2020年のオリンピックに向けて食の安全というものへの関心は高まっています。2018年に義務化が決まったHACCPによる衛生管理の導入はその最たる例でしょう。

しかし、せっかくHACCPというマネジメントシステムを構築するのですから、PマークやISO 9001のように 認証 を受けたいと考える事業者の方も多いかもしれません。そんな認証基準の一つがSQFと呼ばれるものです。

今回は、SQFとは何なのか、またHACCPとはどのような関係性にあるのかということについてご紹介していきたいと思います。

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SQFとは

SQFとは、Safe Quality Food(安全で高品質な食品)の略称で、オーストラリアで開発された食品の製造過程・製品認証基準のことです。FSSC22000と同様に、国際食品安全イニシアチブ(GFSI )によって承認された食品安全 規格 です。
その考え方はHACCPに基づいて策定されており、HACCPとは異なり製品認証を得ることができます。

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レベル別の認証

SQFはJFS規格と同様に3段階のレベルに分けられています。レベル1は基礎、レベル2は食品安全を対象とした食品安全システム、レベル3は食品安全と品質システムの認証となっており、レベル3を取得することで、製品にSQFマークの使用が許可されます。このSQFマークを得るためには重要管理点CCP )と重要品質点(CQP)を確実に管理していることが認められる必要があります。つまり、SQFマークを取得している製品は第三者から「食品の安全性」を認められているという証になるのです。

産業分野別の要求事項

SQFは産業分野毎の要求事項が設けられています。これにより、分野毎に最適な食品安全の仕組みを実現することができます。要求事項はパートA、B、添付資料の3つのパートで構成されています。
パートAは、SQF規定の実施と維持に関する全般。パートBは、モジュール形式で産業分野別の要求事項となっています。共通の「モジュール2:SQFシステム要素」とモジュール3~15までが産業別の要求事項です。

モジュール 内容
2 SQFシステム要素―産業分野共通
3 動物飼料安全の基礎―動物飼料製造における適正製造規範
4 ペットフード安全の基礎―ペットフード製造の適正製造規範
5 食品安全の基礎―動物生産品の飼育における適正農業規範
6 食品安全の基礎―魚養殖に関する適正養殖規範
7 食品安全の基礎―植物製品の栽培における適正農業規範
7H 食品安全の基礎―植物製品の栽培における適正農業規範
8 食品安全の基礎―穀物・豆類栽培における適正農業規範
9 食品安全の基礎ー動物生産品前処理における適正製造規範
10 食品安全の基礎ー植物製品の前処理における適正製造規範
11 食品安全の基礎ー食品加工における適正製造規範
12 食品安全の基礎ー食品の輸送・流通における適正製造規範
13 食品安全の基礎ー食品包装資材製造における適正製造規範
14 食品安全の基礎ー食品仲介業者および代理業者の適正製造規範
15 食品安全の基礎ー食品ケータリング業、卸売業、小売業の適正製造規範

審査スコアでの格付け

SQFの特徴のひとつとして、審査スコアで格付けがなされることが挙げられます。審査スコアは減点方式が採用され、70点以上を合格とし、点数ごとにE(優)、G(良)、C(合格)、F(不合格)の格付けがされます。この格付けによって12か月ごとの再認証審査か6か月ごとの継続審査かが決まります。

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SQFを構築する要素

SQFは食品の安全だけでなく、食品の品質についても求められることになりますが、基本的に大部分はHACCPの考え方に基づいています。

SQFのプログラムを構築するにあたっては、まずはGMP (適正衛生規範)・SSOP(衛生食品作業手順書)を整備し、土台を作り上げていきます。これらによって、衛生的な作業手順を整え、その上でHACCPの7原則12手順に基づく衛生管理手法を導入していきます。これらが終わった後にISO9001 などにも共通する 品質マニュアル を構築していくのです。

GMPとは?

GMP(Good Manufacturing Practice)とは、製造業者および製造販売業者に求められる適正製造規範のことです。原材料の入荷から検品・出荷管理・製品保管など製造・流通の過程で適正な品質管理が行われ、不良品が出ないような規範(ルール)に基づいて一連の業務が行われているかがチェックされています。とりわけ医薬品の製造においては、薬事法に基づくGMP省令を遵守することが定められており、これらは臨床試験を実施する医療機関にも適用されています。

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SSOPとは?

