JFS規格とは?HACCPとの関係性についても解説します
HACCPの義務化が決定し、2020年までに食品に関わる全事業者はHACCPによる衛生管理手法を導入する必要が出てきました。「どうせマネジメントシステム を構築するのであれば、マーケティング的なメリットを得られたほうが良い」と考えている事業者の皆さんも多いのではないでしょうか?
そんな場合の認証規格 として選択肢の一つがJFS規格です。今回は、JFS規格とはどのようなもので、HACCPとどのような関係があるのかということについて解説していきましょう。
JFS規格とは
JFS規格とは、JFSM(一般財団法人食品安全マネジメント協会)が策定した食品安全マネジメントシステムに関する規格のことです。規格は日本の食品衛生のノウハウを世界に発信し、日本の食品市場と世界の食品市場を近づける目的で策定されています。また、食品業界の人材育成や日本食品安全レベルの向上も目的としています。
規格は一般衛生管理、HACCPによる衛生管理手法、国際取引でも有効に働く基準の3段階のレベルに分けられており、これらは食品安全マネジメントシステム(FSM)、ハザード 制御(HACCP)、適正製造規範(GMP)の3層構造になっています。
JFS規格は日本のあらゆる食品事業者が取り組みやすいように構成されており、ISOのような世界基準の規格との整合性を確保しているため、ISO22000やSQFのような世界基準の規格に比べて特に日本の中小企業などが取り組みやすくなっています。
JFS規格とHACCP(ハサップ)の関係性
先程も少しご紹介した通り、JFS規格はHACCPの衛生管理手法に基づいた危害要因の低減・除去方法を基礎としています。また、日本国内発の規格とあって、日本政府が進めるHACCPの導入基準という背景についても考慮した上で規格が構築されています。
日本国内では、2020年からHACCPの義務化がされることが法律で決定しましたが、その適用基準に関しては、基準Aと基準B に別れています。
基準Aは主に大規模な食品工場などを対象としたレベルです。基準Aに該当する企業は、HACCPに基づく衛生管理手法の導入が義務化されることになります。
一方の基準Bは中小企業や小規模な飲食店などを対象とした基準で、HACCPの衛生管理手法の中から特に重要であるとされる部分のみの取り組みで良いことになっています。
食品衛生管理システムに関する規格としては、世界基準の規格としてSQFがありますが、SQFはHACCPに基づく衛生管理の実行だけでなく、文書化や品質 マネジメントシステムの導入が求められることになるため、中小事業者にとっては少し敷居の高い規格になっています。
一方のJFS規格は小規模事業者であっても比較的取り組みやすい規格構成となっているのです。
HACCPの導入をすればJFS認証を取得できるのか?
では、義務化されることが決定しているHACCPの導入を行えば、JFS規格の認証を取得することができるようになるのでしょうか? 答えはNOです。
特に基準BのHACCP導入だけでは、JFS規格の認証を取得するには不十分だと言えるでしょう。なぜならJFS規格ではCCP (重要管理点)の設定と管理以外にも様々な管理が求められます。
例えば、JFSMの公式ページからダウンロードすることができるJFS規格の内部監査用のチェックリストには、以下のような項目があります。
経営者の責任
経営者は、指示・報告・相談の連絡体制を構築しておかなければならない。
経営者は、食品安全管理に責任を持つ者を決めなければならない。
重大事故管理
事故対応マニュアルを策定し、事故が起きた場合にはこれを実施し、常に有効であるよう維持しなければならない。このマニュアルには、必要に応じて、製品の撤去や回収(リコール)の方法も記述する。事故対応マニュアルに基づき、組織が供給する製品について少なくとも年1回テストしなければならない。
※ 食品安全に関わる問題が生じた時に問題を拡大させないための適切な対応、管理を行うためのマニュアル。
フローダイアグラムの作成
フローダイアグラム(工程図。工程の全てのステップを記述するもの。)を作図しなければならない。
こういった基準は基準Bで求められるレベルではありません。このため、政府が求めるHACCPによる衛生管理を導入したからといってJFS規格の認証を取得できるわけではないのです。
逆に、JFS規格の認証を取得することができれば、政府が求めるHACCPによる衛生管理の基準を満たすことができるといえるでしょう。
さらに詳しい情報は、JFSMの公式サイトをチェックしてみてください。
https://www.jfsm.or.jp/scheme/documents/
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