチェックされる可能性があります。営業許可については従来どおり施設基準等に基づいて判断されることになりますが、営業許可を取得する時に「HACCPによる衛生管理が行われているか」ということが確認されることになるため、この時適当に「後でやります。」みたいなことを言って誤魔化すとマークされることになるかもしれません。

保健所からマークされれば即逮捕とまではならなくても指導の対象となりますので、悪質だと判断された場合は行政処分がくだされることもあります。

保健所への届け出は食品関連の事業を行う上で避けて通れない道です。もし保健所に届け出ず無許可で営業を行えば、それこそ無許可営業の罪に問われて懲役刑・罰金刑の対象となります。このことから、HACCPの義務化から逃れる術はないと言えるのではないでしょうか。

まとめ

今回は、HACCP義務化の罰則についてご紹介してきました。改正食品衛生法については2020年から施行されることになりますが、HACCPに基づく衛生管理の義務化は経過措置がとられ、1年間の猶予期間が設けられることになっています。

とはいえ、条例で罰則が定められることになる可能性もありますし、保健所から指導が入る可能性もありますので、何もしなくても良いわけではありません。

2021年まで猶予期間があるとはいえ、早め早めの対応をしておくに越したことはありませんので、この機会に今一度衛生管理について見直してみてはいかがでしょうか?

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