HACCPの義務化に向けて一般衛生管理プログラムを改めて整理するという事業者も多いのではないでしょうか。一般衛生管理プログラムはHACCPを導入する上で前提条件となる衛生管理ですが、意外にも見落としがちな部分も多いです。しかし、HACCPの前提条件——つまり土台となる一般衛生管理が適切に行われていなければ、そのHACCPも不安定なシステムになってしまうかもしれません。

世界的にも食品関連事業者に義務化されているHACCPの衛生管理手法をせっかく導入するのであれば、食品のリスクを低減できる効率的なシステムにしたほうが良いですよね? ということで、ISO プロでは一般衛生管理プログラムについても解説していきたいと思います。

今回は、一般衛生管理の7Sについてチェックしていきましょう。

7Sとは?

5S活動と7S活動
7Sとは、整理(Seiri)・整頓(Seiton)・清掃(Seisou)・清潔(Seiketsu)・躾(Shitsuke)のアルファベットの頭文字をとった衛生管理でも昔から言われている5Sに「殺菌(Sakkin)」と「洗浄(Senjou)」の2Sを付け加えた衛生管理の用語のことです。

一般衛生管理が適正に運用されるためには、この7Sが確実に実施されている状態であることが求められます。——というのも、食品の安全を保つためには、食品と接触する可能性のあるあらゆる設備や人、モノが「清潔」であることが求められます。しかし、その現場では様々な不確定要素というものが存在しており、確実に清潔を保つのは非常に難しいです。

例えば食品に髪が入らないように帽子の装着を従業員に義務付けたとしても、その従業員が監視していないところで帽子を外したり、帽子から髪がはみだしていたりしたら髪の混入を100%防ぐことができなくなってしまいます。

では、7Sの確実な実施を行うためにはどうすれば良いのでしょうか?

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7Sは100%ではなく100%に近い状態を目指す

7Sの実行を確実なものとするためには、あらゆる起こりうるインシデントを予測し、それに関する対応策を講じる必要があります。——しかし、そのような細かい工程や起こりうる可能性が低い事象にまで対応していては、キリがありません。このため、7Sは100%実行する方法を模索するのではなく、100%に近い状態というものを目指すのが良いでしょう。

例えば「清潔」という状態を保持するためには、現場の備品や食品は整理整頓された状態が望ましいでしょう。整理整頓されている状態であれば、清掃もしやすいでしょうし、予測不可能なインシデントが発生する可能性も低減することができるはずです。

また、「殺菌」や「洗浄」のような人的資源の行動をトリガーとして実行される要素には、教育・訓練(躾)が必要になります。従業員が殺菌をしないことによってどのようなリスクが起こり得るのかということを十分に理解し、その重要性を認識してはじめて習慣となります。

7Sの落とし穴

7Sの実行を確実にするためには、もう一つ注意しておかなくてはならない点があります。——それは、人的資源は機械のように正確に動くわけではないという点です。食品の安全衛生ということを人的資源(従業員)に理解してもらい、それを実行してもらうためには少しばかり工夫が必要かもしれません。

一般衛生管理プログラムの実行がうまくいっていない組織は、「5Sを徹底する」といったような抽象的な喚起を行い、その後のことは現場の裁量にまかせてしまう傾向にあります。マネジメント層がこのような「投げやり感」を持っていては、現場の人間はどう従って良いかわからなくなってしまうのです。

こういったことを回避するためには、現場の意見を取り入れ、清潔という状態を得るためにどのようなシステムが最適かということを熟慮する必要があります。その最適なシステムというのは、おそらく「掃除を徹底する」などという曖昧なものでなく、より具体的なものであるはずです。つまり、5W1Hを明確にした上で現場の担当者が実行しやすいシステムを構築してあげる必要があるのです。

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まとめ

今回は、一般衛生管理プログラムの7Sについてご紹介してきました。7S活動というのは、ほとんどの組織では人的資源が絡んでくる要素だと思いますので、「5W1Hを意識したルール」を意識して構築すると良いでしょう。

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