日本は食の品質が低い?!HACCP導入の重要性と課題

著者:ISOプロ担当者
投稿日:
更新日:2020年04月24日

  • ISO22000は食品安全の国際規格に対し、HACCPは食品の製造の各工程段階で食中毒の原因を科学的根拠に基づき管理する方法である
  • 東京オリンピック開催を機に衛生管理指導を行い、食中毒の防止を目的としている
  • HACCP導入実績は食品製造販売額100億円以上の企業の87.4%、食品販売額50億円以下の中小事業者ではわずか33.5%
  • 日本から海外へ食品を輸出する際、HACCP認証をしないと輸出できない地域がある
  • 「HACCP支援法」は、零細企業のHACCP推進を後押しする


HACCP義務化の背景には2020年の東京オリンピックが影響しています。世界から見た日本は、食品衛生の管理レベルが低く、東京オリンピック開催を機に食品の衛生管理を徹底することを目的としています。

この記事は、HACCPとISO22000をおさらいした後に、HACCPの導入状況とその重要性、課題について説明します。

HACCP(ハサップ)とISO22000

HACCPとISO22000は、どちらも衛生管理の手法です。しかし、この両者には、国際機関認証なのかどうかなど、明確な違いが存在します。まずは、それぞれの特徴について概要の説明を致します。

HACCP(ハサップ)とは

HACCPとは、食品の製造の各工程段階(施設衛生管理等)で食中毒の原因になりうる微生物や異物混入を科学的根拠に基づき管理する方法です。

食品に危害が発生しないように食品製造事業の企業が自ら監視・検査・指導や記録を進めます。
1993年から統一基準の設定がスタートし、欧米を中心に義務化が進みました。

ただし、あくまで国際機関の安全・衛生制度や運用基準ではなく、国や業種によって異なるケースも多いです。

ISO22000とは

ISO22000は食品安全の国際規格(ISO)として導入されています。

一般衛生管理など具体的な内容自体は会社ごとに策定できますが、国際規格(ISO)として世界共通の要求事項が用意されていることから、信頼度が高い食品安全のマネジメントシステム です。

また、現在の食品衛生管理手段が最善と考えず、目標の達成状況を解析し、システムが有効に機能しているかを継続的に改善することを目的としています。

HACCP(ハサップ)の中小事業者導入時の取り扱い

日本国内ですべての食品事業者を対象にHACCPを導入しようとしている今回のHACCP義務化の背景には、2020年の東京オリンピックが影響しています。

世界中からお客様が訪れるにあたって、近年頻発している食品の広域的な食中毒の防止や食中毒件数の抑制などを目的に、衛生指導を行い解消しようとするための動きです。

HACCPの導入は義務化される!?

HACCPは日本国内での導入実績は、食品製造販売額100億円以上の企業の87.4%が導入しているのに対し、食品販売額50億円以下の中小事業者ではわずか33.5%しか導入実績がありません。

その理由は、中小事業者の場合、HACCP導入に対する費用や人員確保が負担になってしまうからです。農林水産省の調査によると、中小事業者からは「施設整備に多額の資金が必要だ」「導入にかかるコストが大きい」「従業員研修や指導の時間が取れない」といった意見が見受けられました。

しかし、海外からは食品衛生管理の品質の低さが指摘を受けているのです。

日本からの輸出時も重要な制度

HACCP手法を取り入れた衛生管理の導入は、日本が世界に対して輸出競争力を高める意味でも重要な制度です。

日本から食品を輸出する際、日本政府機関や国内の第三者認証機関がHACCP認証をしないと、輸出できない地域があります。

例えば、EUやアメリカでは水産物や水産加工品、牛肉、アジア圏の国では牛肉など、海外ではHACCPの手法を導入し、認証される必要があるのです。

世界から見た日本は、食品衛生の管理レベルが低いと指摘を受けることも少なくありません。

EU向けのHACCP導入を行った水産加工施設数を見ると、1位がアメリカ、2位カナダ、3位中国といったランキングですが、日本はランキング中33位です。

先進国に限らず、世界全体で見ても決して上位とは言えない結果が出ています。

中小規模の事業者では、HACCPをそのまま導入および運用することは現実的ではないと考えられます。

そこで厚生労働省が現在検討中の制度では、食品の種類や施設の規模に応じた柔軟なHACCPの導入方法等が検討されています。

ただし、衛生水準が下がることなく対応できる必要があり、中小事業者でもHACCP基準に対しての理解を進めなければなりません。

国による長期的な支援と日本企業の考え方が課題

HACCP導入の義務化は国策的な要素が強いです。しかし、現実的には施設設備投資へのコストを始め、さまざまな負担が影響しているため実現できていません。

急速な導入は現実的ではありませんが、2020年は目前に迫っている状況で国はどのような対策や支援を打ち出しているのでしょうか。

HACCP(ハサップ)支援法とは

例えば、当初は2013年6月末期限まで利用できた「HACCP支援法」は、2023年6月末まで延長されました。

制度の内容は、HACCPのための施設整備を目的に、長期間かつ低金利での融資をするものです。

食品への微生物汚染防止を目的に、従業員向けに手洗い施設を建設する場合、低金利で融資借り入れの支援を受けることができます。

「HACCP支援法」の継続と義務化は、零細企業でHACCP推進を後押しする可能性がある でしょう。

HACCP手法を取り入れた衛生管理の導入に際し、多くの日本企業で行われてきた「経験とカン」は通用しなくなると考えられます。

今まで以上に科学的な根拠に基づいた分析や管理、検証による食品の安全性を保障する仕組みが必要であり、従来のような方法では通用しませんので、導入を積極的に検討しましょう。

まとめ

HACCPの義務化に向けた制度検討が行われている時期ですが、HACCP手法を取り入れた衛生管理の導入に対しての理解と科学的検証のために統一基準を設定することは重要です。
中小事業者での取り扱いも意識し認証を目指しましょう。

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