日本でも大手企業の食中毒が起こったことがあり、全国的にも報道された事件となりましたが、まったく食品の安全・安心について配慮していなかった訳ではありません。日本ではHACCPを元にした総合衛生管理 製造過程を導入し、食品の安全と安心について守っていました。

HACCPとISO22000とは

HACCPとは

HACCPとは
総合衛生管理製造過程 の元になっているHACCPとは、食品の製造から流通の過程において、ハザード分析を行った上で重要管理点 を特定するシステムのことです。ハザード分析では、各食品製造業が持つ工場などでどのようなハザード(人間に起こり得る危険性)が起こるのか分析し、そのうえで12の手順を踏まえながら重要管理点を把握していきます。
その12の手順にはHACCPチームの編成や製品製説明、危害の分析、重要管理点の設定や 管理基準 の設定、発生しうる逸脱に対する 是正処置 の設定などが含まれているのです。これらの基準はすべて守ることが重要ではなく、自社においてどの危険を管理する必要があるのかを想定し、そのうえで重要管理ポイントを見定めて管理するための対策を打ち出していきます。
HACCPでは、事前にハザードを分析して予防先を打ち出すので、食の安全に対しては非常に有効なシステムと言えます。しかし、HACCPでは食の製造部分における安全面に考慮しているにとどまり、食の 品質 まではできないという弱点がありました。そこで、食の品質管理まで考えることができる ISO 22000の導入が日本でも進んでいます。

ISO22000とは

ISO22000とは、HACCPとISO9001 の2つを組み合わせたできた、食の安全に関する国際標準規格 のことです。HACCPと違い、食におけるリスクを予防するだけに留まらず、品質管理マネジメントを加えることで食の安全を守ることになります。
HACCPとISO22000では、食の安全を守るための目標設定と共に組織内外への情報提供、緊急時の対応策、人材教育、実際にマネジメントを行ったとわかる記録などを行うことになります。これらのマネジメントを通すことで、食品製造業の会社は自社で扱う食品の管理方法を根っこから改善することにつながるのです。それにより、会社全体で商品を管理する意識を高めると共に、安全だけでなく品質も守ることになります。

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HACCPやISO22000を導入することで得られる効果

HACCPやISO22000を導入することで期待できる1番のメリットは、消費者などに自社が提供する食品の安全性をアピールできる点です。ISO22000は自社で食品管理に関するマネジメント事項や食品管理に関する文書を作り上げ、それをISOの認可を審査する機関に提出して認証を得ることになります。各企業が勝手に提示できるものではないので、信頼度は高いものになっています。
また、消費者だけでなく取引先の企業や下請けの会社など、各会社からの信頼度についても確かなものを得られることが可能です。取引先の会社としても、食品衛星について事前に管理が行き届いている会社とお付き合いしたいものです。ISOを取得しておくことで、営業などにおいて他社よりも有利になることがあります。
ISOの認証を受けることで社会的信頼を得られるのは、非常に大きなメリットであり効果になってきます。しかし、食品の品質管理や衛生面をしっかり考えることで、企業として足りない部分を改善することにも役立つのです。たとえば、食品の品質管理や安全面を考えるとき、ハザード分析を行えばマニュアルの不備や不徹底により人材育成に問題があるとわかることがあります。他にも、製造ラインにおいて決定的なミスが発生するなど機器の見直しが判明することもあるのです。
このように、食品の品質管理や衛生面をISOから見直すことで、会社として徹底できていなかった点について見えてきます。自社に足りなかった部分をマネジメントすることで、品質管理を行うと同時に会社の成長を促せるのが大きな効果と言えるでしょう。

食品製造業が考えるべきISO22000

ISO22000を導入する場合は、さまざまなメリットが考えられます。特に、食品製造業において社員の品質管理や安全性に対する意識の共有は、今後非常に重要なことになると共に課題とも言えるでしょう。
今では工場や職場にやってくる人は、正社員だけでなくパートやアルバイトの人も増えつつあります。正社員にたいしては厳しくルールを迫ることができても、パートやアルバイトの人では仕事をする日数が短く、なかなか工場で生産する食品において品質や安全性に関する重要性が行き渡らない危険性も。
こうした危険性を避けるためにも、ISO22000などを通してわかりやすいルールを共有していくことが重要になってきます。また、社員と同時に会社全体の品質を上げるためにも、バイトの人たちにもきちんとルールを共有してもらうような努力を経営陣がしていくことも必要です。
ISOが求めるマネジメント要項の中には、内部コミュニケーションも含まれています。自社で生産する食品の品質や安全を守るためには、まずは社内改革が必要であることを裏付けている項目とも言えるでしょう。

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