HACCP義務化で飲食店がやるべきこと

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ISOプロ担当者

最終更新日: 2019年10月02日

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2018年6月、改正食品衛生法案が衆議院にて可決し、2020年からHACCPが義務化されることになりました。HACCPと聞けば、大規模な食品工場が取得する規格というイメージがありますが、今回の食品衛生法改正によってHACCPのガイドラインに基づいた衛生管理が義務化されるのは、大手の食品工場だけでなく、小規模な工場や旅館も含まれます。——もちろん、飲食店も例外ではありません。

2020年から開始されるHACCPの義務化は食品関連の全事業者を対象とするものなのです。——とはいっても、いきなりHACCPによる衛生管理を行えと言われても、「何をすればいいのか分からない」という飲食店のオーナーの皆様も多いのではないでしょうか?

今回は、HACCPが義務化される2020年よりも前に飲食店は何をしなければならないのかをご紹介していきたいと思います。

そもそもHACCPの義務化とは

HACCPというのは、もともと1960年代アメリカにて、宇宙食の安全性を確保する目的で開発された衛生管理の手法です。その衛生管理の手法は現代では世界各国で認められており、様々な食品関連事業者がHACCPを取得しています。食の安全が叫ばれる昨今においては、「HACCPは食品関連事業者が取り組まなければならないもの」といっても過言ではありません。アメリカでは1997年から、EUでは2006年から食品関連事業者にHACCPによる衛生管理の導入を義務化しています。

一方で、日本のHACCP普及率を見てみると、23%(平成25年)という低い水準にとどまっており、「日本の食品の安全性」に対して世界から疑問を持たれても仕方がない状況にあるのです。

そこで、2020年の東京オリンピックの前になんとか導入を進めようということで、HACCPの衛生管理手法に基づいた管理方法を義務化することを決定したのです。

HACCPシステムの認証を取得しなければならないわけではない

「義務化」とはいっても、HACCPシステムの認証を取得する必要はありません。ただ、HACCPが定める「7原則12手順」という管理手法に従って衛生管理を行うことが義務化されただけです。

また、規模別に「どの程度のことをする必要があるのか」ということを切り分け得た基準を設けており、中小規模の食品関連事業者(基準B)は「可能な範囲で重要管理点(CCP)を設定して衛生管理を行うこと」として、要するにHACCPの7原則12手順の一部のみを適用すれば良いという猶予措置が設けられています。

さて、「可能な範囲で」とはなんとも曖昧な表現ではありますが、要するに大企業でも無い限り飲食店が2020年までにやるべきことは、以下の3つです。

  • 衛生管理計画書の作成
  • 実施と管理
  • 記録

2020年までにやるべきこと

以下では、基準Bの事業者が2020年までに導入しなければならない3つの項目について、詳しく解説していきます。

衛生管理計画の作成と実行

衛生管理計画とは、店舗から危害要因(ハザード)を除去・低減するために「どのような製造工程をチェックすれば良いのか、どのようなことをすれば良いのか」ということを店舗の設備や状況に応じて計画することを言います。

厚生労働省が公開している小規模な飲食店向けのHACCP手引書では、「一般衛生管理」と「重要管理」の2つに分けて考えられています。

それぞれ、一般衛生管理は

  • ① 原材料の受入の確認
  • ② 冷蔵・冷凍庫の温度の確認
  • ③-1 交差汚染・二次汚染の防止
  • ③-2 器具等の洗浄・消毒・殺菌
  • ③-3 トイレの洗浄・消毒
  • ④-1 従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など
  • ④-2 衛生的な手洗いの実施

重要管理は

  • 第 1 グループ:非加熱のもの(冷蔵品を冷たいまま提供)
  • 第 2 グループ:加熱するもの(冷蔵品を加熱し、熱いまま提供)、(加熱した後、高温保管を含む)
  • 第 3 グループ:加熱後冷却し再加熱するもの、または、加熱後冷却するもの

が管理すべきポイントとして具体的に挙げられており、食品の衛生を維持するためにどのように製造工程を管理するかということをまとめていきます。

この衛生管理計画は当然頭の中にあるだけでは不十分ですから、製造工程ごと、メニューごとに文書化していく必要があるのですが、以下では具体的にどのような文書を記載するのかということをご紹介していきます。

