2020年に全食品関連事業者に対して義務化されることになったHACCPですが、国内の食品関連事業者の間でHACCPの導入は進んでいるのでしょうか?
今回は、2019年10月時点でのHACCP導入の進捗状況について調査してみましたので、チェックしていきましょう。

HACCP(ハサップ)義務化とは

HACCP義務化とは、2018年6月に議決された改正食品絵衛生法で取り込まれた「HACCPによる衛生管理の義務化」のことです。2020年には全食品事業者でHACCPによる衛生管理に取り組むことが義務化されることになり、2021年まで1年間の猶予期間が設けられているものの、2021年になっても取り組みを行っていなければ少なくとも保健所から指摘が入ることになります。

これは、食肉加工事業者のような不手際があった際に広範囲に渡って危害が及ぶような事業者だけでなく、飲食店のような事業者も共通です。

現時点では特に導入しないことによる罰則は決定していませんが、2020年になっても導入が進まない場合は保健所や市区町村の判断で条例が追加され、罰則が策定されることになってしまうかもしれません。

累計ダウンロード5,000件突破!HACCP丸わかり説明資料

HACCPの導入はどこまで進んでいる?

日本政策金融公庫の調査によると、2019年に7月1日時点で食品製造業のHACCP導入状況は、以下のような結果になっています。

導入済み 42.0%
導入途中 20.3%
導入検討中 20.7%
導入未定、未実施 17.0%

2020年に義務化を控えているHACCPですが、閣議決定がされた2018年6月から1年が経過した時点でも導入済みの企業が半数に達していない状態となっています。ただし、2019年時点から導入企業は増加しているようです。

2019年 2020年 増減
導入済み 33.4% 42.0% 8.6%増
導入途中 17.1% 20.3% 3.2%増
導入検討中 32.4% 20.7% 11.7%減
導入未定 17.1% 17.0% 0.1%減

法律で義務化されただけあって、2019年と比較してHACCP導入企業は増加しましたが、2020年の義務化開始までの間に合わない企業が出てくることも懸念される進捗度合いです。

特に今回大きく数値が動いたのは「導入検討中」の企業であり、2019年時点でHACCPの導入を検討していた企業が1年間で導入を開始したというモデルケースが浮かび上がってきます。

一方で「導入未定」と回答した企業に関しては微減となっているため、「そもそもHACCPの義務化に関して情報をキャッチできていない」という可能性が高いことがわかります。

多くの食品事業者はHACCPの義務化を知らない?

日本における食品業界は個人事業や小規模な事業が多く、現時点では情報をキャッチできておらず義務化に無関心である可能性が高いです。

ある飲食店を対象とした調査ではHACCP義務化に向けて対策を行っているという回答をした飲食店は20%程度にとどまっており、対策の時期も未定であると回答した店舗は30%程度にもなっています。

また、「HACCPの義務化について知っているか」ということを食品関連事業者に対して行った調査では、過半数が「知らなかった」と回答しています。

今回の調査で「導入未定」と回答した企業も、こういった中小規模の食品関連事業者が多く、HACCP導入の遅延の原因になっている可能性が考えられます。

累計ダウンロード5,000件突破!HACCP丸わかり説明資料

HACCPの導入には時間がかかるのか?

しかし、HACCPの義務化とは言ってもそれほど難易度の高いものではありません。大規模な食品加工事業者などは一般衛生管理のような前提条件プログラムの見直しから図る必要も考えられますが、小規模な飲食店や小売店の場合はすぐにでも実践することができる「基準B」と呼ばれるものに適合すれば良いのです。

基準Bとは

基準Bとは、HACCP義務化にあたって中小規模の食品関連事業者を対象として適用される、柔軟な衛生管理システムのことです。

厚生労働省によると、基準Bの対象となる事業者は以下のようなHACCPの導入が求められます。

一般衛生管理を基本として、業界団体の手引書等を参考にしながら必要に応じて重要管理点を設けて管理することを可能とし、その他についても弾力的な運用を可能とする。

また、基準Bの対象となるのは、以下のような企業であるとしています

  • 小規模事業者
  • 当該店舗での小売販売のみを目的とした製造・加工・調理事業者
  • 提供する食品の種類が多く、変更頻度が頻繁な業種
  • 一般衛生管理の管理で対応が可能な業種

この基準Bに該当する場合は、7原則12手順を徹底遵守するわけではなく、柔軟なHACCPの導入が可能であるため短期間でHACCPの実装ができるでしょう。

まとめ

2019年7月時点でHACCPの導入はそれほど進んでいませんが、導入が進んでいないほとんどの企業は飲食店などの「すぐにでもHACCPを導入しやすい企業」であるため、2020年にはある程度義務化が進んだ状態となるでしょう。

しかし、2020年から義務化が始まるわけですから、早め早めに準備をしておく必要があることには変わりはないことは念頭においておくと良いでしょう。

累計ダウンロード5,000件突破!HACCP丸わかり説明資料
  • 無料資料 | HACCP導入 徹底解説
  • 『HACCPを網羅的に分かりやすく』をコンセプトに、食品安全の規格に精通したISOコンサルタント監修のもとHACCPについて図解などを交え詳細に解説しています。分かりやすいというお声も多くいただいていますので、ぜひ御社でご活用ください。
  • 必須ご担当者様名
  • 必須電話番号
  • 任意会社名
  • 任意メールアドレス
  • 必須個人情報の取り扱い
    (個人情報保護方針を読む)

ISOプロでは御社に合わせたHACCP・ISO22000取得・運用支援を実施中

ISOプロではHACCP、ISO22000、FSSC22000、JFSなどの各種食品安全規格の認証取得から運用まで幅広くサポートしております。

また、マニュアル作成など御社に合わせたムダのない運用を心がけており、既に認証を取得しているお客様においてもご提案しております。ぜひご相談ください。

HACCP、最短3か月で作業工数ほぼ0実現!HACCP導入・取得運用完全サポートならISOプロ