ISO22000の取得企業数は?取得した有名企業や取得が多い業種一覧
- ISO22000はフードチェーンに関わるすべての業種が取得可能
- ISO22000の取得により、消費者や取引先からの信頼獲得につながる
食の安全は、私たち人間が生きるうえで確保されなければならない重要な要素です。そのため、食品に関わる企業の多くは安全性を高めるために衛生管理を実施しています。
そうした管理における第三者認証 のひとつにISO 22000があります。ISO22000とは、フードチェーン全体における食品安全を守るための国際規格 です。
名前だけは知っているという方も多いかもしれませんが、実際に日本においてどのような企業が取得しているのでしょうか。
そこで、この記事ではISO22000の取得企業数や取得している有名企業、実際の取得事例などを紹介します。
目次
ISO22000の取得企業数・取得有名企業一覧
ISO22000の認証取得企業数・取得有名企業一覧を紹介します。
取得企業数
ISO22000を取得している認証組織数は、公益財団法人「日本適合性認定協会」のホームページ から検索できます。2024年1月13日現在では、1,296件がISO22000を取得しています。
一見、取得企業数が多いのか少ないのかわからないという方もいるかもしれません。しかし、ISO本部の2022年の調査結果によると、日本の取得件数は中国、インドについで世界3位です。日本の企業は、食品安全を重視している企業が多いことがわかります。
取得有名企業
有名企業の多くも、ISO22000を取得しています。以下に、ISO22000を取得している有名企業の一部と食品安全に関する取り組みを紹介します。
アサヒビール株式会社 生産本部
アサヒビール株式会社の生産本部がISO22000を取得。また、各工場では製造している商品に合わせてFSSC22000や健康補助食品GMPなどの認証規格を取得しています。
食品安全に関する取り組みの一つには、新商品の開発時のリスク管理が挙げられます。原料の安全性や食品安全に関連する法規への適合、安定した品質で製造が可能かなどのリスクを徹底的に分析・評価。各部門が連携することで、食品リスクの排除に取り組んでいます。
カルビー株式会社 研究開発本部 生産部など
カルビー株式会社では、研究開発本部や生産本部の各工場などでISO22000を取得。また、カルビーグループ国内工場13工場ではFSSC22000を取得しています。
食品安全に関する取り組みの一つには、徹底した異物混入防止対策があります。具体的にはX線検査装置や金属検出器の設置、製造現場でのモニタリングカメラの導入などを実施しています。
キユーピー株式会社 品質保証本部など
キユーピー株式会社では、品質保証本部や生産本部などでISO22000を取得。また、グループ全生産拠点でGFSI 認証(食品安全に関する国際的な認証)を取得しています。
食品安全に関する主な取り組みの一つには、食の安全評価として「食品安全科学センター」という部門を設置。原料や商品の安全性を調べるために、残留農薬や動物用医薬などの定期検査を実施しています。
ハウス食品株式会社 各工場
ハウス食品株式会社では、各グループ会社や各工場でISO22000やFSSC22000、ISO9001などの認証規格を取得しています。
食品安全に関する主な取り組みの一つとして、製造工場のセキュリティ管理やフードディフェンスの取り組みを行っています。工場では24時間監視することで、入退出者をすべて管理。また、従業員は静脈認証によるセキュリティチェックを行うことで、登録されていない人の入場を防ぎます。
ISO22000を取得すべき業種
ISO22000は、食品製造業者だけでなくフードチェーンに関わるすべての組織が対象です。そのため、作物生産者や一時食品生産者、食品の物流・保管業者、食品販売をしている小売業者・飲食店、食品の包装材料といった食品関連業種などの業種も取得可能です。
そのうち、ISO22000を取得すべき業種はやはり食品製造業者です。取得している組織の中でも、最も多いカテゴリが食品製造です。2024年1月13日現在では1,296件中1,176件が食品製造となっています。
しかし、その他のカテゴリについても取得している企業もあります。まだあまり取得が進んでいない業種で取得することは、競合他社との差別化につながるでしょう。自社の経営に必要性がある場合には、取得を検討しましょう。
ISO22000の取得メリット