一般衛生管理

一般衛生管理では、先程挙げたポイントを「いつ」、「どのように」チェックするのかということを記載し、さらに「問題があったときにどのように対応するのか」を決めていきます。

このときに重要になるのが、「管理が必要である」とされるポイントがなぜ管理が必要なのかということを理解することです。例えば、冷蔵庫の温度確認は、「食品において食中毒を引き起こす細菌が増殖することを防ぐために必要である…」といった具合です。

具体的には以下のようにまとめていくと良いでしょう。

冷蔵・冷凍庫の温度の確認 いつ 始業前
どのように 温度計で庫内の温度を確認
問題があったときの対処 設定温度を再調整し、食材は必要に応じて加熱して提供する

重要管理

重要管理とは、HACCPでいうところのCCP(重要管理点)です。重要管理点とは、食品の安全を保つために特に重要であるとされる工程のことを指します。例えば、ノロウイルスを低減するためには、「85度〜90度の温度で90秒加熱する」ということが重要な工程になります。この「加熱」という処理が重要管理点であり、HACCPに本格的に取り組む場合は「85度、90秒以上」という管理基準(CL)を設定する必要があります。

HACCPの基準Bが求められるような小規模な飲食店では、そこまで厳密な管理を行う必要はありませんが、これらをどのようにチェックするのかということは一般衛生管理とは別に書き出していく必要があります。

具体的には先程挙げたグループ1〜3の食品ごとにメニューの名前とチェック方法を以下のように文書化していきます。

第2グループ(加熱するもの) ハンバーグ 火の強さ、焼き色から判断
生姜焼き 火の強さ、焼き色から判断
唐揚げ 油の温度、揚げる時間から判断

計画に基づく実施

衛生管理計画が策定できたら、その計画を実行していきます。計画の実施で重要になってくるのが、「モニタリング」です。皆さんの経営する飲食店では、おそらく皆さんが一人で切り盛りしているわけではないと思います。このため、オーナーが「衛生管理をしっかりしていこう」と意気込んでも、従業員がそれに従わずに手順を飛ばしてしまうと、せっかく策定した衛生管理計画が台無しになってしまいます。

また、最初から完璧な衛生管理計画を策定できる人もいないでしょう。計画したものを実行していく過程で必ずうまくいかないことがあるはずです。このため、「計画が実行されているか」「改善できるところはないか」ということをモニタリング(監視)していく必要があるのです。

どのようなことをモニタリングすべきか

計画を実行する際には、具体的には以下のようなことをモニタリングするようにしましょう。

  • 計画を実行することで本当に危害要因(ハザード)は低減できているか
  • もっと他に効率の良い方法はないか
  • 計画は従業員が実施しやすいものであったか
  • 計画を実行する過程で新たな危害要因は発生していないか

確認・記録

計画を実行に移し、次にすることは確認と記録です。モニタリングから得られた結果を文書に記録していくのです。

「記録は面倒だ」と感じる方も多いかと思いますが、HACCPを始めとするシステムの多くは、「現時点で実施しているか」よりも「恒常的に実施しているか」ということが評価ポイントになります。

モニタリングの結果を記録して、後からこれに基づいて検証していくと、「AがうまくいっていないからBにしてみよう」という衛生管理計画の改善することができます。このように、【計画→実行→検証→改善→計画…】と継続的にシステムを改善していくことをPDCAサイクルと言いますが、HACCPという衛生管理システムでは、PDCAサイクルを回すことがとても重要なのです。

また、もし事故が発生したとしても記録を残しておくことで「どのように実施していたか」ということを実証することができるため、しっかりと衛生管理計画を実行していれば店舗に否がないことを保健所にアピールすることもできます。

このため、1日の終わりには衛生管理計画が実行されていたかどうかを記録用紙に書き留めておくと良いでしょう。

まとめ

HACCP義務化というものの、義務化されることは世界では当たり前になっている食品衛生の管理方法の導入であり、実はそれほど難しいものではないのです。

むしろ、HACCPの考え方に基づく衛生管理を導入することで従業員の作業効率がアップしたり、リスクを低減したりすることができるので、店舗にとってのメリットがあるくらいです。

HACCP導入に関するガイドラインは厚生労働省も公表しているので、この機会に是非店舗の衛生管理について見直して、HACCPの導入を進めていきましょう!

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