HACCPを「食品衛生管理 の国際標準化に関する検討会」にて制度化することが検討されています。具体的にどのような規制になるのかと心配する声もあがっています。国際標準HACCPを日本国内で制度化するにせよ、輸出を前提としない食品、大量生産を行っていない生産者なども適用範囲 になるのでしょうか。気になる事業者の範囲とともに、国際標準HACCPの日本における制度化について解説します。

食品衛生管理の国際基準化

厚生労働省では食品衛生管理の国際標準であるHACCPの義務化を検討しています。「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」を開催し、食品関連業者に報告案を通達するとともに、一般からのパブリックコメントなどの募集も行い、最終的には2018年の通常国会で改正案を提出できるようにスケジュールが組まれています。

日本国内でのHACCPの導入は費用面やメリットが見えにくいという意見も強く、特に中小企業では導入があまり進んでいません。平成26年度の農林水産省調査によれば、大手事業者の9割が導入している一方、中小事業者はおよそ34%という低いレベルにとどまっています。

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一般衛生管理の重要性

HACCPなどの国際標準で一般衛生管理を行い食の安全を守ることは非常に重要です。現在は様々な加工食品が一般家庭の食卓にならぶ時代です。製造加工の段階で気概要因を確実に取り除くことが求められています。危険要因とは健康に悪影響をもたらす可能性のある物質のことで、以下のようなものに注意しなくてはいけません。

・生物学的要因
細菌やウイルスなどの食中毒微生物、寄生虫、腐敗微生物

・化学的要因
カビ、ヒスタミン、茸毒、魚介毒、食物アレルゲン、過剰な食品添加物、残留農薬、動物用医薬品

・物理的要因
金属片、ガラス、石

なかでも食中毒の9割は細菌やウイルスが原因になっています。食中毒を引き起こしてしまうと人的被害も大きく、ニュースにも取り上げられ、企業の社会的信用を著しく傷つけてしまうのでとくに注意しなくてはいけません。

以上のような危険要因を食品の製造過程から除去することがHACCPのおもな目的です。具体的には、まず安全な原材料を確保し、それらが工場施設内で汚染されないように配慮します。施設・設備・器具の洗浄・殺菌し、食品取扱者の手洗いの徹底などを行います。低温管理によって食中毒菌の増殖を防止し、装置のメンテナンスもつねに心がけます。以上の作業手順を文書化して実行するのがHACCPなのです。

このようにHACCPの内容をよく調べてみると、従来の衛生管理とあまり変わらないことがわかります。特別に高度で難しいことを要求しているのではないのです。ただし、たとえ内容は似ていても、従来の衛生管理は経験やカンに頼った漠然としたものでした。一方、HACCPによる衛生管理は、安全な食品を製造するための手順がしっかりと整理されています。HACCPで尊守すべき手順は整理、整頓、清掃、清潔、習慣づけの5Sに洗浄と殺菌プラスした7Sと呼ばれる7つの原則を柱とし、大変わかりやすくなっていることも特徴です。過去データから気概要因と管理手段、管理基準などを明確化した科学的根拠に基づいた衛生管理ということもできるでしょう。

対象となる事業者の範囲

厚生労働省はHACCPを製造・調理・加工・販売のすべての業者に対して行う予定にしています。HACCPは食の安全を管理してくれるものではありますが、導入には時間もコストもかかることは否めません。大企業なら専用スタッフを任命することも負担ではないでしょう。しかし、中小企業では即戦力でもある貴重なスタッフの手をわずらわせることにもなりかねず、それによる損失がいつ回復できるのか不安なところでもあるでしょう。そういった動きを受けて、中小企業向けに一部の要件を緩和しようという働きも見られます。

いずれにせよ、たとえ中小企業でも義務化の前にHACCPを導入することを強くおすすめします。他にさきがけてHACCPを導入していれば「食の安全への関心が高い企業」とアピールすることも可能です。より多くの企業が参入してくる前に取得しておいてこそ、メリットがあるというものです。たとえば、最近ではHACCP取得を入札条件としている公共事業もあります。そういった大きな仕事を得るためにもHACCPは有効活用することもできるのです。その他、社内での食品の安全管理方法を見直すきっかけにもできるのではないでしょうか。義務化を待つ前に、たとえ中小企業でも導入しておくことをおすすめするHACCPなのです。

いかがでしたでしょうか。「食の安全」に関する問題がクローズアップされて久しい昨今、消費者の間でも安全性を求めるニーズが急速に高まっています。そういった需要を満たすためにもHACCPを導入することによって、より安全な食品製造を目指してみてはいかがでしょうか。企業のさらなる発展を求めている食品製造業者ならば、義務化される前に自主的に導入をはかってこそ他社に差をつけることもできるのではないでしょうか。

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