HACCP義務化とホテル・旅館が抑えておきたいポイント

投稿日:

ISOプロ担当者

最終更新日: 2019年03月04日

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2020年の6月に施行されることになる改正食品衛生法によって全ての食品関連事業者はHACCPによる衛生管理を行うことが義務化されます。もちろん、食事を提供することになるホテルや旅館業も例外ではなくHACCP義務化の対象となります。

では、ホテル・旅館業はHACCP義務化に向けてどのようなポイントに注意しておけば良いのでしょうか。

HACCPによる衛生管理とは

HACCPによる衛生管理では、原料の入荷からお客様への提供に至るまでの工程を見える化し、危害要因(ハザード)を管理して適切な措置を行うというものです。

例えば、カレーライスを顧客に提供するために「食材を加熱する」という工程があったとして、火が通っていないままお客様に食事を提供してしまわないように「100℃以上で20分以上加熱する」といったような管理基準(CL)を設けることで適切な管理をしようというものです。

工程を一覧にして、重要管理点(CCP)を設定して監視しておくことで食中毒などの事故を未然に防ぐことができる他、万が一事故が発生してしまった場合に「どこに問題があったか」を見直すことができるため原因の究明を迅速に行うことができるため、再発防止のための措置を講じることができるという強みがあります。

さて、以下では一例ではありますが、HACCPによる衛生管理とはどのようなものなのかということについてご紹介していきましょう。

ホテル・旅館事業者が注意しておきたい衛生管理

厚生労働省はHACCP義務化に向けて業態別にHACCPの導入にあたって活用できる手引書を作成しています。この手引書によると、2013年〜2017年に発生したホテル・旅館における食中毒事故の原因は以下の通り。

旅館におけるノロウイルス発生件数
引用:旅館・ホテルにおけるHACCP の考え方を取り入れた衛生管理手引書

また、この中でも特に多いノロウイルスによる食中毒の発生要因は調理従業者からの二次感染によるものが88%を占めるということを公表しています。つまり、ホテル・旅館ではノロウイルスが食品に付着することを防ぐということに重きを置く必要があるということです。

さて、このノロウイルスの付着を「重要管理点(CCP)」とした場合、どのような管理基準を設ければ良いのでしょうか。

工程を洗い出す

HACCPの7原則12手順に基づいた管理を行うためには、まずは食材が入荷してからお客様に提供されるまでの工程を洗い出す必要があります。この工程をまとめたものを工程管理表と言いますが、例えば以下のような工程管理表を作成します。(※ここではかなり工程表を簡略化しています。)

工程番号 工程名 手順
1 受け入れ 食材管理担当が食材の受け入れを行う
2 冷凍保管 食材管理担当者は荷台に乗せて冷凍庫まで運搬を行う
3 整形 食材管理担当者は冷蔵庫から食材を取り出し、整形を行う
4 計量 食材管理担当者は整形した食材を計量器で計量する
5 加熱 食材管理担当者は計量した食材の一部を加熱処理する
6 盛りつけ 食材管理担当者は加熱処理した食材の盛りつけを行う

危害要因を分析する

次に危害要因(ハザード)を分析します。危害要因とは、工程ごとに発生し得る危害のことで、今回はわかりやすく「ノロウイルスの付着」のみに焦点を当てていきますが、実際には様々な危害要因を分析する必要があります。 例えばですが、「計量の時に消毒を行っていないため、ノロウイルスが付着する可能性がある」や「盛りつけの時に手袋を外してしまい、ノロウイルスが付着する」といったあらゆる可能性を考え、それを排除するための管理手段を挙げていきます。

重要管理点を決定する

さて、全ての危害要因に対応していては、業務が煩雑になってしまい余計に混乱を招く可能性があります。このため、HACCPでは重要管理点(CCP)というものを設定します。 例えばノロウイルスであれば、加熱処理などがCCPになります。ノロウイルスは85℃〜90℃以上で90秒加熱することで殺菌が可能です。

管理基準の設定

次に設定したCCPを管理するための管理基準というものを設定します。例えば、「85℃〜90℃以上で90秒加熱する」といったものがCLに当たります。「90秒」のように具体的に数値などを設定しておくことで、CCPが適切に管理されているかを監視することができます。

モニタリングと記録をする

重要管理点を設定したとしても、適切に運用されていなくては意味がありません。このため、HACCPの衛生管理では、定期的にモニタリングを行い、その結果を記録していく必要があります。例えばモニタリングの結果「90秒以上加熱したにも関わらず、規定量以上のノロウイルスが食品に付着していた」場合には管理基準(CL)を見直す必要があります。 このように、PDCAサイクルを回しながら監視し、改善していくことで衛生基準を高めていくことができるところにHACCPの強みはあります。

まとめ

ここまで紹介してきたことがHACCPの衛生管理です。本格的にHACCPによる衛生管理を行うともう少し複雑なことを行うことになりますが、基本的にはCCPを設定し、それを適切に管理し、状況に応じて適切な措置をとるということに変わりはありません。 2020年の6月から始まるHACCPの義務化では取得までが義務化されているわけではありませんが、世界では当たり前になっているHACCPによる衛生管理を導入することは、海外のお客様に「安全だ」と思ってもらうためにも有効な手段ですので、この機会にHACCPの取得も検討してみてはいかがでしょうか?

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