SSOP(Sanitation Standard Operating Procedures)とは、衛生標準作業手順のことです。衛生管理に関する手順を示しており、「いつ、どこで、だれが、何を、どのようにするか」を文書化したものを衛生標準作業手順書と言います。
目的に沿った行動ができるように、具体的に文書化することが必要ですが、現場において解釈の違いが起こらないように図やイラストでも構いません。

また、その実施状況は日常的に記録し、不備があった際には改善方法についても記録することが求められています。
その対象範囲は、機械器具の洗浄殺菌、手指の消毒・殺菌、従事者の健康管理などの日常的な管理となっており、適切に実施することでHACCPが導入しやすい体制をつくることができます。

HACCP(ハサップ)とSQFの違い

NASAが開発した食品衛生管理システムであるHACCPとSQFの最も大きな違いは、SQFにはCCP(重要管理点)だけでなく、CQP(重要品質点)が求められる点です。

SQFプログラムは、「食の安全」だけでなく、「食の品質」についても求められることになるため、HACCPよりも高次の食品衛生管理システムであるといえるでしょう。

また、HACCPは市区町村や企業が認証を与えることがあったとしても、国際的な第三者認証プログラムではありません。つまり、海外への輸出や全国へ幅広く取引先を開拓していく上で、HACCPを導入したからといって、そこまで大きなマーケティング的なメリットは得られないでしょう。

一方でSQFは国際的な規格として第三者による定期的な検査が義務付けられており、1年に1度再登録が行われます。このため、SQF認証を取得することで、「第三者機関が食品の安全と品質を認めた」ということがみなされるため、大きなマーケティング的なメリットがあるといえます。

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CQPとはどのようなもの?

SQFで求められるCQPは、Critical Quality Pointの略称で、食品の品質を維持するために重要な管理点のことを指します。HACCPでもおなじみのCCPは、Critical Control Pointの略で、食品のリスクを低減するために管理すべき重要な製造工程を指します。

CCPは例えば、食品を加工する段階でノロウイルスを取り除くために、「90℃以上の温度で90秒間加熱する」といった管理点のことを言いますが、CQPは品質における管理基準です。CQPは「ここを管理できなければ、食品の品質が著しく低下してしまう」というポイントのことを指します。

いかに食品の安全が確保されていたとしても、食品の味が落ちてしまっては取引先や顧客からのクレームを受けることにもなります。つまり、実際の現場では「安全」なだけでは不十分であり、品質に関しても管理しておく必要があるのです。

SQFはHACCP手法とISO9001(品質)の要素を組み合わせたようなもの

まとめると、SQFはHACCPの衛生管理手法とISO9001のような品質管理システムの要素を組み合わせたようなマネジメントシステムです。SQFでは食品の安全性と同じレベルの品質の維持を求められることになります。

これだけ聞くと、認証取得の敷居は高く感じてしまいますが、マネジメントシステムとは常にPDCAサイクルを回し、改善していくものです。

例えば、食品の製造・加工の際の安全性を高めるためには、原料の検品から製造における工場内での業務を見直すことが必要です。

P(目標設定・計画の作成)の段階で、加工における異物混入や品質不良をなくすことを目標にしたとします。その目標を達成するために、工場の温湿度の設定や衛生管理などのチェックポイントを設けます。

D(行動)の段階では、Pで確定したことを実際に行い、実施状況の記録を取ります。また、改善すべき点や不測の事態が新たに発見される可能性があるため、現場の声を集めることが重要です。

C(分析・評価)の段階では、実施状況の記録や、新たに発見された是正点について分析・評価を行い、対応すべき点についてまとめます。どのように対応していくのかを具体的に決めていくことが必要です。その重要度が高い場合には、異物検出できる検出機を導入するなど、既存の体制を変更していくことも考えられるでしょう。

A(改善)の段階では、Cで決まったことをマニュアルやルールに落とし込み、実務で改善できるようにしていきます。

このように、PDCAサイクルを用いてSQFシステムを構築・運用していくことで、食品の品質や安全性は導入以前に比べて格段に改善されるでしょう。

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SQFはHACCPとISO9001の要素を組み合わせたもの

まとめると、SQFはHACCPの衛生管理手法とISO9001のような品質管理システムの要素を組み合わせたようなマネジメントシステムです。SQFでは食品の安全性と同じレベルの品質の維持を求められることになります。

これだけ聞くと、認証取得の敷居は高く感じてしまいますが、マネジメントシステムとは常にPDCAサイクルを回し、改善していくものです。つまり一度SQFシステムを構築して運用していくことで、食品の品質や安全性は導入以前に比べて格段に改善されていくことになるはずです。

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