多くの企業が取得しているISO22000ではありますが、取得することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、多くの取得企業が実感しているメリットを解説します。
食品安全リスクの低減
ISO22000を取得するには、国際的な基準を満たすための要求事項に沿ったマネジメントシステム を構築・運用しなければなりません。
自社の食品管理や衛生管理を見直し、リスクアセスメントを実施するため、これまで表面化していなかった課題にも対応できる仕組みをつくれるでしょう。
取引先や消費者から信頼を得られる
ISO22000は、世界的な基準となる第三者認証です。「ISO22000を取得している=世界的な基準を満たす体制が構築・運用できている」ことの証明になります。
そのため、取引先や消費者から自社の商品・サービスに対する信頼を得られるでしょう。
新規取引の獲得
ISO22000の取得が取引条件になっていたり、取引に影響を与えたりすることも多くあります。特に、国際的な取引の場合には、スムーズなやり取りが可能になるでしょう。
そのため、ISO22000の取得が新規顧客の獲得につながる可能性もあるのです。
従業員の意識改革
ISO22000を取得し、その後も有効に機能させるには従業員の意識が非常に大切です。ISO22000の要求事項の中には、トップマネジメントの在り方や従業員の教育についても記載されています。
要求事項に沿った取り組みを実施していく過程で、従業員の食品安全管理における意識も向上させられるでしょう。
ISO22000を取得した実際の事例
それでは、ISO22000を実際に取得した企業はどのようなメリットを得られたのでしょうか。最後に、ISO22000を取得した事例を解説します。
株式会社ヒロプラス
株式会社ヒロプラスは、1997年に創業した製造業の会社です。もともと、金属製缶パーツの全国1位のシェアを誇る株式会社の樹脂部門でした。規模拡大のために分社化が決まり、創業されました。
そして、最近では容器のキャップやエアゾール缶のキャップ、ボタンや医療関係のプラスチック製品の受託生産を行っています。品質や衛生面を強化した経営活動の中で、食品・医療関係からの問い合わせが増加するようになりました。
そこで、食品・医療関係の顧客からの信用を獲得するためにISO22000の取得を決めたとのことです。製造業ではありますが、ISO9001(品質マネジメントシステムに関する規格)ではなくISO22000を取得された理由は、ISO9001は取得済みの会社が多く、必要性を感じなかったためでした。取得するISO規格に悩んだときは、株式会社ヒロプラスのように自社にとって強みとなる規格を選択することが大切といえるでしょう。
株式会社ヒロプラスの概要やISO22000取得前に感じていた課題を以下にまとめました。
業種 | 製造業 |
---|---|
会社規模 | 21~50名 |
ISO取得前の課題 | 食品・医療関係の問い合わせの増加に伴い、安全性を担保する必要性が高まった |
ISO取得後には、ISO会議を月1回実施しています。情報共有や問題の発見などさまざまな対内的な取り組みの場として、コミュニケーションの機会が増えました。
対外的には、ISO22000取得後は顧客から受ける質問が減少しており、信頼度が増していることを実感しているとのことです。また、既存顧客から新規顧客を紹介してもらう機会もありますが、より印象が良くなっていると感じているそうです。
株式会社ヒロプラスのISO22000の取得インタビューの詳細は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
この記事では、ISO22000の取得企業数や取得すべき業種、実際の取得事例を紹介しました。
ISO22000は食品安全マネジメントシステムに関する国際規格です。日本では食品の安全性に大きな関心があるため、多くの企業がISO22000、FSSC22000などの第三者認証を取得しています。
ISO22000の取得は、自社の食品安全に対する体制を構築するとともに、対外的にアピールできます。さらに新たな顧客獲得も期待できるため、取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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