2020年に義務化開始となったHACCP。グローバル化に伴って日本でも食の安全について改めて考え直す機会が多くなってきました。食品事業者にとって「食の安全」は常にクリティカルな課題でもあります。そんな食品安全衛生をシステマチックに解決するツールの一つとして「食品安全マネジメントシステムFSMS )」という選択肢があります。

今回は、そんな食品安全マネジメントシステムの規格 の種類にはどのようなものがあるのか、またそれと似たようなHACCPの認証にはどのようなものがあるのかということについて解説していきたいと思います。

食品安全マネジメントシステムとHACCPの種類

早速FSMS規格やHACCPの種類についてご紹介していきたいと思いますが、前提として知っておいていただきたいことがあります。――それは、食品安全衛生マネジメントシステムとHACCPは異なるフィールドのものであるということです。

HACCPについては、1990年代から世界中で義務化が開始しているものではありますが、日本ではやや誤解された状態であるため、ここで改めてその違いについておさらいしておきましょう。

まず食品安全マネジメントシステムとは、ある一定のガイドライン(規格)に即して構築されたマネジメントシステムのことを言います。マネジメントシステムとは、簡単に言ってしまえば「組織がある目的を達成するために合理的な決断を下すため、組織の仕組みの枠組み」のことです。ある問題に対して「何が原因なのか、どんなリスクなのか、それは対策すべきものなのか」ということを数値やデータを元に解析し、合理的に対策を行うためのものなのです。食品安全マネジメントシステムは「食品安全」という目的を達成するためにあるマネジメントシステムです。

一方のHACCPは、マネジメントシステムではなく食品の安全を保つための手法のことを指します。多くの食品安全マネジメントシステム規格はこのHACCPに倣った衛生管理を行うことを要求しているため誤解してしまいがちですが、HACCPはあくまで手法であることは認識しておいてください。ちなみに、世の中にはHACCP認証というものもありますが、これはマネジメントシステム認証とは少し毛色の異なるものです。

――では、HACCPとFSMS規格の違いをおさらいできたところで、以下ではFSMS規格の種類やHACCP認証について解説していきましょう。

ISO22000

ISO 22000は、HACCPとISO9001 を組み合わせたような規格と称されることのあるFSMS規格です。国際標準化機構のISOが策定した食品安全マネジメントシステム規格で、他のマネジメントシステム規格と比べて中小企業を対象とした規格となっています。

FSSC22000

FSSC22000はISO22000からさらに要求事項を追加した国際基準のマネジメントシステム認証となっており、とりわけ日本では取得されている数が多いマネジメントシステム認証です。ISO22000よりも取得難易度が高いですが、規格に対する信頼性も厚く、大企業で取得されていることも多いため、取引先からの外部要求によって取得する企業が多いようです。

JFS規格

JFS規格は一般財団法人食品安全マネジメント協会が策定した日本発のFSMS規格です。JFS規格はJFS-A、JFS-B、JFS-Cの3種類に分かれており、それぞれJFS-Aは一般衛生管理~HACCP、JFS-BはISO22000程度、JFS-CはFSSC22000程度の認証規格となっています。

SQF

SQFはオーストラリアで開発された食品の製造過程・製造認証基準のことで、上述のマネジメントシステム認証とは少し毛色が違うものとなっています。――ただ、その考え方はHACCPに基づいたものであり、CCP重要管理点)とともにCQC(重要品質 点)を確実にする必要があります。食品安全だけでなく品質にまで着目している点では、ISO22000やFSSC22000と同レベルの安全基準を持つものであるとも言えます。SQFもJFS規格と同様に3段階の認証レベルがあり、レベル3の認証を取得した場合にはロゴマークの使用が可能となります。

HACCP認証

HACCPの認証については、どれもメジャーなものはなく、様々な団体が認証を発行しているため少しややこしいです。以下では4つの分類に分けてご紹介していきましょう。

-地域HACCP

地方自治体などが認証を発行するHACCP認証です。地方自治体が独自に定めた基準で認証を発行するため、その厳密さにはバラツキがあります。

-業界HACCP

業界HACCPは業界団体が定めたHACCP認証制度のことです。業界によって独自に発行を行っているため、やはり厳密さにはバラツキがあります。

-総合衛生管理製造過程

厚労省による認証でありますが、あくまで厚労省が推進するHACCP義務化の制度の基準を満たす程度のものであるため、「本来であればやっていて当たり前」のものであるため、認証の効果は薄いと考えたほうが良いでしょう。

-民間HACCP

民間HACCPは民間の団体が発行するHACCP認証です。やはり信用力も少なく、知名度も低いため認証の効果は少ないのが現状です。

まとめ

今回はHACCP認証やFSMS認証の種類について解説してきました。上記でご紹介してきたものはあくまで一例であり、世界中にはたくさんの認証制度が存在していますので、ご興味のある方はさらに調べてみても良いかもしれません。

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