HACCP義務化で飲食店がやるべきこと

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2018年6月、改正食品衛生法案が衆議院にて可決し、2020年からHACCPが義務化されることになりました。HACCPと聞けば、大規模な食品工場が取得する規格というイメージがありますが、今回の食品衛生法改正によってHACCPのガイドラインに基づいた衛生管理が義務化されるのは、大手の食品工場だけでなく、小規模な工場や旅館も含まれます。——もちろん、飲食店も例外ではありません。

2020年から開始されるHACCPの義務化は食品関連の全事業者を対象とするものなのです。——とはいっても、いきなりHACCPによる衛生管理を行えと言われても、「何をすればいいのか分からない」という飲食店のオーナーの皆様も多いのではないでしょうか?

今回は、HACCPが義務化される2020年よりも前に飲食店は何をしなければならないのかをご紹介していきたいと思います。

そもそもHACCPの義務化とは

HACCPというのは、もともと1960年代アメリカにて、宇宙食の安全性を確保する目的で開発された衛生管理の手法です。その衛生管理の手法は現代では世界各国で認められており、様々な食品関連事業者がHACCPを取得しています。食の安全が叫ばれる昨今においては、「HACCPは食品関連事業者が取り組まなければならないもの」といっても過言ではありません。アメリカでは1997年から、EUでは2006年から食品関連事業者にHACCPによる衛生管理の導入を義務化しています。

一方で、日本のHACCP普及率を見てみると、23%(平成25年)という低い水準にとどまっており、「日本の食品の安全性」に対して世界から疑問を持たれても仕方がない状況にあるのです。

そこで、2020年の東京オリンピックの前になんとか導入を進めようということで、HACCPの衛生管理手法に基づいた管理方法を義務化することを決定したのです。

HACCPを取得しなければならないわけではない

「義務化」とはいっても、HACCPを取得する必要はありません。ただ、HACCPが定める「7原則12手順」という管理手法に従って衛生管理を行うことが義務化されただけです。

また、規模別に「どの程度のことをする必要があるのか」ということを切り分け得た基準を設けており、中小規模の食品関連事業者(基準B)は「可能な範囲で重要管理点(CCP)を設定して衛生管理を行うこと」として、要するにHACCPの7原則12手順の一部のみを適用すれば良いという猶予措置が設けられています。

さて、「可能な範囲で」とはなんとも曖昧な表現ではありますが、要するに大企業でも無い限り飲食店が2020年までにやるべきことは、以下の3つです。

  • 衛生管理計画書の作成
  • 実施と管理
  • 記録

2020年までにやるべきこと

以下では、基準Bの事業者が2020年までに導入しなければならない3つの項目について、詳しく解説していきます。

衛生管理計画の作成

厚生労働省が公表している基準Bの事業者のための改正食品衛生法の手引書にてさらに詳しいことが記載されていますが、衛生管理計画書とは、わかりやすくいうと「店舗で起こりうるハザード(食中毒などにつながる原因)を見つけ出し、それを排除するための計画」のことです。

例えば、「牛肉に火が通っていないことで食中毒が発生する可能性がある」というハザードがあったとして、「牛肉は100℃で3分間加熱してから提供する」などという措置講じれば、食中毒は減少するでしょう。このように「◯℃まで加熱する」という管理基準のことをHACCPではCLと呼びますが、ハザードとCLを一覧にしたものを衛生管理計画書といいます。

——つまり、ザックリ言えば「なにか危ないものはないか?」ということを改めて考えて、その「危ないもの」を排除する方法を表にすれば良いのです。

計画に基づく実施(管理)

計画を策定したとしても、その計画が実行されなければ意味はありません。HACCPでは、「策定した計画が正しく遂行されているか」ということを綿密にモニタリングしていきます。

このモニタリングは重要な工程です。例えば、皆さんも日常生活の中で「今日は、肉じゃがを作ろう。先に玉ねぎと人参を切って炒めて……」と意気込んで料理を始めるも、「あ、ジャガイモを茹でている間に人参を切るほうが簡略化できる!」ということに気づくことがあると思います。

衛生管理でも作成した計画通りに事が進んでいるのかをモニタリングすることで、予期しなかったハザードの発見や計画書で講じた措置の最適化を図っていくことが可能なのです。

確認・記録

最後に、確認と記録を行います。衛生管理が義務化されたとしても、口で「衛生管理やっています!」と言えばOKでは法律を定めた意味がありません。「しっかり衛生管理が行われているか」ということを確認するために記録書というものを作成し、それを保管しておくことが義務化されるのです。

記録しておくことは、事故が発生した時に原因を分析する上でも役に立ちます。このためHACCPでも7原則12手順の最終工程として「記録と保存」ということが設定されています。

まとめ

HACCP義務化というものの、義務化されることは世界では当たり前になっている食品衛生の管理方法の導入であり、実はそれほど難しいものではないのです。

むしろ、HACCPの考え方に基づく衛生管理を導入することで従業員の作業効率がアップしたり、リスクを低減したりすることができるので、店舗にとってのメリットがあるくらいです。

HACCP導入に関するガイドラインは厚生労働省も公表しているので、この機会に是非店舗の衛生管理について見直して、HACCPの導入を進めていきましょう!

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