HACCPの種類、FSSC22000とISO22000との違い?

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食の安全性が以前にも増して重視される昨今、世界には様々な食品の衛生管理方法が存在しています。

その中でもHACCPは、1960年代にアポロ計画の中で宇宙食の安全性を確保するために考案された衛生管理の手法であり、1970年代にはアメリカで様々な一般食品に適応され、1993年には国連機関であるコーデックス委員会が世界基準としてのHACCPガイドラインを示しました。

HACCPは、先進国を中心に多くの国で導入されており、近年では導入が義務化される国も増えています。

現時点での日本における導入率は3割程度と低い水準ですが、国内外に食の安全性を示すため、政府は2020年を目途にHACCP義務化を推進しているところです。

しかし、HACCPを認証する第三者機関は自治体や各業界団体、厚生労働省など多数の機関があり、大まかな衛生管理に関する考え方は同一ですが、基準や審査項目はそれぞれ異なります。

そのため、食の安全管理基準としてHACCPの考え方を基に、ISO22000、FSSC22000という2種類の国際規格が作られました。

これら2つには、HACCPとどのような違いがあるのでしょうか。ここで詳しく解説します。

規格としての違い

HACCPは食品の衛生管理手法の一種です。主に食品製造業者を対象として、原材料の搬入から、製造、出荷の全ての工程を細分化し、そこで起こりうる食品汚染の危険因子とその回避方法を科学的根拠に基づいて行うというものです。

また、設定された衛生管理が適切に行われているかを全工程で監視、記録されるため、汚染食品の出荷を未然に防ぐことができ、事後の検証を行いやすいというメリットがあります。

このHACCPの考え方は、従来の衛生管理と一線を画すもので、アメリカで発案されて以来、世界の食の安全を向上し、維持してきたといっても過言ではありません。

しかし、HACCPには認証団体が複数あり、それによって基準や審査項目が異なることから、「食品衛生の世界基準的ガイドライン」として捉えられています。

ただ、食品の流通過程が複雑化している現代においては、ガイドラインだけではなく国際的に通用する食品安全の規格の需要が高まり、そこで生まれたのがISO22000とFSSC22000なのです。

HACCPでは取り入れられていない安全管理のマネジメントシステムも要素の一つであり、世界規模で食の安全レベルを向上することを目標としています。

これらは世界共通の規格のため、国際取引の場でも非常に信頼度が高く、中にはこれらの規格の認証を受けていない商品は取り扱いをしないという大企業もあるほどです。

前提条件プログラムの違い

前提条件プログラムとは、手洗いや器具の消毒など、食品の衛生管理を行う以前の当然に行われるべき衛生管理のことです。

HACCPでは、認証団体ごとに前提条件プログラムも異なりますが、ISO22000とFSSC22000では、HACCPの考え方を基にした前提プログラムが明確に設定されています。

しかし、世界初の国際規格であるISO22000は、内容の画一化はされておらず、手洗いや消毒の方法は業者に一任されていました。そのため、大規模な食品業者でも食品汚染事故が発生し、ISO22000自体の信頼性が損なわれつつありました。

そこで誕生したのがFSSC22000であり、これは各プログラムがPAS220によってその手法も厳密に設定されており、より認定条件が厳しくなったものです。

このFSSC22000が誕生したことによって、より画一化された食品安全の国際規格が形作られたと言えるでしょう。

今では、世界各国でこれらの規格を導入する企業が増えており、食品の国際取引の場でもISO22000やFSSC22000の適応が求められつつある時代に突入しています。

ハザード管理の違い

ハザード管理とは、食品を扱う各工程で生じる異物混入や食中毒菌付着などの危険因子を未然に予測し、科学的根拠に基づいて徹底した管理を行うことをいいます。

HACCPでは、一般的な衛生管理のプログラムと各工程での危険因子に対する管理が重点的に行われますが、ISO22000とFSSC22000ではその中間段階の管理もより厳密に行われます。

つまり、日常的な衛生管理から危険因子に進む段階にある細々した工程についても厳しく管理されるようになり、食の安全性をより高く保とうとする管理が行われるということです。

適応範囲の違い

HACCPの適応範囲は認証団体によって異なり、原材料となる食品の生産段階から製造、流通まで、全ての業種に適応されるものもありますが、基本的には食品製造業者が行う衛生管理方法です。

しかし、ISO22000とFSSC22000の場合は、食品製造業者だけでなく、フードチェーンに関わる全ての業種を対象にしています。

そのため、農業や漁業といった一次産業業者や運送業者、冷蔵業者など、原材料の調達から消費者の手に渡るまでの全ての業種に適応され、複雑な経路をなす現在の食品流通に適した管理規格であると言えるでしょう。

食の安全は、製造業者だけでなく、それを適切な温度管理や梱包によって流通、保存する業者の努力があってこそ成り立つものです。そのため、これらの国際規格は食の安全性を守る上で非常に効果的であると考えられます。

日本では、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までにHACCP導入義務化を目指していますが、これは食品製造業者だけでなく、流通業や保存業者も対象となる予定です。

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