【かんたん解説】基準A?基準B?~HACCP導入基準と対象業種~

監修残田康平
著者:ISOプロ担当者
投稿日:
更新日:2020年05月25日

  • HACCP義務化の対象は飲食店なども含む全食品関連事業者
  • 国際基準を順守したHACCPを行う「基準A」の対象は大企業やと畜場、食肉解体施設等
  • 可能な限りHACCPの考え方を取り入れて危険因子と衛生管理を行う「基準B」の対象は一般的な食品業者
  • 2018年6月の国会で2020年の6月からHACCPの制度化の開始が決定
  • HACCPは食品衛生管理の国際基準であり、国際取引に必須となりつつある

2020年6月に義務化が開始するHACCP。猶予期間を含めても2021年の6月までにはHACCPの対応が完全に制度化されることになるのですから、食品に関わる事業者の方であれば「そろそろ対応をしないと…」と考えているのではないでしょうか?

ですが、食品と一言で言ってもさまざまな業種があり、どの業種がHACCPを意識しないといけないのかわかりにくい部分があるかと思います。HACCPの導入基準は2種類あり、「基準A(HACCPに基づく衛生管理 )」、「 基準B (HACCPの考え方を取り入れた衛生管理)」という感じに分かれています。

今回は、HACCP導入の対象業種という形でどのような業種がHACCP対象なのか簡単に説明していきたいと思います。

規模によって異なるHACCP(ハサップ)の義務化

2018年の6月に衆議院にて可決した改正食品衛生法によって2020年6月からHACCPによる衛生管理が全ての食品関連事業者に義務付けられることが決定しました。しかし、HACCPに基づく衛生管理を行うためにはそれなりの労力というものが必要になってきます。

HACCPは7原則12手順というガイドラインに則って衛生管理を行っていくものですが、1つ目の手順で「HACCPチームの編成」という項目があります。——何が言いたいかと言うと、個人経営のお店などでは、そもそもチームを構築できなかったりする可能性だってあるわけです。

こういった事業者のことも考慮して、政府は2020年から開始するHACCPの義務化を2つのレベルに分け、「規模に応じてどれくらいのことをしなければならないのか」ということを定めるという措置を取りました。その2つのレベルというのが、基準Aと基準Bです。

HACCPに基づく衛生管理(基準A)とは

基準Aには、従業員数50名以上の大規模な事業者が該当します。

基準Aに該当する事業者は、HACCPの7原則12手順に従って衛生管理を構築することが義務付けられることになります。要するに、HACCPのガイドライン全てを踏襲する必要があるということです。

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(基準B)とは

基準Bには基準Aに該当しない食品関連の事業者、つまり従業員数が50名未満の事業者が対象となります。これは家族経営の飲食店や個人事業として営んでいる場合も例外ではありません。

基準Bに該当する事業者はHACCPの7原則12手順全てを踏襲する必要はなく、HACCPの考え方の一部を取り入れて衛生管理を行うことが義務付けられます。この「一部」というのは、曖昧な表現ですが、具体的に厚生労働省はパンフレットで以下のような記述を行っています。

それぞれの事業者が使用する原材料、製造方法に応じて、食中毒菌汚染、異物混入等の危害要因を把握し、それらを食品衛生上問題のないレベルにまで除去又は低減するために、P.24『8.HACCPの考え方に基づく衛生管理に関する事例』の4つのモデルと自社の製造工程を比較して、それを参考・準拠して管理計画を構築し、実行することにより、我が国の食品の安全性の更なる向上を図ることが必要である。
食品添加物製造におけるHACCP 導入の手引書(基準B)

つまりHACCPの前提条件となる一般衛生管理に加えて、危害要因分析重要管理点CCP )を決定し管理する計画を策定し、それを実行する必要が出てくるのです。詳しくは厚生労働省のパンフレットを参照してください。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000193705.pdf

HACCP義務化にあたっての注意点

以下では、HACCP義務化に際していくつか注意しておくべき点がありますので、それをご紹介していきましょう。

HACCP対応の○○というのは存在しない

初めに、近年食品関連の事業者に多いHACCP義務化の便乗商法です。HACCPは管理手法であって、認証制度でもありません。例えば「HACCP対応のまな板」なんてものは存在しないのです。

確かに細菌が付着しやすいまな板を使っていれば、それ自体が危害要因となるため対策の必要が出てくるかもしれませんが、「これを使えばHACCP制度化に対応できる」という製品はありませんので注意しましょう。

認証取得の必要はない

今回の制度化はHACCPの導入が義務化されるだけであって、製造過程や工程、マネジメントシステムの認証を取得する必要はありません。「うちではちゃんとHACCPを実行していますよ」ということが、文書や計画書によって証明することができればそれで問題ないのです。

まとめ

今回は、HACCPの導入基準、基準Aと基準Bについてご紹介してきました。遅くとも2021年の6月までにはHACCPを導入しておく必要がありますし、HACCPは一朝一夕で構築できるものではないため、早めの対策をしておくように心がけましょう。

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この記事の監修者情報
残田康平 ( ISOコンサルタント )
約5年間ISOコンサルティング会社で累計200社以上のISO構築に携わってきました。現在はISOプロのISOコンサルタントとして活動中。企業の得意・不得意を引き出しつつ、自社にピッタリなISOを構築することが得意です。これからISOに携わる人々にわかりやすい言葉で情報発信をしています。
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