HACCPに必要な書類
HACCPを導入するためには「7原則12手順」という12の手順を実施していく必要がありますが、これらを実施するためには適切な文書を揃えていく必要があります。つまり、文書化が必要になるのですが、HACCPの構築で準備する必要がある文書にはどのようなものがあるのでしょうか?
以下では、一つずつチェックしていきましょう。
目次
製品説明書
製品説明書とは、お客様に提供する食品や出荷する製品について情報を整理したものです。製品の名称や原材料、包装を行う場合は容器に使用されている材質が何なのか…といった情報を取りまとめていきます。また、どのような経路をたどり誰によって消費されるのかといったことも製品説明書内に盛り込んでおくと、7原則12手順の手順6「危害要因分析」も行いやすくなります。
詳細に製品についてまとめることは非常に面倒ではありますが、HACCP構築の基礎資料となるものであるため、しっかりと作成していきましょう。
製品説明書に記載する事項
- 製品名
- 商品名や販売している名称等そのまま記載します。
- 製品の種類
- 製品を製造、加工、調理する際に使用する原材料
- 原材料
- 1ロット製造する際に使用する原材料の量
- 使用基準のある添加物とその使用料
- 包材の形態及び材質名の記載
- 製品の規格、特性
- 製品の安全性、保存性に影響するような特性
- 消費期限、賞味期限と保存方法
- 期限表示の設定に期間と保存方法
- 流通時の注意事項
- 製造後、販売店に至るまでの流通時間や温度の規定
- 消費者
- 誰を対象として設計された製品なのか
製造工程一覧図
製造工程一覧図は、原材料の受け入れ、食品の保管、製造加工、出荷提供されるまでの一連の流れを原材料ごとにまとめた一覧図のことを指します。製造工程一覧図では全材料の全工程を順番どおりに書き出していきます。また、ある原材料がある工程にある時にどの区域にあるのか(汚染区域にあるのか、衛生区域にあるのかなど)についても書き出していきましょう。
適宜備考として保管時の温度や時間などについても書き出しておくと、危害要因分析が行いやすくなるためHACCP構築の効率がよくなるでしょう。
製造工程一覧図に記載する事項
- 全原料の全工程
- 区域も定義する(ゾーニング)
- 備考として、温度や時間など
製造工程一覧図は一度作成したからといって完成するわけではありません。HACCPは危害要因を見つけ出し、重要な「工程」を管理する衛生管理手法です。このため、製造工程一覧図が実際に現場の動きとあっているかどうかということを確認する必要があります。
製造工程一覧図は、HACCP構築で最も重要な文書となるため現場の動きと差異があった場合は適宜修正を行っていきましょう。
危害要因リスト
危害要因リストとは、製造工程一覧図や製品説明書を見ながら「食品の安全を脅かす可能性がある」とされる要因をまとめたリストです。
例えば食肉や魚は流通段階や搬入時に食中毒菌に汚染されている可能性もありますし、野菜と魚を一緒に保管してしまっていた場合は交差汚染が発生する可能性もあります。各工程を整理しながら、その工程で起こり得る危害要因を全てリスト化していきましょう。
また、その危害要因を除去するために特に重要な工程(重要管理点)についても記載するようにしましょう。
危害要因リストに記載する事項
- 危害要因が発生する可能性がある工程
- 原材料名
- 予測される危害
- 危害要因の種類
- 危害要因の重大性
- 危害要因判断の根拠
- 危害要因の管理手段
- 重要管理点
管理基準とモニタリング方法
管理基準とは、重要管理点を適切に管理するための基準です。例えば、食中毒菌という危害要因があるとすれば、加熱処理が重要管理点となるわけですが、加熱を行ったからといって食中毒菌を確実に滅菌できるとは限りません。
適切な温度で適切な時間加熱処理を行うことで安全性を確保することができるといえるでしょう。また、管理基準が適切に現場で運用されているかどうかということを監視する必要もあります。モニタリング方法を設定し、一つの文書としてまとめておきましょう。
管理基準・モニタリング方法に記載する事項
- 工程
- 危害要因
- 危害要因の種類
- 発生要因
- 管理手段
- 管理基準
- モニタリング方法
検証プラン実施結果対策書
衛生管理は常に有効な状態を保てるとは限りません。施設の要件の変更や気候の変動によって危害要因も変わってきますし、人員の変更によって現場の状況も変わってきます。
このため、継続的に衛生管理水準を向上させていくためには検証を行う必要があります。この検証の結果や対策を行ったことを記録していくものが検証プラン実施結果対策書です。
検証プラン実施結果対策書に記載する事項
- 検証内容
- 検証担当者
- 検証の実施頻度
- 記録名
モニタリング記録
モニタリング記録は、重要管理点において現場のオペレーションが管理基準から逸脱していないかどうかを確認した結果を記録した文書のことですが、衛生管理の継続的な改善のために、あるいは問題が発生した時に原因を特定する目的でモニタリング結果を記録する必要があります。
また、HACCPではこの記録をどのように保管するのかということについても設定する必要があるため、記録方法と保管方法を設定した上で記録文書を作成するようにしましょう。
モニタリング記録に記載する事項
- モニタリング日時
- 製品名
- 管理基準
- 確認者
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