• HACCPとは、食の安全を守る衛生管理手法のこと
  • HACCPは危害要因分析(HA)と重要管理点(CCP)を軸とした考え方によってできている

2018年の6月に全ての食品関連事業者に導入が義務付けられたHACCP。 今回は、HACCPとは一体何なのか?初めての方でも分かるように解説していきたいと思います。

HACCP(ハサップ)とは

HACCPとは
HACCPとは、食の安全を脅かす様々な危害要因を除去または低減するための、衛生管理の手法です。Hazard Analysis Critical Control Pointの頭文字をとったもので、これは直訳すると「危害分析重要管理点 」となります。

この衛生管理手法の大きな特徴は、食の安全を保つ上で特に重要な管理点を製造工程の中に発見し、食品危害の要因をそこで除去または低減するために必要な管理基準 を設定して、この基準に基づいてしっかり管理するという点にあります。この手法は国際規格 である食品安全マネジメントシステムの規格の中心核であり、世界各国で法制化による義務化が進んでいて、実は日本は、先進国の中では義務化が一番遅かったのです。

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HACCPの衛生管理手法を分かりやすく

CCPとは
さて、これだけでは何のことかさっぱり分からない方もいらっしゃると思います。以下では、HACCPの衛生管理手法が具体的にどのようなものなのかということについて、具体例を出しながら分かりやすく解説していきます。なお、ここでは基本的なHACCPの考え方を理解していただくために、細かい作業手順や管理の方法については省略しておりますので、以下で紹介することをすれば「HACCPを導入した」といえるわけではありませんのでご注意ください。

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例えば、カレーライスを提供する飲食店の場合で考えてみましょう。

危害要因を分析する

冒頭でもご紹介させていただいた通り、HACCPのHAは危害要因の分析です。それぞれ、

  • Hazard:危害要因
  • Analysis:分析

という意味を持つ英単語です。これはつまり、食品の衛生上危険なものを分析しましょうということなのです。

例えば、カレーライスをお客様に提供するまでには、以下のような危害要因があると考えられます。

  • ガラス片が混入する
  • じゃがいもの芽が入ってしまう
  • 食中毒ウイルスが混入する
  • 食中毒菌が混入する

こういった危害を、搬入し、保存し、調理し、お客様に提供し、さらにお客様の口に入るまでの間にどのような危害があるかを予め予測して管理していくのです。

危害要因を取り除く方法を検討する

次に危害要因を分析できたら、その危害を取り除く方法を検討します。例えば以下のようなことをすれば危害要因は除去することができるでしょう。

  • じゃがいもの芽は切り落とす
  • ガラス片が入らないように調理場ではガラス製品は使わず整理整頓する
  • ウイルスを殺すために加熱処理を行う
  • 食材に触れるときには殺菌、消毒を行う

これらは管理点と呼ばれるもので、意味はそのまま「管理すべき工程」です。つまり、食品の安全を脅かす危害要因を除去または低減するために管理すべき工程やポイントのことを指します。

重要管理点を決定する

さて、食の安全を脅かす危害は多数ありますし、その危害の分だけ管理点も存在します。——しかし、それらを全てコントロールできるほど日々の業務に余裕はないでしょう。例えば、ガラス片が入っていないかどうかを逐一確認して…みたいなことはできないはずです。

もちろん、それらを管理できるに越したことはないのですが、HACCPでは、上述の管理点の中から特に重要であるとされる管理点(CCP)を決定します。このCCPは、「これを守らなければ著しく衛生上の問題が生じる」というものです。

管理基準を決定する

次に、危害を取り除く方法をしっかり実行するために、管理基準というものを決定していきます。管理基準はHACCPではCL(Critical Limit)許容限界と呼ばれています。

管理基準は、「逸脱すると製品の安全性が確保できなくなる値」のことを指します。この値は科学的で迅速なモニタリングが可能で、具体的な基準を設定するのが望ましいとされています。

例えば、ノロウイルスを死滅させるためには、90度で90秒間の加熱を行えば良いと言われています。また、食品に付着する細菌も熱に弱いものが多く、加熱を行えばほとんど殺菌することができると言われています。

つまり、「90度で90秒加熱する」という管理基準ということです。

記録し、改善する

HACCPでは、上記のような衛生管理を行いながら、「管理基準が満たされているか」ということを常時モニタリングし、記録していく必要があります。こうすることで、衛生上の問題が発生したときに、「何が問題であったか」「何を是正すればよいか」ということをあとから振り返ることができるのです。

この振り返りをもとに、衛生管理を強化していく…これがHACCPによる衛生管理手法のPDCAです。

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